白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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カテゴリ:女同士入れ替わり( 119 )

『THE IDOL CH@NGER』 ベテラン歌手とネットアイドルの入れ替わり(前編)

前編はこちら。





早乙女ゆりあ 20歳
中野明菜 45歳




ゆりあはまず、今着ている服一式を、下着を残して全部脱いだ。
下着姿になったゆりあは更衣室にある、全身の3分の2ほどが映る鏡の中の自分を見て、思わず溜息をついた。
ゆりあ「か、可愛い・・・」
服を着ていなくても、下着だけの姿でも十分すぎるほどゆりあは可愛かった。
ゆりあは身長がやや低めで小柄なのだが、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるので、プロポーションがとてもいい。特に胸は、この身長なら大きすぎるほどだ。ブラのサイズはC、あるいはDぐらいあるかもしれない。
さらに、その肌もぴちぴちで張りがあり、美しい。
明菜の身体は40を過ぎているだけあってかなり肌にも衰えが来ているが、まだ二十歳になったばかりのゆりあの肌はみずみずしく張りがあり、おそらく世の女性全てが憧れるような美肌だ。
ゆりあ「うわあ・・・すごい、肌がこんなにすべすべ。今、私ってとっても若いんだ・・・」
ゆりあは自分の身体を手で触って、その絹のような感触をしばし楽しんだ。
ゆりあ「あ、いけない、本番が迫ってるんだっけ。いそいで着替えなきゃ」
今の自分の身体の美しさにみとれていたゆりあははっと我に返り、慌てて近くのハンガーにかけてある、ステージ衣装を手にとった。


ゆりあはビスチェとスカートを組み合わせたような、肩が露出しているワンピースの背中のファスナーを下ろし、まず両脚をワンピースの中に入れ、ワンピースの上の部分を持って、ワンピース全体を上に引き上げた。
衣装を体型にフィットするまで上に持ち上げたが、衣装の胸のカップ部分とバストがまだ少しずれていたので、手で衣装をつかんで、微調整して、衣装の胸カップにバストがきっちり入れた。
そして、背中に腕を回して、衣装の後ろについているファスナーを手でつかみ、そのまま一番上までファスナーを上げていく。
ゆりあ「あ、いたた」
少し無理な体勢で背中のファスナーを上げたため、少し肩や肘を捻ってしまい、少し痛かった。
それでも、なんとか背中のファスナーを一番上まで上げることができた。
次にワンピースの上にケープを羽織り、スナップで止める。
そして化粧台の前の椅子に座り、近くにあったロングブーツを手に取った。ロングブーツは筒が膝下までの長さがあり、かかとはピンヒールになっていて、そのヒールもけっこう高い。
ゆりあはブーツのファスナーを持って一番下まで下げ、ブーツを開き、ブーツの中に自分の足を入れた。そしてまたファスナーを持って、ゆっくりとファスナーを一番上まであげてやる。左足のブーツを履き終えた後、同じようにして右足のブーツも履くことができた。
そして肘に少し届かないぐらいの長めの手袋をはめ、首にチョーカーをつけ、これで着替えが完了した。
ヒール付きのブーツは若い頃のアイドル時代はよく履いていたが、最近は全く履いていなかったので、履いた直後は少しフラフラしてしまったが、すぐに若い頃の勘を取り戻し、安定して立てるようになった。
ゆりあは鏡の前に立ち、自分の姿を見た。
ゆりあ「うわぁ・・・か、可愛い・・・」
衣装を着ない、下着姿だけでもゆりあは可愛いかったが、衣装を着るとその可愛さはさらに何倍にも高まった。
ゆりあ自身が可愛いことももちろんだし、今着ている衣装も、単に似合っているだけでなく、ゆりあの可愛さをさらに引き出す効果を持っているようだ。
ゆりあは衣装を着た自分の可愛さにまたみとれ、改めてまた溜息をついた。
ゆりあ「すごく可愛い・・・これが本当に私?」
ゆりあは鏡の中の自分の姿を見て心臓がドキドキしてきた。
女の自分でもここまで興奮するのだから、男が今のゆりあを見たら、もう大変なことになってしまうだろう。

今着ている衣装は可愛いだけでなく、着心地もよかった。
ワンピースのスカートの裾、ケープの襟元と裾、手袋の手を入れる部分、ブーツの足を入れる部分にはファーがついていて、今の寒い季節には、とても暖かく感じられる。
いい生地を使っているからか、裏地がとてもすべすべしていて、肌触りがよく、単に着ているだけでもすごく気持ちがいい。
ケープ・ワンピース・ブーツ・手袋はファーがピンク、その他は黒でまとめられている。
前述のとおりファーがついているのと、胸元に小さめのリボンがついている他は飾りらしい飾りがついておらず、全体的にシンプルなデザインだ。
あまりゴテゴテとした装飾過多なデザインではないのも、ゆりあにとっては好ましく感じられた。衣装に「着られている」ような感じがなく、まさに衣装と一体になっているような、そんな心地よさが感じられる。

今の自分を見ていると、忘れかけていたアイドル時代の思いが甦ってくる。
今の自分を大勢の人に見てもらいたい、見せたい、そんな思いだ。
40代になった明菜は今でも定期的にコンサートを開いていて、大勢の人前に立つことはある。しかし、それは歌声を聞かせるためだけであって、年老いた自分の姿を見てもらいたい、という思いは皆無だった。
しかし、今の自分は自分でも惚れるぐらいに若く、美しく、そして可愛い。
まるで自分の若い頃と同じ・・・いや、自分の若い頃以上の容姿を持つこの娘の身体で、ステージに立ち、自分の歌声を披露したい。
そんな思いが、ゆりあの中でどんどん大きくなっていった。

北条「ゆりあ、着替え終わった~?もう急がないとホントにヤバいよ」
女性スタッフの北条がノックもせずいきなり更衣室に入ってきた。
たぶんゆりあと同じ年齢なのだろう、彼女もかなり若い。ゆりあと違い、スタッフである彼女は動きやすい服装をしている。
北条「あ、もう着替え終わったみたいね」
北条はつかつかとゆりあの傍に寄ってきた。
北条「よし、あとはメイクね。はい、ここに座って」
ゆりあ「う、うん」
北条はゆりあの身体をつかみ、無理矢理化粧台の前の椅子に座らせた。
そして化粧台の上に置いていた化粧品を使い、手早くゆりあにステージ用の化粧を施していく。
観客から少し離れたステージ上で顔を目立たせるため、普段よりは少し濃いめの化粧にはなっているが、基本的にはゆりあの元々の顔立ちの可愛さを活かした、あっさり目の化粧になっている。

着々とコンサートの準備が進む中、ゆりあの中では自分のアイドル現役時代を思い出してきていて、他人の身体になってしまった不安よりは、この姿で人前に立ちたい、歌いたい、という思いが勝り、とりあえず今はこの身体の早乙女ゆりあになりきろう、と思うまでになっていた。

