白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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ダイゴの話は次は最終回を書く、と言った矢先にいきなり違う話書いていてすみません(汗)。
ちょっと番外編っぽい話です。






死んだ者の霊を自分に乗り移らせ、生きている者と既に死んでいる者との対話を可能にさせる、霊媒師。
その霊媒師として有名なアリシア=リブル。
霊媒師として強い力を持つだけでなく、霊媒師としては比較的若く、美しい女性であるアリシアは、最近人気が出てきて、世界的にも有名になってきた。

そのアリシアが、期間限定で日本で店を構え、霊媒師の仕事をすることになった。
幼い頃に母を亡くしたメイリンは、アリシアに頼めば母とまた会えるかも、と思ったが、アリシアの店は連日大盛況。
滞在期間中は、予約だけでいっぱいの状態で、飛び込みのメイリンが入れる余地はなかった。
しかしなんと、アリシアはダイゴの料理のファンだった。
ダイゴの料理を食べに灼熱飯店まで来たアリシアに、ダメ元でお願いしてみるメイリン。
アリシアは、ダイゴのパートナーであるメイリンの頼みなら喜んで、ということで、滞在期間中に1日だけある、店が定休日のとき、メイリンと、メイリンの亡き母を会わせてくれることになった。







灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ

第30話「再会!メイリンの母」








メイリン「お母さん・・・ほんとうにお母さんなの?」
アリシア「そうよ、少しの間、この人の身体を貸してもらっているの」
メイリン「お母さん・・・会いたかった!」
アリシア「ふふっ、メイリンったら、身体は大きくなってもまだ子供みたいね」

アリシア「びっくりしたわ、メイリンったら、私の若い頃にそっくりになっているんですもの」
メイリン「うん、お母さんほど美人じゃないと思うけど・・・お母さんに近づけているみたいで、あたし、嬉しいんだ」
アリシア「私が着ていたそのチャイナドレス、着てくれているのね」
メイリン「うん、これもね、少しでもお母さんみたいになりたいって思って。それに、これを着ていたら、いつでもお母さんの温もりが感じられて、心があったかくなれるんだ。あはは、あたしって、ホントにまだ子供だね」
アリシア「ふふ、ほんとね。でも、大事にしてくれてて、私も嬉しいわ。あの人も喜んでいるんじゃないかしら」
メイリン「あの人って、お父さんのこと?なんでそこでお父さんが出てくるの?」
アリシア「そのチャイナね、あの人からのプレゼントなのよ」
メイリン「え!?これってそうだったの!?は、初めて知った・・・」
アリシア「私の19の誕生日にね、ちょうど今の貴女と同い年ね、あの人が誕生日プレゼントだって言って、くれたのよ。着てみたら、胸のサイズまでぴったりでびっくりしたわ。3サイズなんて、1回も言ったことないのにね。どうして分かったのってあの人に聞いてみたら、私を抱き締めたときに分かった、なんて言うのよ」
メイリン「うわあ・・・あたしのお父さんって、そんなキザな人だったんだ・・・意外というか、そんなナンパなお父さん、ちょっとヤだな・・・」
アリシア「ふふっ、この話には、まだ続きがあるのよ。私があの人にそのチャイナをプレゼントしてもらったその日の晩、初めてあの人とひとつになった・・・もっとはっきりいえば、抱いてもらったのよ、そのチャイナをあの人に脱がされて、ね」
メイリン「え!?その日の晩に!?しかもお父さん、自分で服をプレゼントしておいて自分で脱がしたの!?なにその鬼畜みたいなプレイ!」
アリシア「鬼畜って、ひどいわね。あの人はちゃんと私を愛してくれていたから、そうしてくれたのよ。後で知ったんだけど、男が女に服をプレゼントするのは、その服を自分で脱がしたいっていうメッセージが込められているらしいわね」
メイリン「へー・・・お父さんがお母さんを愛していたのは分かったとして・・・でも結局お父さんは、お母さんとやりたかっただけじゃない!はは・・・なんかあたしの中のお父さんのイメージが崩れちゃったな・・・」
アリシア「ふふ、結局はそうだったのかもね。でも私はあの人に感謝してもしきれないぐらいなのよ、その後もずっと私を大事に想ってくれていたし、メイリンっていう、大切な我が子を授けてくれたしね」
メイリン「お母さん・・・」

メイリン「あっそうだお母さん!」
アリシア「どうしたの?」
メイリン「アリシアさんの身体から出て、今度はあたしの身体に乗り移ってよ!あたし、お母さんの若い頃にそっくりだし、ちょうどこのチャイナ着てるし、お母さんも若い頃をもっと実感できていいんじゃないかな?あたしも、お母さんにならいくらでも乗り移られてもいいし!」
アリシア「メイリン・・・」
メイリン「ね、ね、そうしようよ!あれ、お母さん、どうしたの?」
アリシア「メイリン、私はやっぱりいいわ」
メイリン「えー、ど、どうして?」
アリシア「貴女の身体を乗っ取ってまで、生を感じていたいと思わないわ」
メイリン「の、乗っ取るなんて、お母さん、そんな大げさな」
アリシア「メイリン、私はね、やっぱりもう死んでいる身なのよ」
メイリン「お母さん・・・そんな悲しいこと言わないでよ・・・せっかくこうしてまたお母さんに会えたのに・・・一時的じゃなくて、あたしの身体にずっと乗り移ってくれててもいい!あたしはどうなってもいいから、お母さんに生きててほしいよ・・・」
アリシア「メイリン、その気持ちは、お母さんとても嬉しいわ。でもね、貴女はどうなってもいい存在じゃないはずよ。誰かが貴女を必要としているでしょうし、貴女も、誰かの力になりたいって思っているんじゃなくて?たとえば・・・この店の入り口で、今の貴女を待ってくれているダイゴっていう男の人のために」
メイリン「うっ・・・ひっく・・・お、お母さん、ダイゴのことも・・・知ってるんだ」
アリシア「うん、貴女の気持ちも含めて、全部ね。貴女になにもしてあげられなかった私が偉そうに言えたことじゃないけど・・・やっぱり母親としては、自分の娘には幸せになってほしいのよ」
メイリン「お母さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたし、今日ここでまたお母さんに会えて・・・ほんとうに嬉しかったよ」
アリシア「私も嬉しいわ、この身体を貸してくれた、アリシアさんにも感謝しなきゃね。それと、メイリンに1つお願いがあるの」
メイリン「な、なに?お母さん」
アリシア「私に孫ができて、その子も女の子だったら、その子にもそのチャイナ着せてあげてね」
メイリン「ぶっ!孫って、そそそそそそそそれってつまり・・・・・・・あ、あたしとダイゴはまだそんなんじゃないってば!!それに、このチャイナを着るってことは、胸がおっきい子が三世代も続くわけじゃない。近所の人に、巨乳一家なんて呼ばれちゃうわ」
アリシア「ふふっ、それはそれで楽しそうね」
メイリン「はぁ、お母さんには敵わないわ、あははっ」
アリシア「・・・・それじゃ、お母さん、そろそろ行くわね。帰ったら、あの人にもメイリンは元気だったって伝えるわ」
メイリン「うん・・・・・さようならじゃなくて・・・また、また・・・・・今度ね」
アリシア「ふふ、また・・・今度ね、愛してるわ、メイリン」








メイリン「それじゃ・・・失礼します。ほんとうにありがとうございました」





ダイゴ「よっ。お袋さんとは無事会えたか?」
メイリン「うん、さすがは霊媒師として有名なアリシア先生ね。お母さんとまた話しができて・・・あたし、ほんとうによかった」
ダイゴ「そっか、よかったな。んじゃ、行くか」
メイリン「ねえダイゴも、ダイゴのお父さんかお母さんに会いたいと思わないの?今なら・・・アリシア先生に頼めば、会えるかもしれないよ?両親に会ったことなくて・・・寂しいとか、思わない?」
ダイゴ「ん、思わないな!俺には料理があるからな!!」
メイリン「もう、二言目には料理なんだから。あはは、でも、ダイゴらしいわ」
ダイゴ「それと、俺には料理と、お前がいるからな」
メイリン「え、ダイゴ、今なにか言った?」
ダイゴ「なんでもない!よしメイリン、今日は明石のタコを釣りにいくぞ!今晩の料理に使おうと思ってるんだ!」
メイリン「あ、明石!?それって兵庫県でしょ!?日帰りで帰ってこれる距離じゃないわよ!?」
ダイゴ「俺はできる限り食材は自分で調達したいんだ!ちょっと待ってろ、自転車取ってくるからな!」
メイリン「しかも自転車で行く気!?そりゃ無理でしょって、もう行っちゃったし。仕方ないわね・・・このあたしが、また付き合ってあげますか!」




灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ
第30話・完
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by irekawari | 2007-04-30 00:44 | 女同士の憑依・乗っ取り
灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ
CM

メイリン「灼熱の料理人クッキングファイター・ダイゴのDVDも6巻目!今回は21話から24話を収録!
21話はダイゴの家賃未払いのため、なんと灼熱飯店が営業停止!?家賃を稼ぐため、あたしが夜のアルバイトをする羽目に!?
22話は恒例の御門との料理対決!今回の舞台はなんと嵐の海の上!足場の不安定な場所で、ダイゴはうまく料理できるのか?玲子さんの意外な趣味も明らかに!あたしの水着姿も必見♪
23話は、ダイゴに憧れる子供が、押しかけ弟子としてやってきた!ダイゴが語る、本当の料理人とは!?
24話はアキハバラのメイド喫茶で料理対決!!灼熱の料理は、萌えに打ち勝つことができるのか!?
料理の力で人々に笑顔を!ダイゴの戦いはまだまだ続く!」
ダイゴ「DVD6巻、2月3日に発売開始(バトルスタート)!!」







灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ
第49話予告編

ダイゴ「いや~、驚いた驚いた、まさかメイリンと玲子さんの身体が入れ替わっていたなんてな」
玲子「そうそう、あたしも大変な目に・・・って、ちょっと待った!なんでダイゴがそのこと知ってんの!?ダイゴ、本編じゃまだ知らないはずでしょ!?」
ダイゴ「いや、今回の話の台本に書いてあるし」
玲子「台本とか言わない!!」
ダイゴ「ん?まずかったのか?今回の次回予告は持ち込み自由だって聞いたから、とりあえずそこらにあるもの全部持ってきたぞ?ほら、調理道具もこんなに!」
玲子「次回予告に調理道具なんか持ってきてどうすんのよ!」
ダイゴ「いつでもどこでも最高の味を追求する!それが俺の灼熱流だ!!」
玲子「それは知ってるけど!時と場所を考えなさい!」

