白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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タグ:十六夜咲夜 ( 8 ) タグの人気記事

東方Project二次創作 『紅魔館恋異変』 第7回
の続き。






東方Project二次創作
魔館異変』
第8回











フランドール・スカーレット  姉のレミリアのことが好き。
レミリア・スカーレット  妹のフランから求められれば応えるが、本心では咲夜が好き。
十六夜咲夜(いざよい さくや)  主であるレミリアに、想いを寄せている。
妖精メイド 館の中のあらゆる雑務を担当している。大勢いる。







今朝からずっと降り続いている雨は一向にやむ気配はなく、雨足もだんだん強いものになってきていた。
吸血鬼レミリア・スカーレットを主とするこの紅魔館の中も、すっかり湿気が充満しきっていた。



フランドール・スカーレットの魂を宿した十六夜咲夜は、姉のレミリア・スカーレットに紅茶を淹れて持ってくるようにいわれた事を思い出し、自分の部屋である地下室を出て、最初に「十六夜咲夜」として目覚めたこの場所、厨房に戻ってきていた。

咲夜「はぁ、やっと着いた・・・」
厨房に着いた途端、咲夜は疲れのため、はぁと息をはき、ため息をついた。
咲夜「うー、疲れたよー。今の私ってさくやだから、空を飛んだりできないんだよね、人間って不便だなー」
咲夜はメイド服のスカートを翻しながら思わず手近にあった椅子にどっかと腰をおろし、しばしの休憩をとった。
咲夜「でもこれもお姉さまに好きでいてもらうため。これからは私がさくやなんだから、ちょっと疲れるぐらい我慢しなきゃね」
そう独り言をつぶやいて、咲夜は自分で自分に言い聞かせていた。
椅子に座っている咲夜はなんとはなしに自分の胸を見てみた。
咲夜が息を吸ったり吐いたりするのとぴったり合うように、ふたつの大きなふくらみも静かに上下運動を繰り返している。それを見ていた咲夜は思わず両手で自分の胸を、紺を基調としたメイド服の布ごしにぎゅっと掴んでみた。
咲夜の手のひらにやわらかい感触が伝わってくる。ちょっと力をこめると簡単につぶれるが、元に戻ろうとする力も強いのかぷるんとした弾力も手のひらに伝わってくる。こうしてぎゅっぎゅっと掴んでいるだけで気持ちがいい。
咲夜「やっぱりさくや、胸大きいな。お姉様も女だけど、やっぱり胸は大きいほうがいいのかな」
吸血鬼の一族であるレミリアとフランドールはほぼ不死に近い長寿をもっているが、その代償として、生まれたときから死ぬまでずっと幼い少女の姿のまま、という制約を課せられている。外的要因により多少の体型変化はあるかもしれないが、それでも人間のように年を経て成長して大人びた外見になる、ということはない。
そして十六夜咲夜は、容姿が美しいだけでなく、女性としてほぼ完璧に近いぐらいのプロポーションの持ち主だった。
そういうわけで、強く意識してきたわけでもないが、フランドールは出るところは出て、ひっこむところはひっこむ、という理想の体型を持つ咲夜を多少はうらやましく思っていた。

咲夜「でも、今は私がさくやなんだよね。この胸も・・・この身体の全部が私のものなんだよね」
咲夜はそう言って自分の胸から手を離し、今度は自分の両肩を包み込むようにして抱きしめる。
咲夜「お姉様・・・」
咲夜の中のフランの脳裏に、数時間前に偶然目撃した、咲夜が姉のレミリアを後ろから愛しそうに抱きしめていた光景が思い起こされる。
咲夜「お姉様・・・もう何回くらいああやってさくやに抱きしめてもらってたのかな。10回?20回?もっと前からかな。ひょっとしたら、抱きしめること以外のことをしていたのかも・・・」
フランドールの心の中に、再び熱い炎のような嫉妬の心が芽生えてくる。
咲夜は思わずその咲夜がレミリアを抱きしめていた光景を打ち消すかのように頭をぶんぶんと左右に振り、ぎゅっとこぶしを握り締めた。
咲夜「ううん、もうそんなの昔のことよ。さくやはもういない。これからは私がさくやなんだから。お姉様が好きな人は十六夜咲夜。その十六夜咲夜は私。これまでどおり、お姉様は私のことを好きでいてくれる・・・」
邪魔者はもういない。
そのことを再確認した咲夜は勝利を確信したとばかりに、思わず口の端を少しだけ吊り上げ、笑みを浮かべた。

咲夜「って、いけない!またお姉様に紅茶持っていくの忘れるところだった!」
姉のことを強く思っていた咲夜の中のフランは、その姉から紅茶を持ってくるよう頼まれていたことをまた思い出し、座っていた椅子が大きく揺れるほどの勢いですっくと立ち上がった。立ち上がった勢いで、もみあげ部分で三つ編みにした髪と、胸の2つのふくらみが大きく揺れた。

咲夜は厨房の壁にかかっている時計を見る。
時計の針が指している数字を読むと、廊下でレミリアから紅茶を頼まれたあの時から、けっこうな時間が経っているのが分かった。
広い紅魔館のほぼ中央にあるこの厨房と、館の最深部の突き当たりにあるフランドールの私室を兼ねた地下室の間を、徒歩で1回往復しているのだ。そこそこの時間が経過しているのは当然だ。
咲夜「うー、もうけっこう時間経っちゃってるよ・・・。あんまりお姉様を待たせるわけにもいかないし、早くしないと。でも・・・」
咲夜はまたここで新たな問題にぶつかっていた。

咲夜「私・・・紅茶の淹れ方分からない・・・」




フランドールはこの館の主の妹であり、「お嬢様」であるので、人になにかしてもらったことは数え切れないぐらいあるが、人になにかしてあげたことは1回もない。フランは「誰かになにかしてもらう」のが当然の立場なので、「紅茶を淹れる」という雑務の仕方など知っていようはずもない。