北条「よしできた!」
女性スタッフ・北条の、ゆりあへの化粧が終わった。
結果的に、ゆりあの目鼻立ちを少し目立たせる程度の控えめな化粧になっている。
北条「きゃっ、もう開演1分前よ!ゆりあ、早くステージに上がって!」
北条は腕につけた、女性用としてはやや大きめの腕時計を見て慌てた表情を見せ、ゆりあの背中を叩いてステージへと誘導した。
ゆりあ「え、え、もういきなりですか!?」
北条「いまさらなに言ってんのよ、ただでさえ遅刻してんのに!ほら、早く行った行った!」
ゆりあ「こ、こんな急になんて・・・」
ゆりあは自分の中で気持ちは盛り上がっていたが、いきなり本番となると当然、焦る。しかも、今は見ず知らずの他人の身体になっているのだ、どうしても緊張してしまう。

ゆりあ「でも・・・ここまできたらやるしかないわね・・・」
ゆりあの中で、芸能界生活を30年以上続けて来た中で培われたプロ根性に火がついた。
状況に流されるままここまで来てしまったが、ゆりあは腹を決め、他のスタッフに誘導されながら、ステージへの階段を上った。






明菜「はぁ、はぁ、やっと終わった・・・」
明菜は早乙女ゆりあのコンサート開場に急いでいた。
あのあと、マネージャーの水原に無理矢理連れ去られた明菜は、スポンサーへの挨拶回りで数件、引っ張り回された。
明菜はもうこうなったらこの件を早く済ませたほうが賢明と判断し、不本意だが明菜になりすまし、なんとか挨拶回りを終えた。スポンサーとの会話中は、今日は調子が悪いと嘘をいい、ほとんどの会話は水原に任せて、なんとか切り抜けていた。
その後水原と別れた明菜は、全速力でコンサート会場へ向かった。
自分が明菜になっているなら、明菜は自分になっているはず。なら、今日のコンサート会場に、あたしの身体に入った明菜がいるはず。
明菜はそう考え、ただひたすらコンサート会場を目指した。

明菜「つ、着いた・・・はぁ、はぁ、はぁ。なによこのオバサンの身体!めちゃくちゃ疲れるじゃない!」
明菜は駅から散々走ったおかげで、完全に息が上がっていて、肩で息をするほど体力を消耗していた。
明菜「うわ!もう開演1分前じゃない!は、早く行かないと!」
腕時計で時間を確かめた明菜は、疲れている身体を気力だけで動かし、会場裏のスタッフが集まっている場所に向かった。

明菜「お、お、お待たせしましたーーー!」
明菜は切れ切れになっている息をまず整え、スタッフに向かって大声で挨拶した。
スタッフ「え?」
スタッフ「ん?」
スタッフ「あの人、誰?」
スタッフ「さあ?」
スタッフ「あー、おばさん、ここは関係者しか入っちゃいけない場所だから、出て行ってくれる?」
明菜「なに言ってんのよ、あたしは早乙女ゆりあよ!今日ここで歌を歌う予定の、今日の主役よ!」
スタッフ「・・・・・・」
スタッフ「・・・・・・」
スタッフ「・・・・・・」
スタッフ「ぷっ」
スタッフ「あはははははははは!」
スタッフ「ぶはははははははは!」
明菜「なっ、なにがおかしいのよ!あ、あたし、今大変なことになってんのよ!」
スタッフ「あはは、そりゃゆりあちゃんもあと30年ぐらいしたらおばさんみたいになってるかもしれないけど。おばさんがゆりあちゃんだっていうのは、かなり笑える冗談だなぁ」
明菜「おばさん言わないでよ、あのね、あたしはあの中野明菜と入れ替わっちゃったのよ!」
スタッフ「ん?明菜?」
スタッフ「あれ、もしかして・・・」
スタッフ「あの、中野明菜?」
スタッフ「えー!?マジで、あの中野明菜?本物かよ!?」
明菜「そうよ、身体は中野明菜になっちゃったけど、中身は早乙女ゆりあなのよ!分かってくれた!?」
スタッフ「うわー、すげー、本物の中野明菜だよ」
スタッフ「テレビで見るより、わりと老けてんのな」
スタッフ「えー、でも美人だよ。俺アイドルの頃の写真持ってるもん、年とってても明菜さん美人だよ」
スタッフ「でも、なんで明菜さんがここに?」
スタッフ「ひょっとしてゆりあ、明菜さんと親しいとか?うわ、ゆりあすげーな」
明菜「ちーがーうーってぇー!!あたしはゆりあなのよぉーーーー!」

スタッフ「あっ、もう時間だ、コンサート始めるぜ」
スタッフ「えっ、どれどれ」
明菜「えっ!?もう始まっちゃったの!?あたしはここにいるのに!あたしの身体、もうステージに上がっちゃってるの!?」
スタッフ「あっ、明菜さん、そこ行っちゃだめだよ!」
明菜はスタッフの制止を振り切り、ステージの袖の、観客からは見えないところまで駆け上がった。
明菜「い、いた、あたしだ・・・!」
明菜の遥か前方、それほど広くはないステージ上のほぼ真ん中の、マイクスタンドの前に、早乙女ゆりあは立っていた。
明菜「あーーーー!あたしの衣装着てるーーーっ!あたしだってあの衣装、まだほとんど着てないのにーーーっ!」




ゆりあ(ど、ど、ど、どうしよう・・・)
ステージ上のゆりあは、緊張の極みにいた。
会場は、即席で組み立てられたようなハリボテのセットで、そんなに規模は大きくない。むしろ、こじんまりしているといったほうがいいだろう。客席も、全て埋まっているとはいえ、もともとの客席の広さが大したことないので、観客の人数も、中野明菜が居定期的に行っているコンサートに比べたら、圧倒的に少ないほうだろう。
しかし、見ている年齢層が違う。
今日来ている客は、若いゆりあ目当ての、10代~20代の若い客がほとんどだ。しかも男ばかり。何人か中年のおじさんのファンも混じってはいるが。
客「ゆりあちゃん可愛いーーーー!!」
客「ゆりあちゃん愛してるーーーー!!」
客「ブログいつも見てるよーーーー!!」
客「結婚してーーーーーーー!!」
ゆりあがステージに出てきたときから、観客からは絶え間ない歓声が送られてきている。
若い男達が放つ圧倒的パワーに、本来ステージ慣れしているはずのゆりあも、さすがに押され気味になっていた。
さらに、衣装のスカートの丈がやや短めなこともあって、さっきから下半身にも視線を感じる。
もう何十年も、男性から好色の目で見られることなんて経験をしていなかったので、その異様な雰囲気にも、ゆりあは呑まれかけていた。

さらに。
ゆりあは、何を歌えばいいのか分からなかった。
そもそも、明菜は早乙女ゆりあがどんな人物かさえも知らない。普段どんな歌を歌っているかも知らないし、今日このコンサートでなにを歌う予定だったのかも知らない。会場に着いて着替えて、すぐステージに上がったので、スタッフに詳細を聞く暇もなかった。
コンサートというからには歌を歌うのだろうが、ゆりあは、自分が何を歌えばいいのかさっぱり分からず、頭の中がパニック状態になっていた。

客「なんでゆりあちゃんなにもしゃべらないのーー?」
客「歌まだーーー?」
客「もうコンサート始まってるんだろ?」
客「歌歌わないなら、なにかやってよー!」
ステージに現れたものの、一言もしゃべらず、何もしないゆりあに、観客のほうもざわざわとざわめき、ヤジも飛ぶようになってきた。