玲子(はっ!台本読んだってことは、あたしがダイゴのこと好きだってことも、ダイゴに全部知られちゃったんじゃ・・・ひゃあああああっっ!!ど、どうしよう、ダイゴに、あたしの気持ち知られちゃった・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、は、は、恥ずかしくてダイゴの顔、まともに見られないよ・・・でも、もしダイゴもあ・・・あたしのことす、好き・・・でいてくれ・・・たら嬉しいし・・・だ、ダイゴはあ、あたしのこと・・・どう思ってるのかな・・・あ、あたしの気持ちを知ってるんなら、好きとか嫌いとか、あたしになにか言うことあるんじゃないの!?まったく、この料理バカの朴念仁は・・・)
ダイゴ「メイリン、顔赤いぞ?熱でもあるのか?今ちょうど材料あるから、熱さましなら1分で作れるぞ?」
玲子「ね、熱なんかないわよこのバカ!それよりあ、あたしになにか言うことあるんじゃないの!?」
ダイゴ「俺がメイリンに?今は特にないな。それより、俺の灼熱炒飯がそろそろ完成なんだ、今回は焼き方をちょっと変えてみたからさらに飯のフワフワ感がアップしてて美味いぞ!食べてみてくれ!」
玲子「いらない!後で食べるけど!!とりあえず料理はストーーーップ!!!」
ダイゴ「そうか、じゃ皿に盛りつけて置いておくぞ。俺の料理は冷めても美味いからな!」
玲子(ううっ、相変わらずいい匂いしてるわ・・・今食べればよかったかな・・・って、なにあたしまで料理に引っ張られてんの!?もうっ、ダイゴったら料理のことしか頭にないんだから。それにしても・・・あ、あたしの気持ちを知っていて、特になにもないなんて・・・もしかして、あたしって本当にどうでもいい存在だと思われてるんじゃ・・・。ん?そういえばダイゴが料理と武術以外に関する本なんて滅多に読まないはず・・・ひょっとして台本も・・・)
玲子「ねえダイゴ、台本は全部読んだ?」
ダイゴ「ん、いや、俺の台詞んとこと、入れ替わりのシーンあたりだけだな」
玲子「全部読まなかったの!?」
ダイゴ「俺は料理と武術に関する本以外は読みたくない!」
玲子「威張るな!!本ぐらい読みなさい!」
玲子(はぁ、結局あたし一人で舞い上がっていただけか。ダイゴにあたしの気持ち知られなくてよかったけど、それはそれで寂しい気もするし・・・)
ダイゴ「よし、調理道具の片付け完了!あ、そうだ、メイリン」
玲子「ん?なに、ダイゴ」
ダイゴ「さっきの話だけどさ。そういえば1つ、メイリンに伝えたいことがあったのを思い出した」
玲子「ふーん、なに?」
ダイゴ「えー、あー、その、なんだ」
玲子「???」
ダイゴ「メイリン」
玲子「きゃっ、急に肩掴まないでよ。ってなに急に真剣な顔してんの・・・よ」
ダイゴ「メイリン、ずっと前から思っていたことがあるんだ・・・その、俺の気持ちというか・・・」
玲子「え・・・・?」
玲子(なになに、ま、まさか・・・これって・・・)
ダイゴ「メイリン、お、俺は・・・」
玲子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
玲子(ちょっ、顔近い・・・・じゃなかった、きゃあああああああああああ!まさかこれって、ほんとに、だ、ダイゴが・・・あ、あたしの・・・こと・・・)
ダイゴ「俺は・・・」
メイリン「させるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっ!!!」
ズドゲシッッッッ!!!
玲子「ごぶぅぅっっっーーーーーーーーーーーー!!??」
ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ドスン!
ダイゴ「な、なんだ!?」
メイリン「愛の告白なんかさせるかぁ!!ダイゴくんは私のものよ!!」
ダイゴ「め、メイリン・・・じゃなくて今は玲子さんか」
メイリン「ああぁ~ん、ダイゴくんったら、今は私がメイリンなんだから、『メイリン(はあと)』って呼んで♪」
ダイゴ「ちょっ、玲子さん!?」
メイリン「本編じゃキス1回だけだったからぁ、キスの続き、ここでしよっ♪」
ダイゴ「続きって、目を閉じて唇を近づけないでくださいよっ!」
ドドドドドドドドドドド。
玲子「ちょっと待てぇーーーーーーーーーーーーーい!!」
ブン
ひょい
ガスッ
ダイゴ「ごふっ!?」
玲子「きゃあっ!?だ、ダイゴごめん!!」
メイリン「もう、ほんとに暴力女なんだから。ダイゴくん、こんな女と付き合っていないで、私にしましょう?私なら、ダイゴくんの身も心も癒してあげられるから・・・♪」
玲子「玲子さんがあたしの蹴りを避けるからでしょ!だ、ダイゴ大丈夫!?」
ダイゴ「ごほごほ、ん、だ、大丈夫、大丈夫」
メイリン「へへーん、暴力女~」
玲子「いきなり跳び蹴りかましてくるほうがよっぽど暴力的だと思いますけど!?」
メイリン「なによ、私のいないところでダイゴくんから愛の告白されようなんて!この泥棒猫!」
ダイゴ「ん?愛の・・・?」
玲子「わーーー待った待った!!玲子さん、それ以上はなし!!」
メイリン「ふふーん、まあいいけど。それよりダイゴくん、私、急に胸が苦しくなって・・・診てくれないかしら?」
ダイゴ「ぶわっ、れ、玲子さん!?」
玲子「また服はだけて胸出してるーーーーーー!!あたしの身体でそんなことしないでくださいってばーーーーっっ!!」
メイリン「ダイゴくん、私、ダイゴくんに抱き締められていたら、この胸の疼きが収まると思うの」
ダイゴ「って、玲子さんのほうから抱きついてきているじゃないですかっ!」
メイリン「私、ダイゴくんなら全てを捧げてもいいよ・・・」
玲子「それはあたしの身体ですって!!そ、そんなことするんだったら、あ、あたしも玲子さんの身体で脱ぎますよ!?胸出しますよ!?」
ダイゴ「め、メイリンお前まで!?」
メイリン「ふふん、誰が三十路前の行き遅れ女の胸なんか見たがるもんですか!」
玲子「玲子さん、それ、自分で言ってて後で虚しくなりますよ・・・?」
メイリン「うん今もちょっと虚しい・・・」
ダイゴ「・・・・・・・・・・・」
玲子「・・・・・・・・・・・」
メイリン「ほーーーーーーーほっほっほ!!でも今はあたしが19!ピチピチギャルなのよ!そしてあんたが行き遅れ!!さあ女として不幸なのはどっちかしら~?」
玲子「玲子さん、あたしの身体に入っているのを差し引いても、ずいぶんキャラ変わりましたね・・・」
メイリン「うっうっ、ひっく、いいでしょ少しくらいはっちゃけても!!久々の登場だったんだから!!」
ダイゴ「そういえば玲子さんに会うの久しぶりだな。えっと、どのぐらい会ってなかったんだっけ?」
玲子「うーんと、ちょうど12話振りになるわね。あたしも、本編で玲子さんに会ったときは久しぶりすぎて、かえって新鮮だったわ~」
メイリン「そうよ12話ぶりよ!!ちょうど3ヶ月よ、季節が1つ変わるぐらいの長さよ!?」
玲子「そうですね、2話前までの『全国放浪編』がずいぶん長かったですからねぇ。その間、御門との料理対決は全然無かったし。あたしはダイゴと一緒に日本全国の旅ができたから楽しかったけど」
メイリン「私は楽しくないわよ!私だって準レギュラーのはずなのに、すっかり忘れ去られた存在になっていた私の気持ちが分かる!?」
玲子「それはあたしからはなんとも・・・っていうか正直、玲子さんもう降板してたかと思ってたし・・・」
メイリン「むかついた!めっちゃむかついた!もう最終回になってもこの身体返してあげないんだから!!」
玲子「わーーーー!玲子さん落ち着いて!!」

玲子「それにしても玲子さん、あたしの身体に馴染むの早いですね。あたし、未だに玲子さんの声でしゃべってるのって違和感あるんですけど」
ダイゴ「そうか?俺は玲子さんの姿のメイリンを見ても、普通にメイリンだと思えるぞ」
玲子「ダイゴは気にし無さ過ぎ!なにげにあたしだと分かってもらえるのは嬉しいけど!」
メイリン「ふふん、こういうのは気持ちの問題よ。ダイゴくんへの想いの強さがあれば、メイリン=シャミーになりきることだって問題じゃないのよ!というわけでダイゴくん、私の気持ち、受けとめてくれる・・・?」
ダイゴ「玲子さん、ま、また胸が!!」
玲子「お色気攻撃は禁止ーーーーーーーっっ!!」

音響監督「あと15秒です~」

玲子「わーーーーー!!ダイゴ、あと15秒だって!!」
ダイゴ「うお!?もうそんな時間か!?」
メイリン「ったく、ちゃんと次回予告してないからこうなるのよ」
玲子「玲子さんが乱入してこなきゃもっと短くまとまっていたんです!ダイゴ!あと10秒で、とりあえず締めて!」
ダイゴ「よし、いくぜ!次回、灼熱の料理人クッキングファイター・ダイゴ!!
第49話『最終章・其の二 決勝直前!ついに完成!!これが究極の灼熱の料理だ!!』
に、調理開始(バトルスタート)!!」
玲子「ひょっとしてあたし、次回放置っぽい!?」
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by irekawari | 2007-04-28 23:54 | 女同士入れ替わり
灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ

第48話「最終章・其の一 ダイゴよ気付け!!罠に堕ちたメイリン」
(全4回のうち4回目)





メイリン「はぁぁぁぁぁぁぁ」
とっさに思いついた作戦が成功したのは良かったが、ダイゴのあまりの変わりっぷりに、ちょっと気圧されてしまい、精神的に少し疲れ、思わず気の抜けたような声を出してしまった。
ダイゴは料理が生き甲斐だから、料理に関することを言えば、気をひくことができると思って言ってみたのだが、あまりにあっさりと、あまりにもうまくいったので、かえって拍子抜けしてしまった。
しかし、これでダイゴの興味は完全に料理に移った。もう、完全に壁の向こうの宮内玲子を、本物のメイリンのことを気にしていない。
メイリンの目の前でダイゴに告白し、ダイゴを自分のものとすることで、メイリンに絶望を味あわせてやる計画は失敗したが、まあ、これはこれでいいだろう。
どうせあの女は、これから死ぬまで永遠に地下暮らしが続くのだ。
もう会うこともない。
これからは、この私がメイリン=シャミーなのだ。
メイリン「ふふふっ、じゃあね」
メイリンは壁の向こうの宮内玲子に向かって、最後の挨拶をし、ダイゴを追ってトレーラーの入り口に向かった。