これが本物の十六夜咲夜なら、最高の味と温度の紅茶を普通になんでもないことのように淹れて差し出すだろう。主であるレミリアに仕えるようになって数年、レミリアからあらゆる面で絶大な信頼を得ている十六夜咲夜にとっては、美味しい紅茶を手早く出すということなど、「出来て当たり前」の行為なのである。
しかし、今の十六夜咲夜の中にいるのは、自分で飲むミルクですら自分で入れたことのないほどの生粋のお嬢様であるフランドールなのだ。紅茶を淹れるという、慣れた者にとっては簡単な作業でさえ、フランにとっては困難を極めることになるだろう。

咲夜「でも、今の私は咲夜なんだから・・・出来なきゃおかしいよね」
十六夜咲夜として生きていくと決めた次の瞬間からいきなり困難の壁にぶちあたって思わず暗い気持ちになりかける咲夜。
咲夜「でも・・・私やるわ!きっと、お姉様に美味しい紅茶を淹れてみせる!」
姉であるレミリアへの愛なら誰にも負けない!とばかりに、暗い気持ちを吹き飛ばし、決意の意思を瞳にみなぎらせてぐっと拳を握り締めている咲夜の姿があった。


咲夜「でも、わかんないものはわかんないよ~。そもそも、紅茶ってどうやって淹れるの~?」
先ほどの咲夜の燃えたぎるような決意も、早くももろく崩れ去ろうとしていた。困り果てた咲夜は、思わず頭を抱えてしまう。
とにかく、紅茶を淹れようにも方法が分からない。
とりあえず咲夜は厨房内を歩き回り、紅茶を淹れるのに必要そうなものを台の上に出してみることにした。
咲夜の他に誰もいない広い厨房の中で、ガチャガチャと物が積み上がっていく音が響き渡る。



そこへ、次の仕事のために移動中だった妖精メイドのひとりが、たまたま厨房の前を通りかかった。
厨房はドアがなく常に開放しているため、外からでも容易に中の様子が分かる。

ちなみに、十六夜咲夜の役職は「メイド長」である。「メイド長」というぐらいだから、ただの「メイド」も当然のことながら居る。この紅魔館で働いているメイドは咲夜以外は全員妖精で、主に掃除・洗濯・食事の用意など、雑務を担当している。妖精メイドは妖精だけあって、全員、昆虫の羽根のような半透明の羽を背中に持っている。服装は咲夜のメイド服とほとんど変わらない、オーソドックスなデザインのメイド服である。あと、当然のごとく、妖精メイドたちは全員女である。


妖精「あれ?メイド長、なにやってるんですか?」
咲夜「あれでもない、これでもない・・・」
厨房の前をたまたま通りかかった妖精メイドは厨房の外、通路から中にいる咲夜に声をかけてみたが、当の咲夜はなにやら作業に集中していて、妖精メイドの声は届いていない。
妖精「なにやってるんだろ・・・片付け?整頓?」
見ると、咲夜は棚という棚から、中にあるものを手当たり次第に取り出しては台の上に置き、積み上げ、また棚から物を取り出しては積み上げる、ということを繰り返している。
妖精「でも厨房の一斉片付けは一昨日やったはずだけど・・・メイド長、メイド長ーーーーっ!なにやってるんですか?手が必要なようなら、手伝いますよー!?」
妖精は声を大きくして中の咲夜に呼びかけてみた。
咲夜「これも違う・・・かな。でも必要かもしれないし・・・とりあえず置いておこうっと」
・・・やはり、妖精メイドの声は咲夜に届いていなかった。
妖精「いつもはどんな騒音の中でも呼べば答えてくれるのに・・・どうしたんだろう?」
呼びかけても無駄だと悟った妖精メイドは、実力行使に出ることにした。
妖精メイドは背中の羽をパタパタを羽ばたかせながら、物であふれかえっている台の間をすり抜け、咲夜の背後まで近づいた。
妖精「メイド長、メイド長ーーーーっっ!!」
妖精メイドは咲夜の背後でさらに大声で呼びかけてみた。
咲夜「紅茶ってオレンジか赤い色をしてるから・・・そういうものを探せばいいのかな」
ここまでしても、咲夜はまだ妖精メイドの呼びかけに気づかなかった。それだけ作業に集中していたのである。

妖精「もう、どうしちゃったの、今日のメイド長は。こうなったら・・・」
妖精メイドは最後の手段に出た。
妖精「メイド長ーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」
妖精メイドは大声を出しつつ、咲夜の両肩を掴み、ぐるりと力まかせに咲夜の身体を反転させ、無理矢理こちらに向けさせた。
咲夜「わ、わぁっっっっっ!!び、びっくりした!!」
不意をつかれ、相当驚いたのか、咲夜は大口を開けて叫んだ。
妖精「わぁっ、びっくりしたのはこっちですよ。そんなに驚くなんて、メイド長らしくない・・・」
咲夜「あ、め、メイド?なんだ・・・。なんなの、いったい」
妖精「そりゃ、私はメイドですよ。なんなの、っていうのは私が聞きたいぐらいです。どうしたんですか、メイド長。厨房の物をこんなに出してきて。整理するなら手伝いますが、もっと人数が必要なようでしたら、他に手が空いてるメイドを呼んできますよ」
咲夜「・・・ん、なに、メイド長って。誰のこと?」
妖精「・・・えっと、メイド長、それは冗談なのですか?ここは私、笑うところなんですか?」
妖精メイドは眉をひそませ、相当困惑した表情をしてみせた。
咲夜「・・・・・・・ああそっか、今の私はさくやなんだった」
咲夜は左の手のひらを右の拳でポンと叩き、ようやく合点がいった、という風な表情を浮かべ、あらためて目の前の妖精メイドを見た。
咲夜(今の私はさくやで、さくやってメイド達のリーダーだったんだよね。いけないいけない、ついつい、自分がさくやだってこと忘れちゃう)

妖精「もう、どうしちゃったんですか、メイド長。疲れているんじゃないですか?仕事があるなら私が代わりますから、メイド長は少し休まれたほうがいいんじゃないですか?」
妖精メイドは、先ほどから咲夜の様子がおかしいのは連日ほとんど休みなしで仕事をしていて疲れがたまっているせいだと思い、上司である咲夜に少し休息をとってみては、と提案した。
咲夜「わ、私は・・・大丈夫よ!ちょっとこれは・・・お姉様・・・じゃない、お、お嬢様から頼まれた仕事で、私ひとりでやらなきゃいけないので・・・」
妖精「そうですか?でも、なにをするのか知りませんけど、けっこうすごい量みたいじゃないですか。やっぱり私、手伝いますよ」
咲夜「い、いいってば!」
迂闊に一緒に居られると、自分の中身がフランドールだってことがバレてしまうと考えたフランは、なんとかこの妖精メイドに出て行ってもらおうとしたが、そのとき、ある考えが閃いた。
咲夜(あ、そうだ、この妖精メイドに紅茶の淹れ方教えてもらえばいいんじゃ・・・!)