明菜「もーーー、なにしてんのよ!何か歌いなさいよ!!あーーっ、もう、まさか今からあたしが出て行って、あたしとこの人が入れ替わった、なんて説明できるはずもないし・・・もーーーーっ、どうしてくれんのよ、あたしのコンサートが失敗したら!」
明菜はぎりぎりと歯ぎしりし、早くも恨みの視線をゆりあへとぶつけていた。


ゆりあは、ステージに立つ緊張感、大勢の人の視線、飛んでくるヤジ、他人の身体になっているという不安、さまざまな感情、思いが自分の中で巡り巡って、もう、逃げ出したい気持ちになっていた。
しかし、そんな混乱する気持ちの中で、緊張の極みに達したゆりあは、一瞬、心の中の雑念が全て取り払われた。
そして、雑念のなくなった心の中で、ただひとつ、残ったものがあった。
それは、まさに自分という存在を支える、確固たるもの。自分が自分である存在理由。自分が最も愛するものであり、大勢の人に伝えたい、そんな思い。

それは、自分の歌だ。

ゆりあは自分の胸に手を当て、心の奥深くに沈んでいた、その確固たるもの、自分が自信を持てるもの、たとえ自分がどんな姿になろうと伝えたいもの、その存在を、再確認するように。

ゆりあ(私・・・歌いたい!自分の歌を!)


ゆりあは意を決したようにひとりうなずくと、手袋をはめた手でマイクスタンドからマイクを取り、口元に近づけた。
そして歌い始めた。
自分が中野明菜としてアイドルデビューしたときの、大勢の人の前で歌った、思い出のデビュー曲を。

明菜「うわ・・・」


本来ならここで歌にあった曲が流れるはずだったのだが、いつもと様子が違うゆりあを見て、スタッフも曲を流すタイミングを忘れていた。
曲のないまま、ゆりあの歌声だけが会場に響き渡る。

スタッフ「あれ・・・?予定していた歌じゃないぞ」
スタッフ「ん?でもこれ、なんか聞いたことある」
スタッフ「え?俺は知らないなぁ」
スタッフ「あーー!これって!」

スタッフ「中野明菜の歌だ!」



明菜「えーーーーっ!?なんで、中野明菜の歌なんか歌ってんのよ!で、でもこの歌・・・めちゃくちゃ上手いじゃない・・・」
明菜は、口では悪態をつきつつも、耳に流れ込んでくる歌声を聞いて、だんだんとその歌に聴き入り始めていた。

客「なんだよこの歌、聞いたことねーぞ」
客「過去のCDにもこんなのなかったし、サイトの試聴コーナーにもこんなのなかったよな」
客「あー俺これ知ってるよ、元アイドルの中野明菜の歌だ!」
客「え、やっぱりそうだったんだ!?でも、なんでゆりあちゃんがこんな何十年も前の歌を!?」
客「でもさ、この歌・・・めちゃくちゃ上手くね?」
客「う、うん・・・すげー、なんか聞き入っちまう」
客「ゆりあちゃんって、こんなに歌上手かったっけ?」
客「すげーよゆりあちゃん、このままプロデビューできるんじゃねぇのか?」
客「しっ、静かにしろよ、ゆりあちゃんの歌声が聞こえねーだろ」
客「そーだそーだ、ちょっと静かにしてろ!」


ゆりあは結局、一曲丸々をアカペラで歌いきった。
ゆりあ「ふぅ・・・」
最後の歌詞を歌い終え、はっと我に返ったゆりあは、急に恥ずかしさと緊張感がまたこみ上げてきた。
ゆりあ(うわ、ど、どうしよう、自分の歌歌ってしまったわ・・・私は今早乙女ゆりあって娘になっているのに)
観客席のほうは、いつの間にか完全に静まり返っている。
ゆりあ(やってしまったの・・・?ど、どうしよう、お客さん、しらけちゃってる・・・そ、そうよね、いきなり他人の、しかも何十年も前の歌を歌ったんですもの・・・は、早く謝らないと)

ゆりあは少しうつむき、唇をかみしめたあと、きっと観客席のほうに向き直り、謝罪の言葉を発しようとした。
ゆりあ「あ、あの、ごめんなさ・・・」

ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!

ゆりあ「ひ、ひえ!?」
突然、会場全体が軽く震えたような、耳をつんざくような大歓声が響き渡った。
客「ゆりあちゃんすげーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
客「ゆりあちゃん歌めちゃくちゃうめーーーーよ!」
客「ゆりあちゃん歌上手かったんだな!!」
客「歌練習してたの!?ひょっとして今までわざと押さえて歌ってたとか!?」
客「いい歌だったよ、ゆりあちゃーーーーーーーーーーーーーん!!」
客「ゆりあちゃんに惚れたーーーーーーっっっ!!」
客「ゆりあちゃん結婚してーーーーーーーーーーーっっ!!」
客「いい歌だったーーーーーーっっ、CD出してーーーーーっっ!!」
客「ゆりあちゃん、明菜の曲好きなのーーーーーっっ!?ブログにも書いてなかったよね!?」
客「感動したーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!」
客「まだゆりあちゃんの歌聞きたーーーーーい!早く続き歌ってーーーーーーーっっ!!」

ゆりあ「え?え?これは・・・今の、よかったのかしら・・・?」
観客からの大絶賛の声に、ゆりあは戸惑いを隠せない状態だった。


明菜「なんであたしじゃないあたしが歌って、こんなにウケてんのよーーーーっっ!!これはあたしのコンサートなのにーーーーっっ!!ま、まあ、たしかに聞き惚れるぐらいいい歌だったけど・・・こ、こんな古い歌歌うなんて、あたしのキャラに合ってないわよ!なんてことしてくれんのよーーーっっ!!」
明菜は舞台の袖で、ダンダンと床を足で鳴らし、地団駄を踏んでいた。


客「つーぎの曲、つーぎの曲!!」
客「もっとゆりあちゃんの歌聞かせてーーーーーーーっっっ!!」
客「ゆりあちゃーーーーーん、もっと歌ってーーーーーっっっっ!!」
観客からの歓声に包まれるうちに、ゆりあも、自分の歌声が観客を感動させていたことをようやく実感し始めていた。
そしてじわじわと沸き起こってくる、達成感、充実感。
大勢の観客に見られているという感覚も、今は全て快感に変わっている。
ゆりあ「ああ、これだ・・・」
年をとって忘れかけていたもの。
年をとっても歌うことは忘れないでいたが、なんとなく惰性で続けていたような気もする。でも今は大勢の人に「聞かせたい」「聞いてもらいたい」という、確固たる思いの元、歌っている。
自分の歌声が、観客を感動させている。
その確かな手応えが、ゆりあの中の中野明菜の精神に、若さと充実感、生きる希望を再び与えていた。
ゆりあ(もっと歌いたい、この、若い私として・・・)

ゆりあは大勢の観客の期待に応え、続けてアカペラのまま、2曲目を歌い始めた。





明菜「もーーーーっ、どうしてくれんのよ!それはあたしの身体よ!」
ゆりあ「え、で、でも、私も突然のことでなにがなにやら・・・」
明菜「言い訳無用!早くあたしの身体を返してよ!」