メイリンがトレーラーの荷台から出て、地面に下りると、もうかなり日は傾いていた。
辺りの景色が、夕日を浴びてオレンジ色に染まっている。

ダイゴ「メイリン、早く乗れ!店まで、全開スピードで帰るぞ!」
トレーラーから降りたすぐのところで、ダイゴが自転車にまたがり、メイリンに向かって後ろの荷台をむけ、自分は顔だけ振り返った状態で待っていた。
メイリンは自転車の二人乗りなんてしたことないのでちょっと戸惑ったが、やがて自転車の荷台に横座りの姿勢で腰掛け、上半身だけ90度捻ってダイゴのほうを向き、そのまま自分の上半身とダイゴの背中を密着させ、最後に両腕で、ダイゴの筋肉質だが引き締まっている胴をぎゅっと抱きしめた。
ダイゴ「よし、とばすぞ!メイリン、しっかり掴まってろよ!!」
メイリン「え!?きゃ・・・」
ゴッ!
という、高速で自転車のペダルをこぐ音がしたかと思うと。
まるでスタントをするバイクのように、自転車の前輪が浮いた。
メイリン「きゃああああああああ!」
ダイゴ「りゃあああああああ!!」
メイリンはそのまま後ろに転倒するかと思って叫び、思わずダイゴに掴まる腕の力を強くした。が、自転車の前輪はそれ以上浮かず、ふわりと地面に着地したかと思うと、今度は後輪から白煙を巻き上げて、まるでロケットか!?と思えるほどの加速力で、前方に向かって走り出した。
もはや自転車を超越したその超スピードに、メイリンは悲鳴をあげたくなってしまったが。
腕に伝わる固くがっしりした感触と、あたたかい体温を感じていると。
ダイゴを信じていれば怖いことはなにもない。
そして、この腕をずっと放したくない、そう心の中で思った。



一方、トレーラーの荷台の中に一人取り残された宮内玲子は。

玲子「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
さっきのメイリンのごとく、玲子もまた、疲れ切った様子で、半開きになった口から気の抜けたような声を出していた。
体は椅子の背もたれに完全にもたれかかり、頭も後ろにだらんと下げ、顔は真上の、天井・・・というか頭上の巨大ヘルメットに向けられている。
玲子「あのバカ・・・あそこまで料理バカだとは思わなかったわ」
口ではダイゴをけなす言葉を言いつつも、本心ではそうは思っていなかった。単に軽口を叩いているだけである。
最後の最後で、またメイリンの策略にひっかかってしまったようなものであるのに、玲子の心はなぜか晴れやかであった。
残念ながら自分を助けるまでには至らなかったが、ダイゴはあたしに気づいてくれた。あたしがここに居るって、分かってくれた。正確には、本物のメイリン=シャミーがここにいると知っての行動ではなかったのだが、玲子にとってはそれで十分だった。
少なくとも、今は絶望は感じない。
ダイゴ当人は・・・料理に吊られて行ってしまったが、ダイゴの心は、すぐそばに感じられる。
自分はひとりじゃない。
いつだって、ダイゴと一緒なんだ。
そう思うと、希望が感じられる。
状況は決して良くなっていないが、どんな困難も障害も、乗り越えようと思える。

キスしたり、抱き合ったりするだけが人のつながりではない。
宮内玲子は、いやメイリンの心は、ダイゴとの心のつながりを今しっかりと実感していた。


コツコツ。
トレーラー内に、複数の人物による靴音がする。
そして、玲子の目の前にあった壁が、プシュッと音を立てて上昇し、天井に収納された。
さっきまで壁があったところには、5~6人ほどの黒服が立っていた。
黒服達は皆サングラスに黒いスーツ、黒い革靴といった服装で、全員が同じような見た目だ。せいぜい、背の高さが違うことぐらいしか分からない。
黒服「宮内玲子。メイリン様の命令により、お前を地下の工場に連れて行く」
黒服の集団のうちの一人が、玲子に向かって告げた。
どうやら、黒服達は玲子とメイリンを、身体のほうの名前で呼ぶように統一されているようだ。
玲子「あたしはメイリン=シャミーよ。人の名前で呼ばれたくないわね」
玲子は目の前の黒服の目を見据え、強い口調で返した。
ガッ。
次の瞬間、黒服は玲子の左頬を固く握った拳で殴っていた。
黒服「生意気な口を聞くなよ。もうお前は御門にとって単なる労働力なんだ。せいぜい、後何年生きていられるかの心配でもしていろ」
玲子は殴られた衝撃で、顔が右を向いたままでいたがすぐに正面に向き直った。その左頬には、今できたばかりの痛々しいアザがある。
玲子「痛い(いったい)わね」
玲子は目の前の、自分を殴った黒服を、上目遣いで睨みながら、吐き捨てるように言った。
黒服「生意気な口を聞くなと言ってるんだ!」
ガコッ。
今度は黒服は玲子の右頬に肘打ちを見舞った。さっきの拳のときより力を込めて。
肘打ちを食らった衝撃で、玲子の顔が大きく左を向く。玲子の右頬には、左頬と同じようなアザがついていた。
玲子はそのままの姿勢でプッと口から何かを吐いた。血だ。口の端から、血がツツーと滴り落ちる。
玲子は顔は左を向いているが、視線は目の前の黒服を見据えたままだった。
黒服「フン、地下へ連れて行く前に、御門の恐ろしさをその身に教えこんでやったほうがいいな」
あくまで反抗的な態度を崩さない玲子を見て、黒服は脅しの言葉を口にする。
玲子は身動きがとれない。
黒服は5~6人いる。
この状態でボコられたら、玲子には為す術がない。
目の前の黒服以外の黒服も、じりじりと玲子への距離を詰めてくる。
玲子「はン、御門御門言うけど、あんたらもちっぽけな下っ端のくせに。御門の名前を借りないとなにもできない腰抜け連中が、あんたらこそ偉そうな口聞いてんじゃないわよ」
黒服「なんだと・・・?」
玲子「それに御門だって、この程度の組織、あたしらの国(中国)じゃ、腐るほどあったわよ。設立して3年程度の組織じゃ、まだまだガキんちょの組織じゃない」
黒服「この女・・・」
黒服「言わせておけば!」
黒服「宮内玲子、我々は、お前を生きて地下へ連れて行け、と命令された。つまり、殺してはいけないが、死なない程度なら何をやってもいいということだ」
玲子「身動きとれないか弱い女に、大の男が寄ってたかって・・・情けない」

玲子「ねえあんた、あんた何番なのよ?」
黒服「なんだ?いきなり」
御門グループの下級構成員である黒服連中は、それぞれナンバーがつけられ、普通は名前ではなくそのナンバーで呼ばれることになる。御門と何度もやり合っている玲子は、黒服のナンバー制のことも知っていた。
玲子「何番かって聞いてんの」
黒服「そんな質問に答える必要はない!」
玲子「あっそ。別にいいけど。もう覚えたから」
黒服「なんだ、何を覚えたんだ」
玲子は左に向いていた顔をゆっくり正面に戻しながら、睨め付けるような視線のまま、口元に酷薄な笑みを浮かべてこう言った。


玲子「あんたの声」


その声はたしかに玲子の声なのだが、とても同一人物が発したとは思えないほど、重く、暗く、凄みを伴ったものだった。そこには、脅しや暴力目的ではない、ある感情が込められていた。
黒服はまるで背中にツララを入れられたかのように、全身をビクリと震わせた。
そして激しい悪寒が全身を包む。まるで体中の生気を抜かれたかのような、異様な感覚。全身の穴という穴からは、冷や汗が出ていた。

黒服(な、何だ・・・!?中身はただの19歳の小娘だと聞いている。な、なんで俺はそんな小娘の言葉ひとつでここまで震え上がっているんだ・・・!?)

玲子「たとえ黒服が千人同時にしゃべってたって聞き分けてあげるわよ。ここ(御門)をブッ潰すときに、ちゃんと『お礼』しなきゃね・・・あたしの頬を二度も殴ってくれたあんたに、ね」

玲子「ねえねえあんたら、『漆黒の凶星』って名前、知らないでしょ?」
黒服「・・・・・・・・」
黒服達は本当にその名を知らないため、正直に、無言で首を左右に振った。

玲子「でしょうね。知らなくて当然よ、知ってたら・・・」



玲子「あんたら、今ごろここにいないから」


玲子「それとあんた、今から首の骨、鍛えていたほうがいいわよ?」
玲子は目の前の、自分を殴った黒服に向かってなおも続けた。
首を少し傾け、さらに首を少し捻って首にかかる髪を後方に流し、「首」をさらけ出して強調して相手に見せながら。
玲子「あたしが『お返し』するとき、一撃で逝きたくはないでしょ?」



その後、黒服達は無言でトレーラーの荷台から出て行った。
玲子に暴力をふるう者や、言葉を発する者すらいなかった。
黒服達が出て行った直後ぐらいに、ドルンとエンジン音がした後、ガタガタと車内が揺れ始めた。
どうやら、トレーラーが発進したらしい。
この車内の揺れがおさまったら、そこが奴らの言う御門の地下工場なのだろう。

敵の中に飛び込めるのなら願ってもない。
いい加減イライラもたまっているので、ちょっと発散してもいいだろう。
この際だから、徹底的に叩いておこう。

玲子「・・・・はっ!」
玲子は頭をぶんぶんと左右に振った。危ない考えを頭から追い出そうとするかのように。
玲子「いけないいけない、すっかり昔のあたしに戻ってたわ。日本に来てからは大人しくしようと思ってたのに」


玲子がさっき言っていた「漆黒の凶星」、それは玲子、いやメイリン=シャミーが中国に居た頃の、彼女の通り名である。
ただし、彼女自身が名乗っていたわけではなく、裏世界の住人がメイリンに対して勝手につけた名前である。
3年前に日本に来るまで、ダイゴとメイリンは生まれ故郷でもある中国に居た。
ダイゴは熱血直情行動派なので、とにかく後先を考えず行動する。特に、料理が絡むとそこにどんな障害があろうと、お構いなしに突き進んだ。時には、中国の裏社会の住人の反感を買うこともあった。そんなとき、ダイゴは得意の武術で、自分の行動を邪魔する者を叩き潰していた。ほとんどの場合、ダイゴの考え無しの行動が原因なのだが、別に彼は暴力を振るいたいわけではない。ただただ、美味い料理、美味い食材を追い求めているだけなのだ。ただ、そのダイゴの暴走が、裏社会の住人にとっては「喧嘩を売っている」ととられてしまうわけで、中国全土の行く先々で、命を狙われることは日常と化していた。当然、ダイゴのパートナーとしてずっと一緒にいるメイリンも、その戦いに巻き込まれる。『気』こそ使えないものの、武術の腕前はダイゴにひけをとらないメイリンのは、数え切れない実践の中で、さらに実力を増していた。ダイゴと共に、死にかけたことも一度や二度ではない。生きるか死ぬかの死線を乗り越えていく中、メイリンはその道のプロをも上回る力を身につけていた。
こうして、裏社会のいくつもの組織が、ダイゴとメイリンによって潰されていった。2人の驚異の力に、裏社会の住人達は戦慄し、いつしか、誰からともなくダイゴとメイリンを、ある通り名で呼ぶようになった。
ダイゴは、表社会でも使われている、「灼熱の料理人」がそのまま使われた。
メイリンは、ほとんど常に黒色のチャイナドレスを着て行動していた(このチャイナドレスは、メイリンの母親の形見である)。
そのため、裏社会の住人はメイリンのその服の色と、彼女が自分たちの組織に凶事をもたらすことから、『漆黒の凶星』と呼ぶようになった。