続く。



後書き。

この話、今まで全く外見描写をしていませんでした。
二次創作なので、原作を知っている方は外見描写がなくてもどんな姿か分かると勝手に思っていたのですが、当然ながら原作知らない方だとどんな姿なのか全く分からないですし(汗)。
というわけで多分に今更ですが、今回の話(第8話)から多少なりとも外見描写を入れていたりします。
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by irekawari | 2008-02-03 22:44 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第7回


フランドール・スカーレット  姉のレミリアのことが好き。
レミリア・スカーレット  妹のフランから求められれば応えるが、本心では咲夜が好き。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  主であるレミリアに、想いを寄せている。







咲夜に用件を伝え終えたレミリアは小脇に本を抱えたまま、そのまま自分の部屋のほうへ歩き去っていった。

その姿を最後までみつめていた咲夜はなんとも不思議な気持ちになった。
咲夜「お姉様、私を完全にさくやだと思ってるんだ・・・」
右手を目の前に持ってきて、改めてじっくり見てみる。
今のこの手は自分の手ではなく、咲夜の手。
手だけではない。姿全体が、実の姉のレミリアが見ても「咲夜だ」と思うほど、今の自分は十六夜咲夜になってしまっているのだ。
自分が自分ではない。そんな、例えようもないほどの不安が、咲夜の中のフランの心に焦りを生じさせていた。
咲夜「ほんとうの『私』はどうなってるんだろう」
咲夜は足早に、また地下への道を急ぎ始めた。



咲夜「うわぁ・・・私が居る・・・」
咲夜は目を見開き、軽く息を呑んだ。
地下のフランドールの部屋に着いた咲夜は、ベッドの上の大きなふくらみを発見し、そのふくらんでいる部分の上に覆い被さっているシーツを両手でつかんで、勢いよく払いのけた。
そこには、まさにまだ幼い「子供」といった容姿のフランドール・スカーレットが、うずくまり、丸まった姿勢のまま眠っていた。
自分はここにいるのに、目の前にも自分がいる。なんだか悪い夢を見ているようだった。
咲夜「い、生きてるよね、この私って・・・」
さっきからピクリとも動かない自分の身体を見て、咲夜は少し不安になってきた。
自分もベッドの上に乗り、フランの口元に自分の耳を近づけて、呼吸音を聞いてみる。

すー、すー。

どうやら息はしているらしい。
念のため、手首をつかんでみたり、少女らしい、膨らみなど全くない胸なども触ってみた。ちゃんと心臓は動いているようだし、脈も正常だ。どうやら、この目の前に居るフランドールは、正常に生きてはいるようだ。
自分の身体に、特に異常がないことを確認した咲夜は、とりあえず安心した。
そして、さきほど厨房で浮かんだ疑問がまた思い起こされた。
咲夜「私がさくやになってるってことは、さくやは私になってる・・・のかな?」
咲夜は、ベッドで眠ったままのフランの顔に自分の顔を近づけ、凝視してみた。
何度ながめても、やっぱりこれは、自分の、フランドールの顔である。
しかしながら、今の自分も、外見は十六夜咲夜ながら、中身はフランドール・スカーレットである。
そうなると、逆に、ここに居るフランドールの中には、十六夜咲夜がいるのではないか。
そう考えた咲夜は、とりあえずフランに声をかけてみた。
咲夜「さくや、さくや、そこにいるの?私の中に入っているの?私の中にいるのなら、返事をして」
声をかけてみたが、目の前のフランには、全く反応がない。寝言を漏らしたりもせず、身じろぎひとつしない。
咲夜「さくや、さくやったら!いないの?いたら、返事をしてよ!」
声をかけるだけでは効果が薄いと思った咲夜は、寝ているフランの肩を両手でつかんで、ぐらぐらと身体を揺らしながらまた声をかけてみた。その声のかけ方も、さっきより幾分、荒くなっている。
しかし、そこまでしても、やはりフランからの反応はなかった。
咲夜「私の中にはいないのかな・・・じゃあひょっとしてさくや、こっちにいるの?」
咲夜は無意識に自分の胸元のあたりを触っていた。

自分が別人になる、という事自体、信じられない事だったが、現実にこうして起こっているので、それはもう信じるよりほかにない。では、自分は今どういう状態なのか。気ままに、自分の思うようにしか生きてこなかったフランにとって、物事を論理的に考えるのは、やや苦手な作業だ。

原因は分からないが、今の私は私ではなく、なぜかさくやの身体の中にいる。
ではさくや本人はどこに行ったのか。
私と入れ替わるように、私の身体の中にいるのかと思ったが、呼びかけても返事はない。ただ単に、深い眠りの中にいるだけなのかもしれないが。
ということは、さくやはまださくやの身体の中にいる、ということなのだろうか。
さくやというひとつの身体の中に、さくやと私、二つの精神がある?
それもずいぶん、奇妙な現象だ。
とりあえずまた、呼びかけてみよう。返事があるかもしれない。