結局、あの後、全10曲を歌い終え、早乙女ゆりあのミニコンサートは大盛況のうちに終わった。
ステージを降りてきたゆりあを待ちかまえていたのは、中野明菜だった。
明菜はゆりあに詰め寄り、今までの不満を一気にまくしたてていた。

ゆりあ「そ、その、元に戻れないようだし、しばらくお互いを演じながら暮らしていく、というのはどうかしら」
明菜「えーーーっっ!?あたしに、オバサン歌手をやれっての!?そんなのいやよ!」
ゆりあ「お、オバサン・・・。で、でも、そうするしかないじゃない。私はきちんと早乙女ゆりあさんを演じてあげるから、ゆりあさんも、中野明菜を演じて生活してほしいの」
明菜「えーーーっ、やーよ、あたしは歌なんてオマケにしか思ってないのよっ!中野明菜として生きていくなんていや!」
ゆりあ「歌なら、私が教えてあげるから、ねっ、頑張りましょう」
明菜「もーーーーーーっっ、なんでこんなことになっちゃったのよーーーーーーっっ!!」
明菜は天を仰いで、おおいに嘆いた。







明菜「ほらほらゆりあっ、今日のブログ更新ができてないわよ!!コメントの返信も全然できていないじゃない!」
ゆりあ「えー、今日はお休みで特に書くことないんだけど・・・コメントの返信も、ちょっとしんどいし」
明菜「だめだめ、ブログはこまめに更新しないと、アクセス数減るじゃない!ネットアイドルは、ネットでの活動が大事なのよ!あと、ファンからの書き込みも丁寧に返事しないと、ファンが離れてっちゃうんだから!」
ゆりあ「うーん、そういうのは明菜に任せるわ~、それより私、またコンサート開きたいんだけど、一ヶ月後のこの日とか、どうかな?会場も空いてるみたいなんだけど」
明菜「まーたコンサート!?ゆりあの歌が上手いのは認めるけど、コンサートやりすぎよ!歌は副業、早乙女ゆりあは美貌とキュートさで売ってるのよ!」
ゆりあ「えーでも、また歌いたいなー。歌といえば、明菜ももうすぐ定期コンサートがあるじゃない」
明菜「あー、またやなもんが回ってきたわね・・・」
ゆりあ「いやなものって・・・明菜も最近けっこう、歌上手くなってきたじゃない。私の教え方がいいからかしら?」
明菜「ふん、そんなのあたしの才能よ!あたしってばやればできる子なのよ!」
ゆりあ「ふふ、その調子でコンサートも頑張ってね♪」
明菜「もーっ、それより、早く元に戻る方法考えてよ!もうあたし達が入れ替わって、まるまる一年よ!?」
ゆりあ「まあまあ、細かいことはおいといて。せっかく休みなんだから、二人でカラオケとか行かない?」
明菜「行かないわよっ!歌なんて、仕事だけでもう十分!」
ゆりあ「え~、行きましょうよ~、歌いたい新曲があるのよ~」
明菜「くっつかないでよ、もー、ゆりあって、本物のあたしよりワガママなんじゃないの!?」

季節は巡り、ゆりあと明菜の身体は未だに入れ替わったままだったが、お互い、相手を身体のほうの名前で呼ぶほど、入れ替わっているこの状況に慣れ、さらにお互いの精神的な距離も近くなっていた。
いつか、元の身体に戻れる日が来るのだろうか。
とりあえずは、まだドタバタしている日々が続きそうな、そんな予感がするのであった・・・。






完。
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by irekawari | 2007-09-17 11:02 | 女同士入れ替わり
結婚式当日、新妻と鬼姑の身体が入れ替わった!!









北岡緋沙貴(きたおか ひさき)20歳 紀之の妻。
北岡紀之(きたおか のりゆき)25歳 北岡家の長男。

北岡富江(きたおか とみえ)55歳 紀之の母。





杉本緋沙貴は同じ会社の同僚の北岡紀之と知り合い、恋に落ち、お互いに愛し合うようになった。
緋沙貴は紀之からプロポーズを受け、二人は結婚することになった。
まず二人は先に籍を入れ、それから結婚式を挙げることにした。杉本緋沙貴は北岡緋沙貴になった。
結婚式を間近に控え、緋沙貴の人生は今まさにバラ色であるかのように思われた。

しかし、緋沙貴は唯一心に病んでいることがあった。
紀之の母・富江の存在である。
現在、紀之と結婚している緋沙貴にとって、富江は義理の母であり、いわゆる姑ということになる。
富江は息子の紀之を溺愛しており、嫁の立場である緋沙貴のことを毛嫌いしている。
というより、むしろ憎んでいる、といったほうが正しい。
富江は緋沙貴に対して優しい言葉をかけたりしたことがない。
掃除・洗濯・炊事と、富江はあらゆる家事に口を出しては、緋沙貴に対してネチネチといびっている。

富江は紀之と緋沙貴の結婚に最後まで反対していたが、紀之があきらめずに説得し、ようやく、了承にまでこぎつけた。
富江は結婚を認める代わりに、結婚後も一緒に住むことを条件として提示してきた。
もちろん緋沙貴はその条件を呑むしかなかった。

これからの、姑との同居生活を思うと、緋沙貴は気が重かったが、紀之は母である富江よりは妻の緋沙貴のほうを大切にしてくれていることが、唯一の心の拠り所だった。
紀之は富江が緋沙貴のことで愚痴を言ってきても、無条件で緋沙貴のことを守ってくれている。
緋沙貴は好きになった人が紀之でよかったと思い、紀之と一緒なら、富江との同居生活もなんとかやっていけそうだと思っていた。




そして、今日は緋沙貴と紀之の結婚式当日である。
二人の結婚式は、教会で行われる。
緋沙貴・紀之・富江は一緒のタクシーに乗り、現地に到着した。
緋沙貴はゆったりしたワンピースを着ており、富江は黒の着物を着ている。
緋沙貴はこれからウェディングドレスに着替えるため、教会の横にある建物の中の控え室に向かった。
緋沙貴は富江と縦に並んで、控え室に向かう上り階段を上っていた。

緋沙貴はワンピースのスカートの裾が長いため、やや上るスピードが遅い。
後ろに並んで階段を上がっている富江はそんな緋沙貴に少しイラついていた。
富江「なにモタモタしてんの、早くお上がりなさい」
富江はドンッと、少し強めに緋沙貴の背中を押した。
緋沙貴「え?あ・・・きゃっ」
背中を押され、前のめりになってしまった緋沙貴は姿勢を直そうとして背中を反らし、重心を後ろへもっていこうとした。
しかし、とっさのことであり、さらに足場の不安定な階段ということもあり、緋沙貴はバランスを崩し、後ろへ、階段の低いほうへ倒れてしまう。
富江「ああっ!」
後ろに倒れた緋沙貴は、背後にいた富江を巻き込み、そのまま二人はもつれるようにして、階段を一番下まで転げ落ちてしまった。
紀之「緋沙貴!緋沙貴!!」
緋沙貴は薄れゆく意識の中で、愛する紀之の声が聞こえた気がした。