「灼熱の料理人」と「漆黒の凶星」のペアは中国の裏社会で恐れられていたが、一方で、裏社会の住人の中にもダイゴの料理の腕に惚れ込んで、ダイゴとメイリンに味方して、危ないところを匿ったりする者もいた。彼ら協力者のおかげでダイゴ達が命を狙われる機会も少しは減ったが、それでもやはり限界はあった。
そこでダイゴは中国を出ることにした。理由は2つ。一つは中国の裏社会で自分たちが危険な存在になっているため、そのほとぼりをさますため。もう1つは、まだ見ぬ世界の未知の料理を体験するため、であった。
そして3年前、中国を出たダイゴ達が新たな新天地として選んだのが、ここ日本だった。ダイゴはメイリンと共に灼熱飯店という店を構え、現在に至る。

ちなみに「漆黒の凶星」という通り名、メイリン本人はもちろん気に入っていない。
年頃の女の子がそんな不吉そうな名前をつけられても嬉しいはずがない。
なので、これまでメイリンがその通り名を自ら口にしたことはなかったので、さっき黒服に向かって言った言葉が初ということになる。
玲子「あーあ、自分であの名前言うようになっちゃおしまいね。でもまあちょっとビビらせとかないと、あいつら調子に乗りそうだったし。いいわよね、別に」

玲子「決勝大会まであと一週間・・・ダイゴも、決勝で出す料理のために頑張っているんだから、あたしはあたしで、自分のできることをしなきゃね。それで・・・」
必ず、ダイゴの元へ帰ってみせる。玲子は、メイリン=シャミーは、心の中で誓っていた。







続く




後書き。

「漆黒の凶星」は、「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」に登場する「ジャン・キャリー」の通り名「煌めく凶星『J』」が元ネタです。
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by irekawari | 2007-04-23 00:05 | 女同士入れ替わり
灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ

第48話「最終章・其の一 ダイゴよ気付け!!罠に堕ちたメイリン」
(全4回のうち3回目)






メイリン「な、な、なに言ってるのダイゴ!?」
入れ替わりの事実に気付いたかのようなダイゴの発言を聞き、どんな男も魅了するような蠱惑的な笑みをうかべていたメイリンの表情が、引きつったようなぎこちない笑顔に変わる。
メイリン「あ、あたしがメイリンじゃなかったら、誰がメイリンだっていうのよ!?」
メイリンは平静を装い、極めて当たり前の返答をしたつもりだが、言葉がどもっているところからも、心の動揺が見てとれる。メイリンの額から冷や汗が一筋、頬を伝って流れ落ちた。

まずい。
ばれた?

メイリンは心の中でつぶやいた。
もちろんメイリンと玲子が入れ替わっていることに、である。
ここまで全て自分の思惑通りに事を進めてきたメイリン。メイリン=シャミーを拉致・拘束し、ボディチェンジで身体を入れ替え、そのまま玲子の身体のメイリンを拘束し続け、自分はメイリンになりすましてダイゴに接触、女の武器を最大限駆使してダイゴを攻め、玲子の身体のメイリンに絶望を与えつつ、自分はダイゴに告白。メイリンの若く美しい身体も、御門での地位も、そしてなにより、愛しい人の、ダイゴの愛を。全てを手に入れるはずだった。
告白の前にいきなりキスという、過剰なお色気攻撃が、さすがに不自然すぎたか。
ダイゴは恋愛面には疎い傾向があるので、いきなり言葉による告白よりは、身体のスキンシップから攻めたほうがいい、とメイリンは思い、上半身裸で胸を押しつけつつ抱きついたり、そのままキスをしたり。ここまでして、目の前の自分を「女」として意識しないわけにはいかないだろう。実際、ダイゴは相当動揺していた。自分の女としての性を十分アピールした上で、告白につなげた。流れは完璧だったはずだ。じゃあ、なぜ気付かれたのか?

いや、待て。
ダイゴはメイリンか?と疑問形で聞いている。
まだ私が宮内玲子であると、まさかそこまでは分かっていないはずだ。
なぜダイゴがこんなことを言い出したかは分からないが、入れ替わりには絶対に気付かれていないはず。
落ち着け、私。
今まで通り、メイリン=シャミーを演じていれば、問題はない。

メイリンは自分に言い聞かせた。





一方、壁の向こうの、宮内玲子は。
大切な人を、ダイゴを奪われるかもしれないという絶望を味わい、悲しみによる大粒の涙を流していた。
が、その涙も今は止まっている。
玲子「え・・・・・・なんで・・・」
玲子は眼鏡の奥の瞳を大きくまばたきさせ、少し呆けた状態で小さくつぶやく。



自惚れるわけではないが、ダイゴは、ダイゴはたぶん、私のことをす・・・す・・・好き・・・で、いてくれると思う。・・・こうして心の中で思うだけで、胸の奥が熱くなり、自分の頬がかぁっと赤くなるのが分かる。
ダイゴがあたしのことを好きかどうかについては、根拠はない。
なにをおいても料理のことが第一!で、恋愛に関することには疎いあの男のことだから、そもそも自分を「女」として見ているかどうかも怪しい。が、19年間ずっと一緒に生きてきて、その長い時間の中で、ダイゴの考えていることは、言葉ではっきり言わなくても、なんとなく肌で感じて分かるようになっていた。
料理を覚える過程で武術も習い、体つきも随分たくましくなったダイゴだが、未だに心の中は子供みたいなところがある。共に19歳となった今でも、たまに口喧嘩することもある。けど、それは表面的なことだ。子犬同士の喧嘩が単なるじゃれ合いであるように、それもコミュニケーションの一部である。
あたしも、ダイゴのことが好きだ。いつからダイゴを「男」として意識するようになったかは、もう覚えていないが、はっきりダイゴに自分の気持ちを伝えなくても、これから先も、ずっとダイゴと一緒にいられれば、それでいいと思っていた。
だがしかし。
そんなのんびりしたことは言えなくなってしまった。
あたし達が日本に来て、ダイゴが御門と料理勝負するようになってから知り合った、御門の社員の宮内玲子さん。その玲子さんが、なんとダイゴのことを好きだという。
そのことを玲子さんの口から・・・正確には「あたしの口」からなのだが、まあそれはおいといて・・・聞かされたのが、ついさっきのことだ。
あたしは驚いた。あんな料理バカのどこがいいのかと思ったが、それを言えばあたしも同じだ。人のことはいえない。
それと、もう1つ驚いたことがある。玲子さんとダイゴは、これまでにも何度も会っている。あたしも、恋愛に敏感なわけではないが、恋する女同士として、しかも、好きな人が同じであれば尚更、玲子さんのその気持ちに気付くはずである。でも、それまでの玲子さんからは、ダイゴのことが好きだという気持ちは感じられなかった。ということは、今までは他人に悟られぬよう、自分の気持ちをひたすら抑えていたことになる。ダイゴと会うときも、極力「仕事」と割り切って接触していたのだろう。好きな人を目の前にして、自分の気持ちを隠さなければいけなかった理由についてはよく分からないが、同じ女として、その辛さは十分に分かる。だが、玲子さんはその隠してきた気持ちを、意外な方法で披露してきた。
それが、この変な機械であたしと身体を入れ替えること、である。
中国にいたときも、いいかげんいろんな大変な目に遭ってきたが、さすがに身体をそっくりそのまま入れ替えられる、なんて体験は初めてだ。今、自分が玲子さんの身体になっていることも、現実に自分の手足が、顔が、身体が、玲子さんのものになっていることを目の当たりにしても、まだ少し実感がないぐらいだ。
しかし、ほとんど間をおかずに、身体が入れ替わっていることをイヤでも実感せざるを得なくなった。
あたしは玲子さんの身体のまま、この密室に閉じこめられ、あたしの身体になった玲子さんはあたしになりすまして、あたしを助けに来てくれたダイゴに、抱きついた。
そして、キスをした。
本当のことをいえば、玲子さんに少し、いやかなり黒い感情を持った。
自分のファーストキスをとられたこと・・・というよりは、あんなにあっさりと、ダイゴにキスしたこと。自分の気持ちをダイゴにストレートにぶつけているという、同じ女として羨む気持ちや、反発心。そして、身体を入れ替えてまで、「あたし」になりすましてそれらのことをしているという、明らかに「悪意」を持ってのそれらの行為に。
胸の奥にどす黒い感情が沸き起こる。
その瞬間、たしかにあたしは玲子さんを憎んだ。
しかしすぐに、憎しみとは別の感情が、あたしの心の中を覆った。
胸が張り裂けそうな思い。自分が自分でなくなりそうな、そんな果てしない絶望感。
ダイゴが誰かのものになってしまうなんて、考えたこともなかった。壁一枚隔てた向こうで、ダイゴは、玲子さんのものになろうとしていた。あたしの姿をした、今やあたし本人となった玲子さんによって。
いやだ。
いやだ。
聞きたくない。
あたしは、あたしはダイゴの気持ちが、分かる、分かるつもりだ。
ダイゴもきっと、少なからず、あたしのことを思ってくれているはず。
あたしが、自分の秘めた想いをダイゴに伝えたら。
その手の話題に慣れていないダイゴのことだ、顔を真っ赤にして、あたふたするに違いない。
もしくはそっぽを向いて、照れ隠しのために適当な軽口を叩くかもしれない。
しかし、ダイゴなら、きっとあたしの思いを受けとめてくれるだろう。
何度もいうが、それはあたしの自惚れかもしれない。
根拠もない。
確信もない。
言葉で確かめたわけでもない。
けど、あたしには分かる。言葉では上手く説明できないが、あたしはダイゴのことがすべて分かっているつもりだし、これからも、ダイゴのことを一番分かってあげられる存在でいたい。
そんなあたしだから、もしあたしがダイゴに告白すれば、ダイゴがどんな返事を返してくれるかも分かる。
それは、あたしにとってこの上ない喜びを感じる言葉であるはずなのに。
今この状況で聞かされたら。
もちろん、その言葉を向けられているのはあたしではない。あたしの身体の、あたしの姿をした玲子さんに向けられている。
ダイゴが、あたしではない他の女に、あたしではないはずのあたしに。

「好きだ」と言ってしまったら。

待ち望んでいたはずのその言葉は、もはや死刑宣告でしかない。
考えたただけでで目の前が真っ暗になる。心を闇が覆い尽くす。
大げさなようだが、今の自分が在るのは、ダイゴがいるからだ。ダイゴが傍にいること、それが自分にとっての普通である。ダイゴのいない生活など考えたこともない。ましてや、他の女のものになることなど。
ダイゴのいなくなった世界で、あたしは生きていけるのか。他に好きになれる人を探すとか、生きる方法はいくらでもあるだろう。が、今はそんな心の余裕がない。