咲夜「さくやー、さくやー、こっちにいるの?いたら返事をして」
咲夜はフランドールの部屋の中で、一人立ったまま、自分の胸のあたりや頭のあたりを手で軽く叩いたりしながら、自分に向かって声をかけてみた。
端から見ているとヘンな人にしか見えないが、本人はいたって真剣だ。
咲夜(さくやー、さくや、いるの?私と一緒に、この中にいるの?)
咲夜は声に出すほかに、頭の中で念じて、この身体の中にいるかもしれない、咲夜の心に何度も呼びかけてみた。
しかし結局、咲夜からの返事はなかった。

咲夜「ふー、疲れちゃった。もー、さくやったら、まだ寝てるのかな」
咲夜への呼びかけに疲れた咲夜は、ベッドにどっかと腰を下ろし、大きく息を吐いた。
ベッドに腰かけた咲夜は、その姿勢のまま、まだ眠ったままのフランドールの頬のあたりを、なんとはなしに撫でてみた。
咲夜「・・・まだ寝てるんだよね、さくや。そのうちきっと、起きてくるよね」

咲夜の中のフランの脳裏に、咲夜が姉のレミリアを抱き締めている光景がよみがえる。
フラン(さくやは私の、私だけのお姉様を取ったんだ・・・でもそのさくやも、今はいない・・・ずっと、ずっとどこかで寝ていればいいんだ。お姉様が私じゃなくてさくやを好きなら、今のさくやはこの私。・・・そうよ、お姉様が好きなのは、いつでもこの私でなきゃいけないのよ・・・)

咲夜の中のフランは、これはチャンス、と考えた。
姉のレミリアは自分ではなく、実は咲夜のことが好きだった。今やフランにとって咲夜は「邪魔者」でしかない。しかし、現在、その咲夜本人は行方不明、代わりに自分が咲夜その人になっている。
咲夜「今は私がさくやなんだから、お姉様もまた、私を好きになってくれるよね」
フランの頭の中は、姉のレミリアに愛してもらいたい、という思いだけでいっぱいだった。子供らしいひとりよがりな、しかし、たしかにまっすぐな思い。フランの中で、恋敵へと変貌した咲夜への気遣い、いたわりといった心情は、紅魔館の周りに漂ってる霧ほどに薄くなっていた。

咲夜「そうよ・・・お姉様は私だけのもの・・・」
咲夜は口の端を吊り上げて笑みをうかべながら、ベッドから立ち上がり、手足を抱えて丸まった姿勢になっていたフランを抱き起こし、フランの手足をまっすぐに伸ばすようにしながら、きちんとした格好にフランを寝かせ直した。
ベッドの上のフランドールは、相変わらずすやすやと寝息だけを立てながらピクリとも動かず眠り続けている。
咲夜「さくやはここで大人しくしていてね。ふふ、さっそく、お姉様に会いに行こうっと」
咲夜本人がどこに行ったかは分からないが、とりあえず自分の身体の中に居るであろうと仮定して、咲夜の中のフランは、ベッドの上のフランドールの身体に声をかけ、自分の部屋を出ていこうとした。

咲夜「・・・あれ?」
部屋を出て行こうとした咲夜の足が止まる。
咲夜「お姉様になにか言われたような気がするけど・・・なんだっけ」
レミリアのことばかり考えていた咲夜は、レミリアに関することで、少し前に「なにか」あったような気がして、それを思い出そうとしていた。
咲夜「えーと、えーと、あ!そうだ・・・」
額に手を当てて記憶をさぐっていた咲夜は、なにかを思い出したようにはっとした表情に変わる。と同時に、少しだけ顔が青ざめた。
咲夜「思い出した・・・私、お姉様に紅茶入れてきてって頼まれたんだ。どうしよう・・・私、お茶なんて入れたことない」
咲夜の身体になったフランに、最初の壁が立ちはだかっていた。
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by irekawari | 2007-10-14 23:49 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第6回





フランドール・スカーレット  レミリアの妹、吸血鬼。約495歳。
レミリア・スカーレット  フランドールの姉、吸血鬼、紅魔館の主。約500歳。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  人間、紅魔館のメイド長。10~20歳?






レミリア「・・・咲夜、私はいつ貴女の姉になったのかしら」
レミリアが、訝しむような視線を咲夜に向ける。声を掛けてきたときはくだけた表情だったが、今は相手を見定めるような真剣な表情に変わっている。
咲夜「え、えっと、その」
咲夜は焦った。目が覚めたら別人になっていた、という今のこの事態だけでも訳が分からなくて頭の中で納得できていなかったのに、この状態で誰かに会ったときの対応なんて、露ほども考えていなかった。
選択肢は2つ。
実の姉に、今起こっていることを素直に話すか、あるいは、咲夜になりきるか。

咲夜「ご、ごめ・・・す、すみません、お、おね・・・お嬢様」
とりあえず咲夜になりきったつもりで、返事をしてみた。
姉に今起こっていることを打ち明けても良かったが、さっきの事もあるし、素直に姉の前に出るのがいやだったということもある。
咲夜(さ、さくやってこんなしゃべりかただったような・・・あ、合ってるかな)
フランドールは生まれてから約495年間、姉と一緒に「お嬢様」として扱われてきた。なので、敬語というのものをしゃべったことがない。せいぜい、姉のレミリアを「お姉様」と様づけで話すぐらいである。
今の発言が、フランドールが生まれて始めて口に出す、敬語だった。ただし、それは「咲夜の口」から出たものであるが。