富江「う・・・ん」
紀之「よかった、母さん、目を覚ましたんだね」
富江「紀之さん・・・?お義母さまは無事なのね、よかった・・・」
紀之「?なにを言ってるんだい、母さん。緋沙貴みたいなこと言って」
富江「え・・・?わたしは緋沙貴よ」
紀之「な、なんだって?頭を強く打ったせいかな・・・やっぱり救急車を呼んだようがいいかも」
富江「お義母さまは・・・怪我をしていないかしら」
富江はベッドから起きあがり、あたりをきょろきょろと見渡した。
紀之「母さん、まだ安静にしていたほうがいいよ」
富江「えっ」
富江は自分の隣のベッドで眠っている女性を見て、目を見開いて驚いた。
富江「わ、わたしがいるわ!!」
紀之「なにを言っているんだ、母さん。母さんは北岡富江で、僕の母さんじゃないか」
富江「紀之さん、ち、ちがうの、わたしは緋沙貴よ、あなたの妻、北岡緋沙貴よ」
紀之「な、なんだって!?」
富江「わ、わたしは一体どうなって・・・きゃあっ!!」
富江は自分の身体を見て軽く悲鳴をあげた。
富江「お、お義母さまの身体になってる・・・あああああっっ」
富江は自分の着物のあちこちを触ったり、自分の顔や腕を触ったりしている。
富江「いや、いやぁ、どうしてわたしがお義母さまに!?」
紀之「母さん、落ち着いて・・・」
富江「違う、違うの、わたしは緋沙貴よ、紀之さん、お願い、分かって・・・」
紀之「そんな・・・まさか、本当に緋沙貴・・・なのか?でも、それじゃここにいる緋沙貴は・・・」
紀之と富江は同時に、隣のベッドで眠ってる緋沙貴を見た。
緋沙貴「う・・・」
緋沙貴は少しだけ苦しそうに呻くと、ゆっくりと目を開けた。
緋沙貴「ここは・・・」
緋沙貴はゆっくりと上半身を起こした。
緋沙貴「ああ、身体が痛い。緋沙貴さん、あなたのせいですよ」
緋沙貴は顔を富江と紀之のほうへ向け、富江の姿を見て、驚いた。
緋沙貴「わ、私がいる!?」
紀之「ま、まさか・・・母さん・・・なのか?」
緋沙貴「そ、そうですよ、私は紀之の母・富江・・・でも、どうして私がそこに!?」




緋沙貴「どうやら、私達の身体が入れ替わってしまったようですね」
紀之「こんなことが・・・現実に起こるのか・・・」
緋沙貴「仕方ないですね、入れ替わってしまったからには、私が緋沙貴さんとして式に出ます」
富江「いやぁっ!!やめてください!!お義母さまがわたしになって紀之さんとの結婚式に出るなんて・・・わたし、わたし・・・そんなのいや!」
緋沙貴「あら、緋沙貴さんにしてはずいぶんはっきりものを言うのですね。そんなに私になったことが嫌なのですか?嫁をいびる鬼姑の身体なんて、まっぴらごめんとか思っているのでしょうね」
富江「い、いえ、お義母さま、そんなことは・・・で、でも、こんなの普通じゃないわ!お願いします、結婚式は中止してください」
緋沙貴「そんなことできるわけないでしょう。もうすでにお客様もたくさん集まってきているみたいですし、今さら中止になどできるはずがありません。それにもし中止するとして、皆さんにどんな説明をするおつもりなの?まさか、花嫁と姑の身体が入れ替わった、なんて皆さんに説明するのかしら?」
富江「い、いえ、そ、それは・・・の、紀之さん」
紀之「緋沙貴・・・君には本当にすまないと思うが・・・このまま結婚式は行うしかない」
富江「そ、そんな・・・紀之さん。これじゃ、今日の結婚式はお義母さまと紀之さんが結婚するみたいじゃない!今日の式は私と紀之さんとの結婚式のはずよ!せめて・・・せめて私とお義母さまの身体が元に戻ってからもう一度するとか・・・」

緋沙貴「ずっと元に戻らないままかもね」
緋沙貴は頬にかかった自分のサラサラの長い髪を片手でかきあげながら、淡々と言ってのけた。

富江「!!」
その言葉を聞いて、富江は身体をビクッと震わせた。
紀之「母さん!なんてこと言うんだ!」
紀之は相手を安心させるように、富江の肩に両手を置いて話した。
紀之「大丈夫、きっと元の身体に戻れるよ。一緒にその方法を探していこう。でも、今日の式だけは・・・我慢してくれないか」
富江「紀之さん・・・でも、でも私は・・・」
緋沙貴「緋沙貴さん、今日の式の準備だけにいったいどのぐらいお金がかかっていると思っているのですか。うちの家は、結婚式を二度も行うほど余裕はありませんよ。あなたもそんな蓄えはないでしょう。それに、式に集まってくれた関係者の皆さんに、今から帰れと言って回るのですか?そんなことしたら、今後誰からも相手にしてもらえなくなりますよ。紀之だって、会社を辞めないといけなくなるかもしれません」
緋沙貴はもっともらしい正論を並べ立てた。
富江「そんな・・・それは・・・それは分かりますけど・・・私は・・・私は・・・」
紀之「緋沙貴・・・絶対僕がなんとかしてみせる。だけど、今だけは辛抱してくれ」
富江の肩に手を置いていた紀之は、そのままさらに体を寄せ、富江の身体をぎゅっと優しく抱き締めた。
富江「紀之さん・・・うっ、うわぁぁぁぁぁぁん!!」
富江は目から涙をぼろぼろと流し、泣きじゃくりながら紀之の身体を抱き締め返した。
緋沙貴「ふん」
緋沙貴は、少し離れたところで富江と紀之の抱擁を冷めた目で見ていた。



式は予定通り行われることになった。
緋沙貴はさっそくウェディングドレスに着替え始めた。

緋沙貴と富江の身体が入れ替わったことは、とりあえず近しい親族の者にだけ伝えられた。
緋沙貴の両親は、変わり果てた姿になった自分の娘の姿を見て、涙を流し、娘と悲しみを共有した。

両親へ報告をした後、富江は涙で崩れた化粧を直すため、化粧室に向かった。
富江は、鏡に映る自分の姿を見て、改めて愕然とした。
55歳の富江は、年齢より老けてみえるため、もうほとんど老人といっていい。
富江はガリガリのやせ型で、着物の袖から出ている腕や手の甲は骨が見えそうなぐらいガリガリで、肉がない。
顔や手にはシワがきざまれており、見る者全てに中年、おばちゃん、あるいは老人、おばあちゃんという印象を与える。
さらに、その顔は自分をいじめ続けてきたあの鬼姑の顔なのだ。
その鬼姑の顔が自分の顔になっている。
自分が口を開けば、富江の口が開き、自分が目を動かせば、富江の目が動き、声を出せば、口から富江のややかすれたしわがれたような声が出る。
富江「いや・・・いや・・・これが私の顔・・・私の身体なの!?」
富江は自分の顔をごしごしと触ってみた。カサカサ、ゴツゴツとした、いやな感触が手のひらに伝わってくる。
富江は改めて自分が55歳の老女の身体になったことを実感し、絶望感を味わった。
富江(紀之さんはああ言ってくれたけど・・・もし、もし本当に元に戻れなかったら・・・一生私はお義母さまのこの身体のままなの?死ぬときも、お義母さまのこの身体のままなんて・・・)
富江はこれから先のことを考えると、絶望で頭がいっぱいになり、目の前が真っ暗になってしまうような気がした。