そして目の前では、今まさに、あたしではないあたしが、ダイゴにその想いを伝えようとしていた。
何も考えられなかった。
叫ぶしかなかった。
苦しくて苦しくて、やがてあたしは現実から目を逸らした。

自分のすぐ近く、壁の向こうで起こっている最悪な出来事を認めたくなくて。子供が駄々をこねるように、何も見ない、何も聞かないことにして、現実を拒否しようとした。
しかし、あたしにとって最悪なその言葉は、最後まであたしの耳に届くことはなかった。
ダイゴが止めたのだ。
令子さんの、好きという告白を。



ダイゴが、目の前のあたしがあたしじゃないって、気づいてくれた?
宮内玲子の心の中に、かすかな希望の灯がともる。
だがしかし、同時にまだ半信半疑でもあった。
入れ替わりの事実を知らないはずのダイゴが、なぜそんな質問をするのか?
まだ分からないことだらけだ。
玲子は目の前のモニターに映るダイゴの姿と、スピーカーから聞こえてくる音声に神経を集中した。




ダイゴ「あ、いや、うん・・・そうだよな、メイリンがメイリンじゃないはずないよな」
逆にメイリンから問い返されたダイゴは、メイリン以上にしどろもどろになっていた。
メイリン「あ、当たり前よ・・・そ、それより、さっきの続きなんだけど・・・」
メイリンは少し怒ったふりをしながら、告白の続きをしようとする・・・が、ダイゴが腕を伸ばしたまま自分の肩をがっちり掴んでいるものだから、再び抱きつこうとしても身動きがとれない。
メイリン「ちょっとダイゴ、痛いから・・・腕、離して」
別にダイゴは力を込めているわけではないので本当に痛いわけではないのだが、こうしてくれないといつまでも離してくれなさそうなので、あえて口にしてみた。
ダイゴ「あ。悪い悪い」
ダイゴはようやくメイリンの肩をつかんでいた手を離した。
身体が自由になったので、メイリンはまたダイゴに抱きつこうとしたが、当のダイゴが、さっきから目が泳いでいるし、なにやらあたりをきょろきょろ見回していて、心ここにあらず、といった感じで、完全にそんな雰囲気ではなくなってしまった。
メイリン「ねえダイゴ、いったいどうしたの?今のダイゴ、ちょっと変よ?」
せっかくの告白のチャンスがフイになってしまい、メイリンはちょっとふてくされながらダイゴに聞いた。

ダイゴ「あ、いや。なんかこの中にさ、メイリンがもう一人いるような気がしてならないんだ」
ダイゴはトレーラーの中をぐるりと手で指し示すような仕草をしながら答えた。

メイリン「えっ、も、もう一人!?」
メイリンは、さっきのダイゴの質問のときと同じぐらい、ドキリとした。
ダイゴがものすごく核心をついたことを言ったからだ。
もう一人のメイリン。
それはすなわち、この壁1枚隔てた向こうにいる、宮内玲子の身体をした、本物のメイリン=シャミーのことだ。


玲子「も、もう一人のあたしって、ダイゴ、まさか本当に・・・あたしに気づいている!?」
ダイゴの声をスピーカー越しに聞いていた玲子もまた驚いていた。
まだ半信半疑だった気持ちが、だんだんと確信に変わっていく。



ダイゴ「自分でも変なこと言ってると思う。でも誰かが居るのを感じるんだ。メイリンはここにいるから、それはメイリンじゃない他の誰かなんだろうけど・・・すごくメイリンに似た、もう一人のメイリンのような『気』を感じる。その『気』の持ち主は、俺にとってすごく大切な存在のような気がするんだ・・・」
ダイゴは、言っている内容はすごく不確かな内容だったが、その口調は力強く、はっきりしたものであった。

メイリンはようやく理解した。
武術の達人でもあるダイゴは、人が誰でも持っている潜在エネルギー、『気』を扱うことができる。そして、『気』を扱う者であれば他人の『気』をも感じることができる。
メイリン自身は、体術に関しては護身術を習得している程度で、自身は『気』を使うことはできないが、一応知識として『気』のことは知っている。そして実際、ダイゴが『気』を使って戦っている場面を何度か見たことがある。
間違いない、ダイゴは、『気』を感知する能力を持って、壁の向こうに閉じこめられている宮内玲子の身体の中の、メイリンの存在を察知したのだ。
まずい。
事態は、メイリンにとって、不利な状況になりつつあった。


壁の向こうの玲子も、ダイゴの発言から、ダイゴが自身の『気』を感じ取って、自分の存在に気づいてくれたことを理解した。
しかし、どうやって自分をみつけたか、という理由よりも、自分に気づいてくれた、ただそのことがなによりも嬉しかった。
世界が暗闇に覆われるような圧倒的な絶望の中で、ダイゴが、ダイゴだけが、あたしに気づいてくれた、分かってくれた。
もうそれだけで胸がいっぱいだった。
玲子「ダイゴ・・・」
一言、大切な人の名前を呼ぶだけでせいいっぱいだった。
目が熱い。
涙腺がゆるむ。
ついさっきまで悲しみの涙を流していた目からは、また新たに涙があふれ出していた。
しかしそれは悲しみによるものではなく、世界で唯一、ダイゴだけが自分のことを分かってくれたことに対する、嬉しさからだった。


メイリン「ちょ、ちょっと待ってよダイゴ。黒服はあらかたやっつけちゃったんでしょ?このトレーラーの中に、「誰か」なんているわけないじゃない!」
メイリンが必死に抗議する。
ダイゴ「悪いメイリン、ちょっとの間、静かにしていてくれ」
ダイゴは目を閉じ、呼吸を整え、足を少し開け、右の手のひらを前方に突き出すような姿勢をとった。
意識を集中し始めているダイゴ。どうやら、さっきのメイリンの抗議も、ほとんど聞いていなかったようである。
ダイゴは、これと決めたら少し頑固なところもある。
そんなダイゴの性格をよく知っているメイリンは、これ以上ダイゴに何を言っても聞かないだろうことを悟った。
ダイゴは右手をかざしたままトレーラー内を少し歩き回った後、トレーラーの一番奥の壁の前で足を止めた。
ダイゴ「こっちだな・・・ここ・・・この壁の向こうに、誰かの『気』を感じる・・・すごく懐かしいような、落ち着くような・・・そんな波動を感じる」
そこまで言って、ダイゴはかざしていた右手を下ろし、目を開けた。
メイリン「くっ・・・」
メイリンは歯噛みした。
ここまでうまくいっていた計画が、すべて台無しになろうとしている。
ダイゴはもう、壁の向こうに誰かが居ることを確信している。
厚さ50センチのこの壁は簡単には破られないはずだが、ダイゴなら、どうにかしてぶち破ってしまうだろう。
壁の向こうにいる私、宮内玲子の身体をしたメイリンを発見したら、もう騙すことは出来ないだろう。
ダイゴに救出されたあの女が、これまでの経緯を全部ダイゴに話したら、それで終わりだ。
そんなことになったら、いくら私でも、これ以上誤魔化すことはできない。
メイリン「ちっ・・・」
メイリンは今度は舌打ちをした。
こんなことなら、変にあの女への復讐を考えずに、さっさとあの女を地下にブチ込んでやればよかった。
もしくは、せめてあの女を眠らせるとかしていれば、仮に私の身体が発見されても、なんとでも言い訳はできたのに。
メイリンは激しく後悔したが、それこそ後の祭りである。


玲子が見ている壁のモニターの画面いっぱいに、ダイゴの姿が映る。
どうやら、このモニターに映像を送っているカメラは、壁をはさんで、ちょうど向こう側、つまりダイゴにとっての目の前の壁についているらしい。そのカメラはよほど小さくて、外からはわかりにくいのだろう。
玲子「そうよ、ダイゴ、あたしはここよ!」
声は向こうには届かないと分かっていても、呼びかけてしまう。大切な人が、そこにいるから。
さっきまで感じていた絶望は、もう玲子の心の中にはなかった。

ダイゴ「よし、今からこの壁をぶち破る」
ダイゴがとんでもないことを言っている。
どうやら本気でこの壁をぶち破る気だ。
メイリン「ねえダイゴ、もうやめてよ!あたしはこうして無事だったんだから、もういいじゃない!そんなことしたって、なんになるの!?」
メイリンは両腕と両手を開きながら、無駄と知りつつも、それでも抗議の言葉を続ける。
ダイゴ「俺が納得できないんだ。大丈夫、すぐ終わるって。危ないから、ちょっとどいてろよ」
ダイゴはメイリンに向かって少しだけ振り向き、左手の手のひらで「下がってろ」の合図をした。
メイリン「ちょっ・・・」
メイリンがなおも抗議しようとしたとき。
ダイゴは正面の壁に向き直り、腰を少し落とし、腰のところで両手の拳を握り、構えをとった。
ゴオッ!!
その瞬間、ダイゴを中心に、目に見えない「力」の波動が放出され、トレーラー内の大気が震えた。
その目に見えない「力」を感じたメイリンは、思わず数歩後ずさってしまう。
ダイゴ「はあああああああああああああああああ!!」
ダイゴは瞬間的に自分の中の『気』を高めた。そしてそれをさらに増幅していく。
ダイゴ「おーい、そこに誰がいるか知らないが、できるだけ上のほうをぶち抜くから、ちょっとしゃがんでろよ!」
ダイゴは『気』を高めながら、壁の向こうにいる誰かに向かって、できるだけ大きい声で呼びかけた。


玲子「しゃがめったって!身動きとれないのよ!!」
壁の向こうで玲子が反論した。
玲子は未だに、椅子に金属ベルトで手足を固定されていて、身動きできない状態である。
椅子に座っているので、姿勢は低いといえば低いほうなのだが。下手をすれば、ダイゴが壁をぶち破ったときの衝撃に巻き込まれるかもしれない。
しかし、ダイゴほどの力量なら、『気』を探る力で、相手のだいたいの位置はつかめているだろうから、壁の向こうの相手に、衝撃が行くようなことはしないだろう。
玲子はダイゴを信じて待った。ダイゴなら、きっとあたしを助けてくれる、そう信じて。



メイリンは考えた。
あともう少しでこの壁は破られる。私の考えた計画も、全て水の泡になる。
入れ替わったこの身体も、元に戻ってしまうだろう。
そうなったら、私とダイゴの関係はまた逆戻りだ。私が御門に属している以上、ダイゴとは仕事の中の、ごく限られた時間しか会えない。私がダイゴへの恋で苦しんでいるときに、あの女はダイゴにべったりとまとわりついているのだ。そしていずれ、ダイゴはあの女のものになってしまうだろう。
そんなのは耐えられない。
またあの苦しい思いを味わうのか。
ダイゴにまとわりつく、害虫のようなあの女を、幸せにさせていいのか。
だめだ。
こんなところでは終われない。
もう時間もない。
ダイゴが、あともう少しでこの壁を破ってしまう。
考えろ。
考えるんだ。
なにか、なにか邪魔ができればいい・・・