レミリア「ふふふ、冗談よ」
真剣な表情だったレミリアが、突然表情をゆるめて、明るく話しかけてきた。
レミリア「うっかり私の呼び方を間違えるぐらい慌てて、どこに行こうとしていたの?」
咲夜「え、えっと、それは・・・」
咲夜は思考をフル回転させて言い訳を考えた。495年間気ままに生きてきて、今ままで一番頭を使っている気がする。
ふと視線を逸らした咲夜の視線の先に、窓の外の灰色の景色が映る。今日は朝からずっと小雨が降っていて、今もやまずにずっと降り続けている。パラパラという乾いた音も、窓ごしに聞こえてきている。
これだ。
咲夜はとっさの言い訳を思いついた。
咲夜「洗濯物が雨に濡れてしまっているので、それを取りにいこうとしていたのです!」
咲夜は顔には冷や汗をかいていて、声は少しうわずってしまっている。見るからに怪しい。
レミリア「洗濯物・・・ね、たしかに外は雨が降っているけど、この雨って朝から降っているわよ。昨日の晩から洗濯物を干し続けていたというの?」
咲夜「そう・・・なんです、他の仕事に気をとられていて・・・つい」
咲夜はゆっくりと、かみしめるようにして言葉を続ける。油断すると、敬語以外の、普段の口調で話してしまいそうになるからだ。
レミリア「貴女にしては珍しいミスだけど、貴女には館の全ての仕事を任せているし、それらの仕事の一つをうっかり忘れることも、そりゃあるでしょうね」
咲夜「はい、ごめんなさ・・・すみません」
咲夜は頭をぺこりと下げて謝る。
レミリア「まあ、そんなことなら別にいいのよ。貴女が慌てているぐらいだから、なにかよっぽど大きな事件でも起きたのかと思ったわ」
フランの魂が咲夜の身体に宿っている今のこの事態は、事件といえば事件だろう。だがフランは、とりあえず今は姉のレミリアにこのことを打ち明けないでいようと思った。
咲夜(とりあえずお姉様は信じてくれたみたい・・・よかった)
咲夜は心の中で安堵の溜息をついた。
レミリア「引き留めて悪かったわね、もういいわ、早く行きなさい。洗濯物が濡れてしまうのでしょう?」
咲夜「はい、そうする・・・そうします」
レミリア「あ、それと」
咲夜「はい、なん・・・なんでしょう」
レミリア「今から私、しばらく自分の部屋で読書しているから、いつでもいいからお茶入れてきて」
さっきまで慌てていたので気付かなかったが、改めて見ると、レミリアは脇に数冊本を抱えていた。
紅魔館の地下には、ヴワル魔法図書館という、巨大な図書館がある。
おそらく、レミリアはその図書館に行ってきて、今はその帰りなのだろう。
咲夜「わ、分かりました」
頼まれ事をされてしまった。
今の自分は姉と妹という関係ではなく、主と従者という関係なので、頼まれ事をされて断るわけにもいかない。
お茶を入れる・・・現役お嬢様のフランにそんな高度なことができるかどうか不安はあったが、今はとりあえずはい、と返事をする以外に選択肢はない。
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by irekawari | 2007-10-13 23:56 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第5回




フランドール・スカーレット  レミリアの妹、吸血鬼。約495歳。
レミリア・スカーレット  フランドールの姉、吸血鬼、紅魔館の主。約500歳。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  人間、紅魔館のメイド長。10~20歳?






咲夜「ひえええええっっっ!?な、なにこれ、私が、さくやになってる!?」
咲夜は自分の両頬に両手を当て、厨房の壁の窓ガラスに映る自分の姿を見て、目を見開き、やや顔面蒼白になりながら驚いている。

目を覚ました咲夜はなにやら自分の身体に違和感を感じた。
それがなんなのかはすぐには分からなかったが、ふとした拍子に窓ガラスに映る自分の姿を見て、その違和感の正体に気付いたようだ。

咲夜「こ、こんなことってあるの!?でも・・・この服も、身体も、この顔も、たしかにさくやだし、声は・・・なんかよく分かんないけど、さくやの声のような気がするし・・・」

咲夜はさらに窓ガラスに近寄り、自分の今の姿をはっきりとみつめる。
窓ガラスに映る自分の顔が自分のものではなく咲夜の顔で、しかも自分が顔を動かしたり目を閉じたり開いたりすれば、窓ガラスに映る咲夜の顔も、その通りに顔を動かしたり目を閉じたり開いたりしている。それはなんとも言えず、奇妙な感覚だった。

咲夜「どうしよう、お姉様に相談したほうがいいかな。でも・・・」
咲夜の脳裏に、数時間前の咲夜が姉を抱き締めている光景が浮かんでくる。
そのことを思い出すと、まだすぐには今まで通り姉と顔を合わせることができない。
咲夜「そういえば・・・私がさくやになってるってことは、さくやは今どうなってるんだろ。ひょっとして、さくやは私になっちゃてるのかな?」
そう思った咲夜はとりあえず、自分の部屋・・・地下のフランドールの部屋に向かうことにした。
自分はさっきまであそこで眠っていた。
ならば、本当の自分もまだそこに居るはずだ。
咲夜「で、でも、ここってどこだろう。厨房なんて、来たことないから館のどのへんなのか分からない・・・」
フランやレミリアはお嬢様なため、自分で食事を作ったりすることがない。全部、咲夜たちメイドがしてくれるからだ。
なので当然、厨房に入ったりすることもない。
咲夜「とりあえず下に下に行けば、地下に辿りつくよね」
厨房を出た咲夜は階下への階段を探して、廊下を進んでいった。

レミリア「あら?咲夜、ちょうどよかったわ」
廊下を進んでいた咲夜は廊下の角を曲がってすぐのところで、この紅魔館の主であるレミリア・スカーレットと出くわした。
咲夜「お、お姉様!?」
レミリア「・・・お姉様?」
まさか誰かに会うとは思っていなかった咲夜は、思わずいつものように「お姉様」と口に出してしまっていた。
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by irekawari | 2007-10-12 23:55 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第4回




フランドール・スカーレット  レミリアの妹、吸血鬼。約495歳。
レミリア・スカーレット  フランドールの姉、吸血鬼、紅魔館の主。約500歳。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  人間、紅魔館のメイド長。10~20歳?