富江が化粧室から戻ると、控え室では既に緋沙貴がウェディングドレスを着終えて、ヴェールをつけたりメイクを整えたり、最後の仕上げをしていた。
純白のウェディングドレスを着た緋沙貴は、溜息が出るほど美しかった。
富江は自分の姿のはずなのに、ドレス姿の緋沙貴を見て、思わず数秒間見とれてしまっていた。
そしてすぐに、黒い感情が湧いてくる。
富江(どうして・・・わたしじゃないの。あのドレスを着て、今日結婚式を挙げるのは、わたしのはずだったのに。お義母さまが、わたしになってしまうなんて・・・)
ウェディングドレスを着た緋沙貴はとても美しい。しかし、中身はあの陰険で意地の悪い鬼姑だと思うと、やるせない思いが次から次へと沸いてくる。こんなことを思ってはいけないはずなのだが、憎しみの感情さえ浮かんでくる気がする。

最後の仕上げを終え、式の準備が出来上がった緋沙貴は座っていた椅子から立ち上がり、ドレスの裾をつかんで歩きながら富江のほうへやってきた。
緋沙貴「お義母さま」
富江「え・・・?」
緋沙貴「もう貴女は北岡緋沙貴ではなくて北岡富江でしょう。これから私は北岡緋沙貴として結婚式に出るんだから、もうこれからはお互いになりきらないといけないでしょう?もう、貴女のことはお義母さまと呼ぶわよ。貴女も、私を緋沙貴さんと呼びなさい」
富江「え、あ、そ、そうですね・・・ひ、ひ・・・」
富江その理屈は分かっていても、言葉に出すことができなかった。目の前の自分を緋沙貴と呼んだら、この入れ替わっている状態を、目の前の、鬼姑が入っている自分を、北岡緋沙貴だと認めてしまうことになる気がして、ためらわれた。
緋沙貴「どうしたの?早く言いなさい」
富江「ひ・・・緋沙貴さん」
でも、いつまでも身体ではないほうの名前で呼ぶわけにもいかない。富江は仕方なく折れて、目の前の自分を自分の名前で呼んだ。
のどの奥になにか熱いものがこみ上げてくる気がして、少し気分が悪くなった。
緋沙貴「そう、それでいいのよ。うっかり、事情を知らない人達の前で私をお義母さまなんて呼ばないようにね、『お義母さま』」
富江「は、は・・・い」
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by irekawari | 2007-09-16 23:37 | 女同士入れ替わり

狙われた少女 その12

「狙われた少女 その11」

前回








狙われた少女 その12



ぴちゃぴちゃ、にちゃにちゃ、ちゅばちゅば
四葉「んっ・・・んはっ」
ぴちゃぴちゃ、ねとねと、んぐんぐ、
理央「ひゃふはっ・・・ひあ、はぁ」
魔界の住民も皆寝静まっている真夜中、魔王長・理央の私室に、魔王長直属の下っ端部下・四葉と魔界を統べる王・魔王長理央の舌と舌が絡み合い、唇と唇が触れ合い、唾液がぴちゃぴちゃとはじける音が響いている。
椿(ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ)
そして二人から少し離れた壁際で、顔に両手を当てて指の隙間から、魔王長直属の部下で隊長の椿が四葉と理央の痴態を赤面しながら凝視していた。

それまでずっと舌を絡ませ続けていた四葉が唇を離して、少し神妙な顔をした。
四葉「ふむ・・・だいぶ興奮しているはずなのだが・・・まだこれでもだめか」
四葉は顔が少し赤く火照っているが、疲れた様子はない。
一方、理央は顔は四葉より遥かに赤く、息も切れ切れで、しかも、目の焦点があまり定まっていない。
理央「あのほぉ、まひょーひょーはま、わひゃひ、もう舌がうごかなひでふ・・・」
理央はかなりろれつが回らなくなっていた。
四葉「なに言っているのか分からん。もっとはっきり言え」
理央「もう舌、動きまへんでふよぉ~!」
四葉「30分ほど舌を絡ませていたぐらいで、だらしがない。それは我の身体なんだから、もっと体力あるはずだぞ」
理央「いえ、あひゃひ、舌絡ませるなんて初めてだし、それになんか頭の奥とか体の芯が痺れるというか疼くというか、なんかもうあたし変になりそうで・・・」
四葉「ディープキスとはそういうものだ。発情期の牝猫みたいに前後の見境がなくなるぐらいお前を興奮させるつもりだったのだが、そこまではいかなかったようだな。我もまだまだ舌の使い方が甘いようだ」
理央「い、いひぃぃええええええええっっっ!!??牝猫って・・・」
四葉「ものの例えだ、気にするな」
理央「気にしますよぉ~、あたし、当事者なんですから~」

四葉「ふむ」
四葉は宙を見て腕を組み、なにか考えこむような仕草をしていたが、にやりと笑うと、腕を解いて片手で理央のあごをそっとつかんだ。
理央「ひゃひっ!?ま、魔王長さま!?」
四葉「興奮しないなら興奮しないで、興奮させてみたくなるな、どうせなら限界を突破するぐらい。よし、続きをやろう」
理央「ひ、ひあああっ!も、もう舌は勘弁・・・んぷっ」
理央が全部言い終わる前に四葉が自分の唇で理央の唇を塞いでしまい、さらにそのまま舌を入れてまた舌を絡め始めた。
理央「んごごごーー!」
四葉「ぷはっ」
四葉はいったん唇を離し、瞳に嗜虐心の光をたたえ、理央の瞳を見据え、唇の端を吊り上げながらこう言った。
四葉「おとなしく、しろ」
理央「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

椿「さしでがましいようですが魔王長さま!」
それまで黙って事の成り行きを見守っていた椿が、久々に声を発した。
ぴちゃぴちゃと音を立ててまた理央の口内を攻めたてていた四葉が、椿の声を聞いて理央から唇を離し、少し不機嫌そうな顔で、首だけを捻って椿のほうを見た。
四葉「なんだ椿、まだいたのか」
四葉は本当に椿の存在を忘れていたかのような、やる気のない口調で椿に声をかけた。
四葉「もう帰ってよいと言ったはずだぞ?用がないならさっさと帰って休め。我は今、良い気分なのだ、邪魔するでない」
椿「いえ、私はそこにいます四葉の上司ですから、部下の失態の後始末をしっかり見届けなくてはいけないと思いまして」
四葉「そうか、椿は仕事熱心だな」
四葉は一応返事はしているが、既に視線は椿のほうを見ておらず、視線は宙を泳いでいて、片手で理央を抱き締めた視線のまま、もう片方の手は所在なさげに理央の髪に指を通し、手櫛で髪を梳っている。
椿「それで、その、今の方法で効果がないようでしたら、また別の方法を試してみてはいかがかと愚考する次第でございます」
四葉「ふむ、そうか、そうかもしれんな」
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by irekawari | 2007-09-15 23:52 | 女同士入れ替わり
姫倉未遊(ひめくら みゆ) 姫倉財閥の一人娘・お嬢様 16歳
浅川千瀬(あさかわ ちせ) 未遊付きのメイド 20歳