ダイゴ「っはああああああああああああああああ!!よっしゃ!!」
『気』が完全にたまったダイゴは、その『気』を右の手のひらに集め、今まさに、目の前の壁に向かって一撃を放とうとしていた。
ダイゴ「いっくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ゴォォォォン!!
ダイゴが左の足でトレーラーの固い床に力強く踏み込み、壁に向かってその『気』を一気に全放出しようとした、
そのとき。



メイリン「ダイゴ、決勝大会で使う料理のアイデア、今浮かんだの!!」



ダイゴ「!!!!」



玲子「へ?」



メイリンが、今まさに壁に向かって渾身の一撃を放とうとしていたダイゴに向かって叫んだ次の瞬間。
ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
という、蒸気が抜けるような音がして、さっきまでダイゴが極限まで高めていた『気』が、一気に拡散、消滅した。

メイリンは、自分の胸に両手を当てた状態で動きをとめている。
叫んでみたものの、この後自分でもどうしていいか分からない状態のようだ。

ダイゴは、腰を落としたまま、壁に向かって手を伸ばし、一撃を放とうとしていた姿勢のままで固まっている。

玲子は、目を大きく見開き、口をぽかんと開けている。
なにか信じられないことを聞いたような、放心状態のような表情である。


ダイゴ「ほ、本当かメイリン!!??」
メイリン「ひぁっっ!!!!」
メイリンは、突然自分の前にダイゴの顔が現れ、しかも大声で叫ばれて、素でびっくりし、素っ頓狂な声をあげてしまった。

ダイゴは構えを解き、メイリンのほうを振り向いたかと思うと、神速の速さでメイリンに近づき、彼女の肩をがっしりつかんで、さっきの言葉をかけたのだ。その移動スピードがあまりにも速かったため、メイリンにはまるで突然目の前にダイゴがワープしてきたように思えたのだ。

ダイゴ「どんなのを思いついたんだ、メイリン!?俺が三番目に考えていたアレか?それとも先週旅に出ていたときに教えてもらったアレか?ひょっとして、メイリンが考えてくれていたアレとかコレとかソレで、別の方法のがあったのか!?」
メイリンは、目の前の、ものすごい勢いの早口でしゃべるダイゴの、その目に、
まるで灼熱の炎のように燃えている。
気がした。
メイリン「えっと、あの、その・・・ね」
メイリンはダイゴの燃えさかる炎のような気迫に圧倒され、すぐには何を言っていいか分からなかったが、すぐに冷静さを取り戻し、次の言葉につなげた。
メイリン「ま・・・前の御門との試合で使った、鴨の料理!あれの、別の料理方法を思いついたの!!」
メイリンは、いや宮内玲子は、料理人ではない。が、御門グループの料理部門の広報係として、並みの料理人と同じ、あるいはそれ以上の料理知識を持っていた。そして、今まで御門が関わってきた料理大会で使用された料理は、御門が直接作った料理以外の、敵の料理人が作った料理の内容も、レシピに至るまで完璧に記憶していた。
メイリンはそれらの膨大な料理知識の中から、ダイゴが知らなさそうで、かつ決勝大会でも通用しそうな料理をひとつ選び、口にして言ってみた。
口から出まかせを言ったのでは、料理人であるダイゴにはすぐにバレてしまう。
メイリンの、料理に関する知識が、ここで役に立った。
ダイゴ「おおっ、アレか!?アレは、俺もあれ以上の方法はみつからなかったんだが・・・どんな方法だ!?焼くのか?煮るのか?蒸すのか?それとも他の材料と合わすのか?」
勢いを止めず、まるでマシンガンのように、またも早口でまくしたてるダイゴ。
ダイゴはしゃべると同時に、顔と上半身もメイリンのほうに近づけているから、メイリンはその気迫と勢いに押され、ダイゴとは逆に上半身が反り返ってしまう。
メイリン「あ、あの・・・口では伝えづらいから!!み・・・店に帰ってから、実際にやって教えるわ!」
ダイゴ「ん、そうか。実際にやりながらのほうが、俺もすぐに体で覚えられるからな。よし、じゃ店に帰るぞ!」
ダイゴはメイリンに近づけていた顔と上半身を戻し、メイリンの肩を掴んでいた手を離したかと思うと、トレーラーの入り口に向かってダッシュ、その勢いのまま、「とおっ!」とかいいながら、トレーラーの荷台から地面に飛び降りた。
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by irekawari | 2007-04-22 23:55 | 女同士入れ替わり
メイリン「ふふふっ、童話やおとぎ話風に言えば、囚われのお姫様のピンチに、白馬の王子様が駆けつけたってところかしらね。」
メイリンは玲子の顔の前に、鼻と鼻、唇と唇が触れ合うほど自分の顔を近づけて言った。
メイリン「でも勘違いしないでね、今、王子様=ダイゴくんにとっての囚われのお姫様は、貴女じゃなくてこのわ・た・し」
「わ」「た」「し」と言っているとき、ご丁寧に一文字につき1回、計3回、「わ」「た」「し」のタイミングに合わせて玲子の鼻の先を右の人差し指の先で軽く小突くメイリン。
その、完全に人を馬鹿にしたような態度に、普段温厚な玲子も、いい加減イライラが募ってきた。


メイリンは玲子から顔を離し、玲子のほうを向いたまま後ろに数歩下がり、玲子との距離が3メートルほど空いたところで片手の指を肩ぐらいの高さまで上げ、パチンと鳴らした。
それを合図に黒服がスイッチを操作、すると突然天井からシャッターが降りてきて、玲子の前を完全に覆ってしまった。

玲子「な、なによこれ!?」
玲子は慌てた。シャッターは通路全体と同じ幅があり、玲子は2メートル角ぐらいの小さな部屋に閉じこめられてしまった。
これでは、ダイゴがトレーラー内に入っても、玲子がここにいると分からない。
玲子「だ、出しなさいよ!ついでにこのベルトももう外してくんない!?」
玲子は叫んだ。玲子はいまだに『ボディ・チェンジ』の椅子に両手両足を金属ベルトで固定されていて、身動きがとれない。
メイリン「ふふふっ、貴女にはそこに居てもらって、これから起こることを見ていてもらうわ」
玲子が居る小さな部屋の中に、突然メイリンの声が聞こえた。どうやら壁のどこかにスピーカーがあるらしい。そして次に、目の前のシャッターの、ちょうど目の高さぐらいの一部が横に長い長方形の形に点灯し、そこにメイリンの姿が映し出された。どうやら、シャッターの外=トレーラーの内部を映すモニターのようだ。
メイリン「こちらからそっちへ音は聞こえるけど、貴女のほうからこちらへは声は届かないようになっているわ。だから、ダイゴくんに向かって叫ぶなんて、無駄なことはしないことね」
どうやらこれも、メイリンが仕組んだ仕掛けらしい。
せっかくダイゴが助けに来てくれたというのに、自分の居場所を伝えることもできない。玲子ははがゆさを感じると同時に、なにやらいいようもないイヤな予感をも感じていた。




ガォン!!ガオン!!!
トレーラーの入口のほうから金属がへしゃげるような凄い音がする。
どうやらダイゴが外からの打撃で、トレーラーの扉を強引に開けようとしているようだ。

メイリン「ダイゴくん、外の黒服も倒してしまったようね。それじゃ、そろそろかしら」
メイリンはもう一度、さっき座っていたボディ・チェンジの椅子に座り直した。そして両手を胸元まで持って行き、チャイナドレスの胸の留め具を外した。
ハラリと、チャイナドレスの布がはだけ、メイリンの首もとから胸にかけての白い肌が露わになる。
そしてさらにそれだけでなく、メイリンは服の襟元を持って左右に広げ、ゆっくりずり下ろし、腕を袖から抜いて、そしてそのまま服の上半身の部分を腰のあたりまで下ろしてしまった。
服を脱いだ勢いで、メイリンの巨大な胸がぶるんぶるんと音を立てながら上下に揺れている。
メイリンは今、上半身が裸の状態であり、ブラをつけていないメイリンは、その巨大な胸が露わになってしまっている。もちろん、乳首も丸見えだ。
玲子「な、な、な、玲子さん、何を・・・・!!??」
突然上半身裸になったメイリンの行動に、玲子は驚いた。
メイリン「ふふふっ、牛みたいに馬鹿でかい胸だと思っていたけど、自分がなってみたら、これはこれで悪くないわね。ダイゴくんって、胸の大きな子が好みなのかしら?」
メイリンは、巨大すぎて自分の手のひらでも掴みきれないほどの大きさの胸を揉みながら、その感触を楽しんでいるかのように笑みをうかべている。
玲子「玲子さん!!胸!!しまって!!」
玲子は必死に叫ぶ。しかし、玲子がいる小部屋からは、メイリンがいるほうへは声は届かない。
メイリンは胸を揉んでいた手を止め、またパチンと指で音を鳴らし、両脇の肘掛けのような台の上に置いた。
メイリンの指の音を合図に、また黒服が機械を操作すると、メイリンの手と足が金属ベルトで再び固定された。
ここまでだと、さっき入れ替わったときと同じような状況だ。
だが、今回は、頭上の巨大ヘルメットは降りてきていない。
単に、胸丸出しで椅子に固定されているだけの状態だ。もう一度あの入れ替わりをやろうというわけではないようだ。ではいったい、メイリンはこれから何をしようとしているのだろうか?