パラパラと、乾いたような静かな雨の音が聞こえてくる。
(まだ雨降ってるんだ・・・)
まどろむような眠りの中にいたが、雨の音を聞いていたら、だんだん意識がはっきりしてきた。
(今日はお外行けないな・・・)

吸血鬼であるフランは、大量の水が苦手なので、雨が降っていると、外に出ることができない。
たとえ晴れていても、吸血鬼の弱点のひとつである日光を浴びることになるので、日傘無しで外に出ることはできない。
フランは吸血鬼であるため身体能力は高いが、外に出て遊んだりすることに適している身体とはいえない。
だから、フランは生まれてから約495年間、ほとんど外に出たことがない。
でも、ほとんど不自由に感じたことはない。
この館には、大好きな姉がいつも一緒に居てくれるのだから。




そろそろ、怒りの感情もだいぶ静まってきた。
少なくとも、今目の前に咲夜が現れても、即、破壊してやろう、という物騒な考えは浮かんだりしないだろう。
(それにしても・・・なんかゴツゴツしてる・・・?このベッド、こんなに固かったかな・・・)

咲夜「!」
気を失っていた咲夜は急に目を開け、床に手をついて上半身を起こした。
咲夜「あ、あれ?どこ、ここ・・・?」
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by irekawari | 2007-10-11 23:52 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第3回




紅魔館の地下にある、フランドールの部屋。
ここには吸血鬼であるフランのための、長期睡眠用である棺桶と、一晩程度眠る用の普通のベッドの、両方が置かれている。
軽いスキンシップではあるが、メイドの咲夜が姉のレミリアを後ろから抱き締め、レミリアも咲夜の手を握り返し、さらにはお互い気持ちが通じ合っているかのように頬を赤らめ、恋する表情を見せていた二人の姿を目撃してしまったフランは、居ても立ってもいられなくなり、その場から逃げ出すように走り去っていた。
気がつくと、地下の自分の部屋にいて、いつもの私服のままベッドにもぐりこみ、シーツを頭からかぶってぎゅっと身体を丸め、うずくまっている。

シーツをかぶったままうずくまるフランの頭に、いろんな思いが交錯する。

なぜあそこから逃げるように自分の部屋まで帰ってきてしまったのだろう。
あのまま中に入って、いつものように「お姉様、さくや、おはよう」と声をかけてもよかったんじゃ。
でもお姉様もさくやも、私の知らない表情をしていた。
お互いを思いやっているような、優しい表情。
お姉様は私がちょっとワガママなお願いしたり、軽いいたずらをしたりしても、ちょっと困った顔をするぐらいで、ほとんどの場合、にっこり笑顔で応えてくれる。
お姉様は優しいから、さくやにも、ぱちゅりーにも、めいりんにも、笑顔を見せる。
でも「好きだ」って気持ちを表してくれているあの表情は、妹の私にだけ向けていてくれているのだと思っていた。

でも、そうじゃなかったんだ・・・。








コンコン。

フランの部屋のドアを軽くノックする音が聞こえる。
フランはその音を聞いてビクッと大きく身体を震わせた。
フラン(だ、誰?お姉様?それともさくや?)

咲夜「妹様?起きていますか?」
ドアの向こうから聞こえる声の主は、咲夜だった。
よりによって、今のフランが一番会いたくない相手だった。
フラン(お姉様が好きでいてくれるのは、私だけのはずだったのに・・・お姉様は、私にだってあんな表情は見せてくれたことがない・・・私の知らないところで、お姉様とさくやはそんなことしてたんだ・・・さくやが、さくやがお姉様をとったんだ・・・)
フランの中に渦巻く黒い感情は、姉のレミリアではなく咲夜に向けられていた。
咲夜「妹様?まだ寝ていらっしゃるのですか?今日は起きてこられるとお聞きしていたので、お食事の時間が近いことをお知らせに来たのですが・・・」
フラン「お・・・起きてる!でも・・・今日はここから出ない!ほっといて!」
フランはシーツをかぶったまま、叫ぶように大声で返事をする。その声に、若干怒りの感情を含ませながら。
咲夜「そうですか?・・・妹様、もしかして具合が悪いのですか?軽い症状なら私が診てさしあげますし、よければお薬などもお持ちしますが・・・」
フラン「いい!いらない!わ、私は正常だから、早くどこか行って!!」
咲夜「そ、そうですか。それでは私はこれで失礼しますが、もし本当に具合が悪いようでしたら、いつでもお呼びくださいね」
フラン「わかった・・・から、早く行って」
咲夜「はい、それでは失礼します、妹様」

コツコツと、廊下を歩く咲夜の足音が、だんだん小さくなっていく。

まだシーツを頭からかぶったままのフランは、安堵の溜息をついた。
危なかった。
あと少し咲夜の声を聞き続けていたら、ドア越しにでも攻撃を仕掛け、咲夜を跡形もなく「破壊」してしまっていたかもしれない。
咲夜は人間だが、幻想郷の妖怪たちとも渡り合えるぐらいの実力の持ち主なので、まともに戦えば、フランとて一撃で倒すことは不可能かもしれない。
しかし、咲夜は自分が仕えている主の妹が自分を襲ってくるなんて思ってもいないだろう。
身構えていなければ、対応も遅れる。
さっきのドア越しの会話のときに、フランが奇襲を仕掛ければ、いかな咲夜とてひとたまりもなかっただろう。
本当にそれを実行してしまいかねないほど、フランの感情は高ぶっていた。

フラン(さくや・・・私のこと心配してくれていたな・・・)
メイドとして、仕事の中の一貫として、うわべだけの言葉ではないことは、さくやとそれなりに長く付き合っているフランにも分かる。咲夜はよく気がつき、さりげない心遣いを忘れない。
そんな咲夜を嫌いなはずがない。
が、今は咲夜のそんな一面すらもねたましく思える。
自分はまだ子供で、お嬢様育ちなものだから、そんな細かい気遣いなどできない、したことがない。
でも、咲夜はそんな自分にないものを持っている。

お姉様は、そんな咲夜のことが好きになったのだろうか。
子供っぽいワガママなことしか言わない自分には、妹としては接してくれるかもしれないが、本気の「好き」の対象にはならないのかもしれない。

フラン(ううん・・・お姉様はもう・・・完全にさくやのことを・・・)