北島速人(きたじま はやと) 未遊の高校でのクラスメイト。16歳。未遊をお嬢様として特別扱いしていなくて、普通の友人として接している。






北島速人は毎朝学校に行く前、姫倉財閥の一人娘でお嬢様の姫倉未遊を迎えに来ている。
今朝もいつものように未遊を迎えに屋敷に来たのだが、この日はいつもと様子が違っていた。

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速人「ぶはははははは!!お前、浅川さんと入れ替わったのか!!だひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。こりゃ笑える!!」
千瀬「こら速人、笑うな!私は困っているのだぞ!!」
未遊「そうですよ速人さん、私もけっこう切実な問題なのですよ。このままだと私が姫倉財閥の後継者にならないといけなくなります」
速人「んー、まー、こういうのってすぐ元に戻るんじゃないのかな?入れ替わったときと同じことするとか」
千瀬「そんなのとっくに何度もやっておる!」
未遊「入れ替わった直後から10回以上やってますからね。私も身体が痛いですよ」
速人「って、どうやって入れ替わったんだ、お前と浅川さん」
千瀬「か・・・階段から一緒に落ちたんだよ」
速人「ふーん、どうせお前、また浅川さんにワガママなこといって困らせてたんじゃねーの?そんで、そのはずみで一緒に落ちたとか」
千瀬「ぎくっ!」
未遊「お嬢様、反応が分かりやすすぎですわ・・・」
速人「やっぱり。じゃ、お前の自業自得で決定だな。これからメイドの仕事、がんばれよ」
千瀬「な、なんで私がメイドの仕事なんかしなきゃいけないんだ!」
速人「だって今のお前、お嬢様じゃなくてメイドの浅川さんになってるんだぜ?」
千瀬「う・・・そうだった」
未遊「私としても不本意ですが、お嬢様にはしばらく私の代わりにメイドをしていただかなくてはいけないですね。その代わり、私もきちんとお嬢様を演じますから」
千瀬「えーーーーっっ!?私に、掃除洗濯炊事その他もろもろ、そんな雑用をやれというのかーー!?」
速人「やらなきゃいけないの。お前が仕事さぼったら、浅川さんの給料が減るだろ?浅川さんが大いに困る」
千瀬「私の心配もしろーーーっっ!!」
速人「これもまたいい社会勉強だ、ま、がんばれ」
千瀬「千瀬~~、お前からもなんとか言ってやってくれ~」
未遊「すみませんお嬢様、私、そろそろ学校の時間ですので、ここを出ませんと」
速人「お、ほんとだ、このままじゃ遅刻しちまうな!じゃ、行こうぜ浅川さん!」
千瀬「え~~っ、メイドなんてやだーーーっ、働くのなんてやだーーーっっ!」
未遊「それではお嬢様、行ってまいります」
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by irekawari | 2007-09-14 08:03 | 女同士入れ替わり
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向坂美奈子「化粧するなんて何十年ぶりかのう。じいさんとの初デートのときも、このぐらいドキドキしたのを思い出すわい」

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向坂キヌヱ「おばあちゃん、準備できたの?」
美奈子「美奈子、準備はできたぞ。どうじゃ、ワシのコーディネイトは」
キヌヱ「って、化粧以外は全部あたしがやってあげたんじゃない。おばあちゃん、背中が曲がってる!みっともないから、ちゃんと背筋伸ばして!」
美奈子「はいはい、うちの孫はうるさいのう」

キヌヱ「もうっ、だいたい、おばあちゃんが階段で足をすべらせてあたしにぶつかってきたのがいけないんじゃない!もし、元に戻れなかったらどうしてくれるのよ!顔も手も足もしわしわだし、歯は入れ歯だし、2階に上がるだけでも息切れるし。もう、泣きたいわ・・・」
美奈子「美奈子、そうはいっても入れ替わったものは仕方ないじゃろう?とりあえず今日は美奈子の友達の結婚式だというから、ワシが代わりに行ってやると言っておるんじゃ。ちゃんと美奈子を演じてあげるから、安心してね、おばあちゃん」
キヌヱ「や、やだ、おばあちゃん、なにあたしの口調真似してるの!?やめてよ」

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美奈子「でも、いつまでもおばあちゃん口調じゃみんなに怪しまれるでしょう?ちゃんと言葉遣いから直しておかないと。それに、美奈子もあたしの口調真似してくれないとあたしも困るわ」
キヌヱ「い、いやよ、おばあちゃんみたいな年寄りのしゃべりかたするなんて」
美奈子「今は美奈子がおばあちゃんなんだから仕方ないでしょう?まあいいわ、とにかく行ってくるわ」
キヌヱ「もうっ・・・あたしの身体で、変なことしないでよ、おばあちゃん!」


美奈子「へっへっへ、結婚式ということはまだ結婚していない男友達もたくさん来るんじゃろうなあ。少しぐらい遊んでも、天国のじいさんも許してくれるじゃろう。本当に、若い頃を思い出すわい。楽しみじゃのう」
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by irekawari | 2007-09-13 07:18 | 女同士入れ替わり
キツネと身体を入れ替えられた巫女




鷲森藤乃(わしもり ふじの) 16歳 鷲森神社の巫女。霊感が高く、お札を使って数々の特殊能力を操る。
高遠幸輔(たかとお こうすけ) 14歳 ごく普通の中学二年生。何の特殊能力も持たないが、巫女である藤乃に憧れ、彼女の助手になりたいと思っている。

小野寺直人(おのでら なおと) 25歳 登山中に怪我をしているキツネを助けた、気のいい青年。

キツネ ?歳 通常のキツネの2倍以上の体格をしている。怪我をしているところを直人に助けられ、彼に惚れる。






小野寺直人は仲間と山に登ったとき、一人だけはぐれてしまい、そのとき、一匹の大きなキツネが罠にかかっているのをみつけた。
普通のキツネの2倍はあろうその巨体に直人は最初驚いたが、罠にかかっている足から血が出ているのを見て、かわいそうになって罠を外してやった。
さらに持っていた清潔な布で、キツネの足を巻いて血止めしてあげた。
直人「これで大丈夫かな。もう罠にかかるんじゃないぞ」
キツネは体は大きいが特に暴れる様子もなく、手当されている間、ずっとおとなしく座っていた。
男「おーい直人、やっとみつけたぞ!そんなところでなにやってるんだー?」
直人「あ、仲間が呼んでるみたいだ。じゃ、もう僕は行くよ」
そう言って直人は去っていった。
怪我をしているキツネは、直人の姿が見えなくなるまでずっとその姿を見送っていた。