グァッシャン!!
なにか金属が砕ける音がした。おそらくダイゴが、トレーラーの入口の錠を破壊したのだろう。
ギギギギギ・・・と、金属がきしむ音をたてながらゆっくりと、トレーラーの入口の扉が左右に開いてゆく。
外からの陽光を背にして、一人の男の姿が現れた。
ダイゴ「メイリン、無事か!?」
メイリン「ダイゴぉ!!」
トレーラーの奥から、ダイゴが人生でもっとも聞き慣れた声がする。どうやらメイリンはここに囚われているようだ。

ダイゴ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
トレーラーの奥からメイリンの声が聞こえてきたにも関わらず、ダイゴはしばし、トレーラーの入口で足を止めた。
ダイゴ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ?」
ダイゴはわずかに首をかしげ、なにやらいぶかしむ表情を浮かべている。

ダイゴ「っと、とにかく今は、メイリンの救出だ!」
なにやら不審な行動をとっていたダイゴだが、すぐに気をとりなおし、周りに用心しながらトレーラーの奥へ歩を進めた。
ダイゴ「メイリン、心配したぞって、うおっ!!??」
ダイゴが急いでトレーラーの奥の、メイリンの声がしたほうへ駆け寄ると、たしかにメイリンはいた。
だが、服がはだけて上半身が裸になっているという、あられもない姿で。

思わずダイゴは手で自分の目を覆った。
ダイゴ「な、なんてカッコしてんだメイリン」
メイリン「ダイゴ・・・助けに来てくれて・・・嬉しい」
恥ずかしさのあまり視線を向けられないダイゴをよそに、メイリンのほうは潤んだ瞳で熱い視線をダイゴに送っている。
それはまさに、囚われのお姫様が、やっと助けに来てくれた王子様を見ているかのようだ。

ダイゴ「あ・・・なんか縛られてるのか?よし、ちょっと待ってろ」
まだ顔を真っ赤にしているダイゴだが、メイリンが手足を固定されていることに気付くと、メイリンの手足の金属ベルトを握り、ガコン、とニブい音をさせながら引きちぎった。
両手両足が自由になったメイリンはすぐさま立ち上がり、ダイゴに抱きついた。
上半身裸のままで。
メイリン「ダイゴ・・・怖かった!!」



玲子「れ、玲子さんっ!!??」
モニターに映る、上半身裸の自分がダイゴに抱きついているという衝撃映像に、玲子は思わず叫んでいた。というか、さっきから衝撃的なことばかりで、叫んでばかりだ。


メイリン「黒服に連れ去られそうになって、戦っていたら油断して後ろから気絶させられて・・・気が付いたらこの中で椅子に座らされてて、それで黒服に、決勝大会でダイゴが使う料理のことを吐けって脅されて・・・」
ダイゴ「メメメメメメメイリン!?ちょ、ちょっと待て!」
ダイゴは顔を真っ赤にしてあわてふためいている。上半身裸のメイリンが、バレーボール大の2つの巨大な胸を押しつけながら抱きついてきているからだ。ダイゴの服越しに、ぼよんぼよんと、やわらかい肉の跳ね返る感触が伝わる。

玲子「玲子さんっっっ、なにあたしの身体でダイゴに抱きついてんのっっ!!??っていうか、胸、しまって!!」
玲子が手足をバタバタさせながら興奮気味に叫ぶ。
だが手足は依然金属ベルトで椅子に固定されたままなので、立ち上がることすらできない。
トレーラー内のダイゴとメイリンが居る空間と、玲子がいる空間は、さっきのシャッターで区切られている。鋼鉄製のそのシャッターは厚さ50センチ、ついでに防音仕様になっていて、さっきから玲子が叫んでいる内容は、ダイゴ達には一切聞こえていない。
ダイゴ達のいる部屋で聞こえてくる音といえば、三方の壁一面に設置された、高性能そうなコンピューター群が放つ電子音のみだ。



メイリン「あたしが決勝大会のことについて話さないでいたら、黒服の一人が『それならお前の身体に聞いてやる』って言って、ムリヤリあたしの服をはいで・・・それから・・・それから・・・」
メイリンの告白は、最後のあたりでは、もう涙声になっていた。
ダイゴ「・・・そうだったのか、すまんメイリン、俺がもっと早く駆けつけていれば・・・」
上半身裸のメイリンに抱きつかれる、という衝撃的事態に、ひたすらパニック状態だったダイゴだが、メイリンの涙と嗚咽を伴った独白を聞いていて、ようやく落ち着いてものが考えられるようになっていた。
ダイゴは、どうしたらいいか分からず宙ぶらりん状態だった両腕をそっと動かし、メイリンの身体をやさしく抱き締めた。
メイリン「!」
ダイゴから抱き締められたことに気付き、緊張からかわずかに身体を硬くするメイリン。
だがしかしすぐその緊張も解き、ダイゴの抱擁にその身を委ねる。
メイリンより頭ひとつ身長が高く、体格も良いダイゴは、メイリンの身体に両腕を回すと、その腕の中にすっぽりとメイリンが収まる。



ダイゴの腕の中で、メイリンは、宮内玲子は、愛しい人のぬくもりを感じ、幸せを噛み締めていた。

約一年前。
ダイゴと御門グループの最初の料理勝負のとき、宮内玲子は広報担当だった。
そこで玲子は初めてダイゴを見た。
料理にかける、灼熱の炎のような情熱、たくましい体躯。
一目惚れだった。
だがしかし玲子はダイゴとは敵対関係にある上に、玲子は料理人ではないため、とにかく玲子とダイゴは関係が薄く、たまに顔を合わす程度で、告白できるような状況ではなかった。
そしてダイゴの傍には、いつも寄り添うようにして一人の女性がいた。
メイリン=シャミーだ。
玲子はメイリンを憎んだ。自分はダイゴくんと話をすることすらままならないというのに、あの女はいつでも、どこでも、常にダイゴくんと一緒にいる。
ーーーーーーーーーーーーあの女が、私からダイゴくんを奪っている。

それは完全に宮内玲子の一方的な言いがかりだった。だがしかしダイゴへの思いが強く、またその思いを吐き出す場所が他にないため、自分で自分の視野を狭くしてしまい、玲子はより一層、メイリン個人を恨むようになっていた。宮内玲子のメイリンに対する憎しみは、日を追うごとに増すばかりだった。
無論、普段の料理対決で顔を合わせるときは、玲子はメイリンに対して仕事として普通に接していた。だがしかし、その心の中では、殺してやりたい、この女を消して、私がダイゴくんのパートナーになりたい、とさえ思っていた。
そして数ヶ月前、御門グループの医療部門が『ボディ・チェンジ』の開発に成功したことを知ったとき。
宮内玲子は、悪魔の計画を思いついた。
それが、自分と、メイリン=シャミーの精神と身体を入れ替える計画である。


殺したいほど憎んでいる女と身体を入れ替えることに躊躇がないわけではなかったが、入れ替わることによってダイゴの愛を得ることができるということが分かれば、もはや玲子に迷いはなかった。
そして計画通り、玲子はメイリンと入れ替わった。
入れ替わった直後は、その身体の素晴らしさに、同性ながら思わずイってしまいそうになったほどだ。
それほど、メイリン=シャミーの身体は女として充実していた。ただ単に、自分と比べて10歳若いというだけではない。肉体的だけでなく、おそらく精神的にも充実していたからだろう。
言うまでもなく、好きな人と、ダイゴといつも一緒にいるからである。

自分の恋敵が、それほどまでの充実した幸せを得ていたかと思うと、また虫酸が走り、反吐が出そうになった。殺してやりたい、という黒い衝動がまた沸き上がってくる。
だがしかし。
今はもう、完全に立場が180度逆転している。
文字通り、全てが入れ替わったのだ。

自分が殺したいとさえ思っていた、自分からダイゴの全てを奪った女から、自分は逆に、全てを奪ったのである。
若さも、抜群のプロポーションも、ダイゴの幼馴染み兼パートナーという立場も。

自分の身体と、ダイゴとの関係を奪われたメイリンの心中を想像すると、それだけでまたイきそうになった。あまりに気分が良く、思わずくっくっと、笑いがこみ上げてくる。
苦しめ。
苦しめ。
私が受けた苦しみを、お前も味わえ。
そして胸が張り裂けそうなほどの絶望を味あわせ、再び苦しみ抜いてから死んでもらおう。暗い地下の穴ぐらの中で、ぼろぞうきんのようになりながら。




宮内玲子は、いやメイリンは、自分の恋の成就と、憎いあの女への復讐を成すために、次の段階へと計画を進める。


ダイゴ「だいぶ落ち着いたか?」
ダイゴはメイリンを抱き締めたまま、彼女へ優しく声をかける。
メイリン「うん、だいぶ落ち着いた・・・ありがとう、ダイゴ」
メイリンはまだ目に残っている涙を指でぬぐいながら、まだ少し赤い目でダイゴを見上げ、にっこり微笑んだ。
至近距離でメイリンの笑顔を見たダイゴは、そのあまりの可愛らしさに赤面してしまう。
ダイゴ「い、いや、ま、よかったな。んじゃ・・・そろそろ帰るか?」
ダイゴがまだ顔を赤らめたまま、少しどもりながら答える。

メイリン「ねえ、ひとつお願いしていい?」
メイリンはダイゴの、帰途につくことへの問いには答えず、ダイゴの目をみつめたまま、一方的に言葉を発した。
ダイゴ「ん?なんだいきなり?」
メイリン「ちょっと目、つぶってみて」
ダイゴ「目を・・・こうか?」
こういうとき、なにも考えず素直に応じてしまうところが、ダイゴのまだまだ朴訥なところである。
男女が抱き合って、片方が目をつぶるとなれば、アレしかない。





玲子「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!」
2メートル角の小さな部屋で、メイリンとダイゴのやりとりをモニター越しに見ていた玲子は、思わず、今までで最大級の叫び声をあげてしまった。小さい部屋で大声を出してしまったせいで、自分で自分の耳が痛くなるほど。
モニターの中で、メイリンは少し背伸びしながら、自分の唇とダイゴの唇を重ねていた。

不意に唇に感触を感じ、ダイゴは目を開いた。
さっき以上にメイリンの顔を間近で見、そして今の状況を理解したダイゴは、思わず叫びそうになった。
ダイゴ「んご・・・」
だがしかし、メイリンはダイゴを逃がさす、さらに足をつま先立ちにし、背を伸ばし、追いすがった。
メイリン「ん・・・」
メイリンはキスと同時に、フリーだった自分の両腕をダイゴの首に回していた。
ちょうど、ダイゴの首からメイリンがぶら下がるような形である。
メイリンはそれなりに力を込めてダイゴの首にしがみついているので、ダイゴがちょっと後ずさったぐらいでは、二人の唇は離れない。




玲子「玲子さんちょっと・・・そこまでやる!?離れて、離れなさい、離れてよぉっ!!あたしの・・・あたしの・・・ファーストキスがぁ!!」
ここに閉じこめられて、もう何回叫んだか。それでもなお、玲子は手足をジタバタさせながら、モニターの中のメイリンとダイゴに向かって叫び続けた。
宮内玲子がメイリンから奪ったものに、また新しく項目が加わった。
メイリンの、ファーストキスだ。







叫ぶのをやめた玲子は、ふと冷静になってみた。
玲子はダイゴのことを好きだと言っていた。
そして玲子は今、メイリンの身体を手に入れている。それはまさに、彼女が一番望んでいたものだ。
メイリンはまず、若く、美人で、プロポーションも抜群。だがしかし、それだけならメイリン以外の娘でもよかっただろう。なにより、メイリンはダイゴの幼馴染みで、19年間人生を共に生きてきた。メイリンはダイゴに好意を持っているし、ダイゴもまた、おそらく、メイリンに好意を持っているだろう。ダイゴの一番身近な存在にして一番大切な存在、それがメイリン=シャミーである。
そして宮内玲子は今、そのメイリン=シャミーの身体を得ている。
宮内玲子とダイゴは料理勝負において敵同士。
まあ、ダイゴは御門との勝負のときでもほぼ料理のことしか頭にないため、直接料理対決をするわけでもない玲子を、ことさら「敵」としては見ていない。見ていないが、ダイゴにとって玲子が、特別な存在というわけでもない、ということも事実だった。
それだけ立場的にも精神的にも距離のあった玲子とダイゴ。
しかしメイリンの身体を得てメイリンとなった玲子は今、世界中の誰よりもダイゴに近い存在になっていた。