さっきこっそりのぞき見してしまった、姉と咲夜の二人きりの光景がフランの脳裏に甦る。
それと同時に、またフランの中に黒い感情が爆発的に湧き起こってくる。

フラン(私の大好きなお姉様を取るなんて・・・さくやなんて、さくやなんていなくなればいいんだ!)
久しく忘れかけていた破壊衝動がフランの身体を包み始める。
シーツを頭からかぶったまま顔をあげたフランの目からは、滝のような涙がこぼれている。
手を固く握り、奥歯を強くかみ、唇をかみしめる。
しかし、あと一歩のところを、フランの理性がひきとめる。
フラン(だめ・・・こんなこと考えてるから、お姉様は私じゃなくてさくやのことを・・・こんなままじゃ、お姉様は私のことなんか見てくれない・・・)
フランはシーツをかぶったまま、ベッドに肘をついて自分の顔を両手で覆う。

フラン(さくやみたいになりたい・・・私がさくやみたいな素敵な女性だったら、お姉様も私のことを好きになってくれるかな・・・)

フラン(うーん・・・・・・さくや・・・・・お姉様・・・・・・)

いいかげん、頭の中だけで思考を続けていたため疲れてきたのか、フランの頭の中がだんだんまどろんできた。
数分の後、フランはシーツを頭からかぶったまま、眠りについた。







咲夜「妹様はなんでもないって言っていたけど、やっぱりちょっと心配ね。また後で様子を見に行ってみましょう」
咲夜は紅魔館の中にある広い台所に居た。
咲夜「お嬢様は読書をするって言っていたわね。紅茶のいいのが入ったから、今日はそれをお出ししようかしら」
咲夜がカップや紅茶の葉を用意しようとしていたところ、急に、眠気が襲ってきた。
咲夜「ん・・・あれ?な、なに・・・?」
足元がふらつく。
頭の奥にずきっとにぶい痛みが走る。
咲夜「立っていられない・・・な、なにが起こって・・・・・・・」
こめかみの部分を片手で押さえながら、咲夜はふらふらと身体を揺らしたあと、膝をつき、肩からぱったりと床に倒れこんでしまった。
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by irekawari | 2007-10-10 23:53 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第2回



フランドール・スカーレット  レミリアの妹。吸血鬼。
レミリア・スカーレット  フランドールの姉。吸血鬼。紅魔館の主。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  人間。紅魔館のメイド長。






最初は椅子に座っているレミリアを、背後にいる咲夜が立ったまま後ろから軽く抱き締めているだけだったが、しばらくしてレミリアからも、自分を抱き締めている咲夜の手の甲に、自分の手をそっと重ねてきた。
手を重ねるまではレミリアの表情には恥ずかしさや躊躇みたいなものが伺えたが、レミリアが咲夜の手に自分の手を重ね合わせた瞬間、レミリアの表情はパッと晴れやかな、満面の笑みの表情に変わっていた。

心の底から姉のレミリアを愛していて、恋する乙女の一人でもあるフランには一目で分かった。レミリアと咲夜の表情を見て、二人がお互いのことを好きである、ということがすぐに見てとれた。
それはもう理屈どうこうではなく、直感だった。
恋する乙女の直感。
普段、自分の顔などいちいち鏡で見たりはしないが、自分はレミリアお姉様に会っているとき、あんな風な幸せそうな表情をしているのだろう、とフランは思った。

私はお姉様のことが好きで、お姉様は私のことが好きでいてくれて、咲夜は大切な家族みたいな存在。
その関係は、ずっと変わらないものだと思っていた。
でも、そうではなかった。私は知らなかっただけ、気付かなかっただけ、気付こうともしなかった。
まさか、まさかお姉様とさくやが・・・!


フラン「うっ」
小さく、低く、呻くような声がフランの口から漏れた。
外はまだパラパラと雨が降っているし、フランのその声は小さすぎて、部屋の中のレミリアと咲夜には聞こえなかったようだ。
フランはドアノブから手を離し、代わりに自分の口を片手で押さえて、その場にうずくまった。
のどの奥からなにかがこみ上げてくるような気がする。
ひどく、気分が悪い。
普段なら、会うことになんら躊躇いを持つ必要のないレミリアと咲夜が、なんだかすごく遠い存在になってしまった気がして、部屋の中に入って声をかける、ということができなかった。
身体の奥から、いろんな感情が沸き上がってくる。
とりあえず、ここから離れたほうがいい。自分の部屋に帰ろう。
フランは片手で口元を押さえたまま、足音を立てないようゆっくりとした足取りで、地下の自分の部屋へと向かった。
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by irekawari | 2007-10-09 23:55 | 女同士の憑依・乗っ取り
東方Project二次創作
魔館異変』
第1回




フランドール・スカーレット レミリアの妹。
レミリア・スカーレット フランドールの姉。

十六夜咲夜(いざよい さくや) メイド長。





我々人間が住んでいるこの世界とは隔絶された地に在る「幻想郷」。
幻想郷では人間の他に妖怪、妖精、吸血鬼、幽霊、果ては月の民まで住んでいる。
その幻想郷の中に「霧の湖」があり、さらにその霧の湖の中にある島に、「紅魔館(こうまかん)」と呼ばれる、紅い色調をした洋館が建っている。


紅魔館には人間と妖怪、合わせて5人の者が住んでいる。

ひとりは吸血鬼の「レミリア・スカーレット」、この館の主人。
ひとりは妖怪の「紅美鈴」、紅魔館の門番。
ひとりは魔法使いの「パチュリー・ノーレッジ」、レミリアの友人。
ひとりは人間の「十六夜咲夜」、この館のメイド長。

最後のひとりは吸血鬼の「フランドール・スカーレット」、レミリアの妹。





フラン「お姉様、キスしていい?」
レミリア「ふ、フラン?どうしてあなたはいつも突然・・・ん」

ある日の、紅魔館の中のレミリアの部屋。
そこで、レミリアとフランドールがキスを交わしていた。
さらに正確に言うと、フランが一方的にレミリアにキスを求めてきて、無理矢理唇を重ねていた。
フランとレミリアは実の姉妹であるが、フランは姉のレミリアが好きで好きでたまらなく、その愛情表現として時折こうして姉にキスをねだってくる。
アンティークなデザインの、背もたれの高い椅子に腰かけているレミリア。
フランは左足は床についたまま、レミリアが座っている椅子の上、かつレミリアの太ももの間に右足の膝を立て、さらに自分の両手のひらをレミリアの両手のひらとピタッと合うように手を合わせ、その状態で指を握り、自分の指とレミリアの指を絡ませる。