玲子は少し寒気がした。
メイリンは今、自分の身体と立場を最大限駆使してダイゴに迫っている。今まで胸の内に秘めていた自分の思いを、ここぞとばかりに爆発させている。そしてダイゴから見れば、今のメイリンはメイリン以外の何者にも見えないだろう。よもや、目の前のメイリンと御門グループの宮内玲子の精神と身体が入れ替わっているなど、思いもよらないだろう。

玲子は、メイリンが今からやろうとしていることの全容をようやく察知し、これから目の前で起こるであろうことを想像し、戦慄した。



メイリン「んっ・・・・はぁ」
5分くらい経ったろうか。舌こそ入れていないが、濃厚なキスがようやく終わった。
メイリンはダイゴから唇を離すと、潤んだ、熱っぽい、熱い視線をダイゴに浴びせた。
「幼馴染みの少女」としてではなく「一人の女性」として、メイリンはそこに居た。
ダイゴ「メイリン・・・」
ダイゴが真剣な表情でメイリンの名前をつぶやく。
メイリンはそのダイゴの視線をしっかり受けとめ、次の、その言葉を紡ぎ出した。
メイリン「ふふふっ、あたし、ダイゴに伝えたいことがあるの・・・」



厚さ50センチの壁の向こうで、玲子は。
玲子「い・・・いや」
玲子の目に大粒の涙がうかぶ。
玲子「や・・・やめて」
自分の身体よりなにより、大切な人を、ダイゴを奪われることが一番辛い。
今すぐ二人の間に割って入りたい。
だがしかし、未だに手足は金属ベルトで縛られていて、身動きがとれない。
それでも、いてもたってもいられない玲子は、手足を動かすことをやめない。
手足を動かしすぎて、手首と足首の、金属ベルトと擦れ合っているところは肌が破れ、血がにじんできている。
玲子「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
玲子は、メイリンの次の言葉を遮るかのように、今までで一番大きな声で、叫んだ。




メイリン「あたしは・・・ダイゴのことが・・・」
メイリンはあらゆる男を魅了するかのような熱い視線を送りながら、なおも言葉を続ける。
言葉を発するたびに、いい香りの吐息がダイゴの頬をなでる。
メイリンはさらにダイゴと自分の身体を密着させ、ダイゴの首に回した自分の腕の力をさらに少し強め、最後の言葉に、つなげた。



メイリン「好・・・」

玲子「!!!!」

玲子は思わずモニターから目を背けた。もうなにも聞きたくなかった。







しかし、メイリンの、続きの言葉はスピーカーからは聞こえてこなかった。
玲子「なに・・・どうなったの?」
玲子が恐る恐る目の前のモニターを見てみると。

ダイゴが、メイリンの肩を掴んで、腕を伸ばし、ぐいっと、メイリンを身体からひきはがしていた。







ダイゴ「お前・・・メイリンだよな?」
メイリン「ふへぇっ!?」
メイリンは目を見開き、奇妙な声を発した。













1回で終わらなかった!(汗)あともうちょっと続きます。
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by irekawari | 2007-04-10 23:49 | 女同士入れ替わり
灼熱の料理人
クッキングファイター・ダイゴ

第47話「最終章・プロローグ 御門グループの邪悪な罠!狙われたメイリン」
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メイリン「それじゃダイゴ、買い出し行ってくるわね」
ダイゴ「一人で大丈夫か?まさかお前が狙われることはないと思うが、御門のやつらも大会直前で必死だろうし、なにをしてくるか分からない。やっぱり俺もついていったほうが・・・」
メイリン「だーいじょうぶだって。あたしなんか狙ったって何の得にもならないんだから。それに、あたしの強さ知ってるでしょ?大会で使う料理を考える時間が惜しいじゃない、ダイゴは料理にだけ専念してよ」





メイリン「ふう、これで買い出しは終わりっと。忘れてる物ってないわよね?」

食材のいっぱい入った紙袋を抱えながら通りを歩いている少女、彼女の名はメイリン・シャミー。

『灼熱の料理人』として最近日本料理界を席捲しているダイゴ・ロンイェンの幼なじみにしてパートナー。
普段はダイゴが経営する中華料理店『灼熱飯店』でウェイトレスをしている。
日本人の父と中国人の母の間に生まれたハーフで、両親はすでに亡くなっており、現在は『灼熱飯店』の近くのアパートで一人暮らしをしている。
年齢はダイゴと同じ19歳。
髪は背中ぐらいまであるが、普段は頭の後ろでまとめてアップにしている。
黒を基調として赤のラインが入ったチャイナドレスを着用していて、腰には白いエプロンを巻いている。
脚には太ももの上ぐらいまであるニーハイソックスを履いている。
ちなみにこのチャイナドレスはメイリンの母親の形見だったりする。メイリンはいつもこのチャイナドレスを着ているので、もうほとんど彼女の普段着と化していた。

メイリンの幼馴染みの男「ダイゴ・ロンイェン」は「灼熱の料理人」として料理界に名を馳せていた。
そして日本の料理界を牛耳る「御門グループ」にたった一人で対抗していた。
一週間後に行われる「全国統一料理大会」、そこでダイゴと御門グループは料理対決をする。
負けたほうは料理界から追放、さらに店舗も営業停止という条件で、まさに最終決戦になっている。

メイリン「ダイゴなら・・・絶対勝ってくれる。あたし、信じてるから」
晴れやかな顔でメイリンが歩いていると、突然通りの四方から黒服・サングラスという、いかにもな男達が出てきた。
その数、20以上はいるだろう。
黒服「灼熱の料理人・ダイゴ・ロンイェンのパートナー、メイリン・シャミーだな。我々と一緒に来てもらおう」
メイリン「・・・またあんた達ね。まだこんなことしてくるとは思わなかったわ。はぁ、また今回もやられに来たの?」
黒服たちは手にメリケンサックやナイフを装備している。拳銃は持っていなさそうだ。
そしてじわじわと取り囲むようにメイリンに迫ってくる。
メイリン「せっかく買った食材がホコリまみれになったら、弁償してよね、黒服さん!」
地面に食材の入った紙袋を置き、そう言うとメイリンは目の前の黒服に向かってダッシュ、ハイキックを見舞った。
メイリンのチャイナドレスのスカート部分がふわりと舞い、サイドのスリットから真っ白な太ももが覗く。
大の男の身体が宙に跳ね上がり、ぐぇ、とかいううめき声を出して地面に落ちた。
メイリン「さあ、かかってきなさい!」




メイリン「あんたが最後ね。帰って御門グループに伝えなさい。あたしを狙う暇があったら、決勝で使う料理のほうに力を入れなさいって」
黒服「く、くそっ!」
最後の黒服の男がナイフで襲いかかるも、手刀でそれを軽く叩き落としたメイリンはその場で軽く跳躍、回転蹴りを黒服にお見舞いした。
黒服「ぐあっ!」
メイリン「ふう、ま、最近ダイゴの料理作りに付き合ってて店に閉じこもり気味だったし、いい運動にはなったかしら」
黒服の集団を片づけたメイリンは地面に置いてある食材の袋を取りに行こうとした、その時。
メイリン「んっ!!」
玲子「油断大敵ね、メイリン・シャミー。わたしと一緒に来てもらうわ」
メイリン「宮内・・・玲子・・・しまった・・・」
最後の黒服を倒し油断していたメイリンは背後の玲子を感じることができなかった。
玲子はメイリンにクロロホルムをかがせた。
玲子「さあ、早くこの女をトレーラーの中へ」
黒服「はっ」
新たに来た黒服に、メイリンを近くに留めてある巨大トレーラーの中へ運ぶよう指示する玲子。
宮内玲子、彼女もまた御門グループの一人だった。
過去の料理対決で、ダイゴやメイリンと何度も顔を合わせている。





メイリン「う・・・ん」
玲子「気がついたかしら、メイリン?」
メイリン「宮内玲子!あたしをさらっても意味ないわよ!って、ここどこ?」
メイリンが辺りを見回す。
長細くて、天井もあまり高くない。天井には明かりがついていて、一応明るい。
部屋の壁という壁には巨大コンピューターが配置されている。
玲子「御門グループが所有するトレーラーの荷台の中よ」
メイリン「トレーラーの荷台!?」
言われてみれば、たしかにそんな形の部屋だ。そういえば、かすかにエンジン音らしきものが聞こえる。
メイリンは椅子に座らされ、手足を頑丈な金属製のベルトで固定されていた。
そしてその椅子の背もたれにもコンピューターらしき機械が設置されていて、そこからさらに、メイリンの頭上に多いかぶさるように、円形のドームみたいなものがついている。
ちょうど、散髪屋のパーマをあてる機械のような形状の椅子に、メイリンは座らされていた。
メイリン「なんなの、この大げさな機械は?あたしを洗脳でもしようっての?」
玲子「洗脳ね、そんな感じのことだけど、ちょっと違うわね。まあ、私が説明するより身をもって体験したほうが理解しやすいと思うから、さっそく、実行されてもらうわね」
メイリン「な、なにをする気!?」
玲子「うふふふふ・・・」
見ると、メイリンの向かい側にも、メイリンが座らされている機械と同じようなものがある。
玲子はメイリンと同じようにそれに座ると、黒服に指示をし、自分の手足を金属製ベルトで固定させた。
メイリン「電撃でも浴びせられると思ったけど・・・なんで貴女もあたしみたいに座ってるの?」
玲子「うふふ、すぐに分かるわよ」

玲子はさらに黒服に指示。
そして、ウィーンという機械音と共に、メイリンの頭の上にあった、大型ヘルメットみたいな装置が降りてきて、メイリンの頭部をほとんどすっぽり覆った。
玲子の機械も、同じように巨大ヘルメットが降下し、玲子の頭部を覆う。
メイリン「な、なに?なにが始まるの?」
玲子「うふふ、さあ、始めて」
最後にもう一度、黒服に指示する玲子。
その直後、メイリンは体中に電気が走る衝撃を味わい、ああ、やっぱり電気椅子だったんだ・・・とか的はずれなことを思いながら、気を失った。





続きます。


名称の元ネタはゲームの『炎の料理人 クッキングファイター好(ハオ)』。しかし私はゲームをプレイしたことはありません(汗)。
といってもメインタイトル、主人公&ヒロインの名前をちょっと使わせてもらったのと、料理を題材にしている、ということぐらいしか参考にしていません。

あと「料理」→「料理といえば中国」→「中国といえば拳法」→「メンバーが拳法を使う戦隊」→「五星戦隊ダイレンジャー」というつながりで、ダイレンジャーのシシレンジャー・"天幻星"大五(ダイゴ)からも、ちょっと名前借りていたりします。
ちなみにダイレンジャーも、OPとED以外は見たことないです(汗)。
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by irekawari | 2007-03-27 07:59 | 女同士入れ替わり