椅子に深く腰かけている状態で足の間に膝を入れられ、さらに手と手を押し合うような形で握られたレミリアに、正面から迫ってきているフランから逃げる術はなかった。
レミリアは、フランが覆い被さってきた、と思った次の瞬間には、唇を奪われていた。
今、実の姉妹であるレミリアとフランは唇と唇でひとつにつながっている。

フラン(お姉様の口の中・・・あったかくて気持ちいい)
キス魔であるフランは今日も姉にキスをすることができて悦に浸っていた。
姉の唇の滑らかな感触。
姉の口の中のあたたかな体温、絡ませ合っている舌から感じる刺激、唾液の粘り具合、ときおり漏れる吐息、掴み合っている手から感じる姉の体温、それら全ての感覚は快感となってフランに充実感を与えていた。
フラン(お姉様が好き・・・もっとお姉様を感じていたい、もっとお姉様に感じられたい)
フランの心の中に、子供らしい純粋な欲望が渦巻く。
フラン(お姉様も私を好きでいてくれているよね。・・・そういえばお姉様ってキスのときどんな顔してるんだろう。ちょっと見てみたいな)
フランは姉にキスするときはいつも目をつぶっている。特に理由があるわけではないが、キスをするときは目をつぶってするものだと思っていたし、目をつぶっていたほうが感覚を口だけに集中できるので、よりお姉様を感じることができる、となんとなく思っていた。
フランは舌をレミリアの舌と激しく絡ませながら、ふと、両目を開けて、文字通り目と鼻の先にあるレミリアの顔を見た。
そこにあるのはさっきまでのフランと同じく目をつぶってキスに応えてくれている姉の顔ではなく、かといって両目を開けて、熱っぽい視線で妹の顔を凝視しているレミリアの顔でもなかった。
フラン(お、お姉様、ど、どうして・・・)
レミリアはフランのキスに応えながら右目だけを開けていたが、視線はフランのほうを向いておらず、なぜか明後日の方向を向いていた。
ちなみにその視線の先を追うと、このレミリアの部屋の入口のドアに向けられている。
そこには誰もいないはず。
本当にたまたま、偶然そこに視線が合っていただけなのか。
もしくは、ひょっとしたらそのドアを開けて入ってくるかもしれない人物に、今の状況を見られたくないために視線を向けているのだろうか・・・
と、フランの考えがそこまで及ぶ前に、フランの直感が今すぐ目をつぶるよう告げ、フランはその直感に従いまた両目を閉じた。
フランが目を閉じた直後、逸らしていたレミリアの視線がフランのほうを向き、軽くまばたきした後、またキスに没頭するかのように、レミリアもまた目を閉じた。
フラン(お姉様が私から目を逸らしていた・・・どうして!?)
フランの心に疑念が湧く。
しかし、キスに応じてくれているレミリアの姿は、いつも通りで、変わりがないように見える。
フラン(たまたまだよね、うん、絶対そうだ。お姉様だって、妹の私を一番好きでいてくれているはず・・・)
フランは今見たことは忘れ、再びまた大好きな姉とのキスに没頭し始めた。





そんなフランの疑念は、後日、意外と早く確信へと変わることになった。



その日、紅魔館の外では雨が降っており、ぱらぱらと静かな音を響かせていた。

地下の自分の部屋から出てきたフランは、真っ先に愛しの姉の部屋と向かった。
しかし、レミリアの部屋にレミリアはいなかった。
フラン「お姉様、どこ行ったんだろう。さくやと一緒にいるのかな」
フランはレミリアの部屋を後にし、館の中を探索し始めた。

十六夜咲夜、この紅魔館の掃除係兼、メイド長。
出会ってからまだ何年も経っていないが、フランも、自分の食事を咲夜に作ってもらったりして、いろいろお世話になっている。
姉のレミリアに対する「好き」とはまた違うが、フランは咲夜のことも好きだと思っていた。


フラン「!!お姉様と、さくやの声だ。こっちから聞こえた・・・」
フランは、かすかに聞こえてきたレミリアとメイド長の咲夜の声を頼りに、声のしてきたほうへと向かう。
やがて、フランは入口のドアがほんの少しだけ開いている部屋に辿り着いた。
入口のドアの隙間から、部屋の中で椅子に座っているレミリアと、レミリアの背後に立っている咲夜の姿が見える。
館の主人と、その主人に忠誠を誓っているメイドが一緒にいる。そのことは、別に不思議な光景でもなんでもない。
フラン「お姉様・・・」
フランは姉の名前を呼びながら自分も部屋に入ろうとした・・・が、ドアノブを掴もうとしていた手が止まった。
いや、止まったというより、動けなかった。
紅色の瞳のフランの目が大きく開かれたまま、まばたきすらできないでいる。

部屋の中では、椅子に座っているレミリアの背後から、覆い被さるように咲夜がレミリアを抱き締めている。
抱き締めているといってもギュッと力を込めているわけではなく、レミリアの胸のあたりで咲夜が自分の腕を交差させている程度、である。
しかし、フランにとってはそんな細かな違いはどうでもよかった。
自分の大好きな姉が、自分じゃない女性、咲夜に抱き締められている、その光景が衝撃的で、信じられないものであった。
咲夜に抱き締められているレミリアは、緊張からか、恥ずかしさからか、あるいは嬉しさによるものなのか、頬が紅潮している。
背後にいる咲夜も、頬がほんのり赤く染まっている。











後書き。

あんぷりふぁ!

「たかへろ」さんが管理なさっている、東方ファンサイト
「あんぷりふぁ!1.0-dB」です。
この話を書くにあたって、たかへろさんのサイトをかなり参考にしています。
私はたかへろさんと知り合いというわけではなく、私が勝手に一方的に(汗)たかへろさんのサイトの絵を参考にしているだけだったりします。
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by irekawari | 2007-10-07 23:54 | 女同士の憑依・乗っ取り