それから約3ヶ月が経ち、さらに場所も変わって、ここは高層ビルが建ち並ぶ大都会・東京。
ごく普通の中学二年生男子である高遠幸輔の自宅に、巫女姿の鷲森藤乃が尋ねてきていた。
藤乃「・・・と、最近都内でこんな噂が広まっているんです」
幸輔「その噂、俺も知ってる!通常の2倍ぐらいの大きさのキツネが、夜な夜なこのへんを徘徊してるんだって!俺はまだ見たことないけど」
藤乃「見ていなくて当然です。幸輔くんはまだ中学生なんだから、噂を確かめようとして夜出歩いてちゃダメですよ」
幸輔「そんなぁ!藤乃さん、これってまた物の怪(もののけ)絡みじゃないの?今晩も調査に行くんだろ?俺も連れてってくれよ!藤乃さんの役に立ちたいんだよ!」
藤乃「ダメです。害のある物の怪ではなさそうですが、安全のため、調査には私一人で行きます。それに幸輔くん、たしかテスト前でしょう?まずは、自分のやるべきことを終わらせてからにしましょうね」
幸輔「そんな~テストなんてどうでもいいよ~」
藤乃「どうでもよくありません、勉強は学生の本文です。幸輔くん、とにかく、ついてきちゃダメですよ」



そして深夜。
今夜は晴天な上に満月なので、夜空にぽっかり、まんまるのお月様が浮かんでいる。
月の光に照らされ、夜の街も、いつもよりはっきりとその姿を浮かび上がらせている。

藤乃「このへんですね・・・巨大キツネの目撃例が多いのは」
藤乃がしばらく辺りを探索していると、公園の植え込みの茂みがガサガサと揺れた。
藤乃「はっ!」
藤乃が振り向くと、茂みからなにか巨大なものが襲いかかってきた。
藤乃は間一髪、体を横方向に回転させ、受け身をとり、その襲いかかってきたものから身をかわした。
体勢を立て直して、対峙しているなにかを凝視してみた藤乃は、襲いかかってきたものの正体を見た。
藤乃「キツネ・・・さん?」
月明かりの下、姿を現したものは、姿形は普通の、一匹のキツネだった。
ただ、その体は、通常のキツネの2倍ほどの大きさがあった。
藤乃「おおきなキツネさん・・・ですが、物の怪ではなさそうですね」

キツネ(ふうん、人間のくせに、よくかわしたじゃないか)
藤乃「あなたが、最近このへんによく出没するという、キツネさんですか?」
キツネ(おや、おどろいた。あたしの言葉が分かるの?)
藤乃「私、一応巫女をしていますから、霊感は高いのですよ。動物なら誰とでもお話できるわけじゃないですけど、あなたも、キツネさんにしてはずいぶん霊感あるみたいですね)
キツネ(ま、100年ぐらい生きているから、そんな力ぐらいあるかもね。ところであんたは誰?なんかあたしを探してた風だけど)
藤乃「最近、このへんに大きなキツネさんがよく出るという噂を聞きましたもので。実質的な被害はないみたいですが、その大きなお姿で行動されますと、住民のみなさんがおびえて夜出歩けないそうなんですよ。もし理由もなくうろついているだけだとしたら、もっと人のいないところへ移ってほしいのです)
キツネ(理由ならあるよ、大事な理由がね)
藤乃「それは、なんですか?私で手伝えることなら、なんでもお手伝いますよ」
キツネ「へえ、ほんとに何でも?」
巨大キツネの目がすっと細まった。ように見えた。
藤乃「ええ。訳があるのでしたら、なんでもお話ください」

キツネ(人間の男を好きになったんだ)

藤乃「ええっ、人間の男性を・・・ですか!?」
キツネ(そう。あたしはその人間の男と結ばれるためにこの街に来たんだ)
藤乃「で、でも人間とキツネさんでは・・・種族の問題とか」
キツネ「そう、あんただって、人間とキツネが結ばれるはずないって思うよね。でも、たったひとつだけ、あたしでも人間の男と結ばれる方法があるのさ)
藤乃「そ、それは・・・なんですか?」


キツネ(あんたさあ、今あたしと普通に会話してるけど、それってかなり特別なことなんだよ)
藤乃「?なんでしょうか、いきなり」
キツネ(霊感が高いだけじゃあたしとここまではっきりと会話はできない。この街でも、霊感が高いだけの女ならたくさんいた。でもそいつらじゃダメなんだ。あたしと、波長の合う女じゃないとダメなんだ)
藤乃「は、波長・・・ですか?」
キツネ「そのとおり。今あたしと会話できている時点で、あんたとあたしは魂の波長が限りなく同じなんだよ。そしてあたしはそういう、あたしと波長の合う人間を探していた。そして今夜みつけた、目の前にいる、あんたをね)
藤乃「・・・すみません、お話がなんだかよくみえてこないのですが・・・」
キツネ(あんた、名前は?)
藤乃「私ですか?私は、鷲宮藤乃といいます)
キツネ(わしみやふじの・・・か、じゃあ、今からそれがあたしの名前だ)
藤乃「え?」
キツネ(もらうよ、あんたの身体)

そう言うと巨大キツネは突然、藤乃めがけて真正面から猛スピードで駆けてきた。
藤乃「!!」
身の危険を感じた藤乃は懐から札を取り出し、目の前に小さな結界を張った。

バシッッ!

見えない障壁にぶつかり、体に電気が流れたような衝撃をうけ、巨大キツネの身体が吹き飛ぶ。
キツネ(甘いね、それはもう、抜け殻さ)
キツネの体は目の前に倒れているのに、突然、後ろからキツネの声がして、藤乃は思わず振り返った。
そこには、姿形はそのままだが、なぜか体が半透明になっている巨大キツネが宙に浮いていた。
巨大キツネの半透明の体が透けて、夜空の月の光が見える。
藤乃「これは・・・あのキツネさんの魂?」
キツネ(ふふふ、じゃあ、いただくよ)
半透明になり宙に浮いている巨大キツネが、藤乃の体に飛び込んだ。またたくまに巨大キツネの姿は藤乃の体に埋もれていき、やがて、見えなくなった。
そしてそれと入れ替わるように、藤乃の身体から、半透明で裸の藤乃の姿が出てきた。
藤乃「ふふ、あんたも身体がないと困るだろ?あたしの身体をあげるよ」
藤乃は宙に浮かんでいる半透明の藤乃の姿を手でつかみ、地面に倒れている巨大キツネの身体に押し込むようにして入れた。

キツネ(な・・・なにが起こったの?)
気絶していたキツネは目を開け、ゆっくりと起きあがった。
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藤乃「ふふ、気分はどう?」
キツネ(え!?私がそこにいる!?)
藤乃「今の自分の身体をみてごらん、素敵なことになってるから」
キツネ(わ、私の身体・・・?え!?わ、私、あのキツネさんになってる!?)
藤乃「ふふ、入れ替えさせてもらったよ、あたしとあんたの身体を)
キツネ(そ、そんな・・・こんなことって・・・)
藤乃「ふふ、これは魂の波長が完全に同じ者同士でないとできないんだよ。億に一つあるかないかの確率さ。でも街まで出てきて、あんたと巡り会えてよかったよ。この身体は、あたしと小野寺さんが結ばれるために大切に使わせてもらうよ」
キツネ(小野寺さん・・・って、さっきおっしゃっていた、あなたが好きになったという、人間の男性ですか?)
藤乃「そうだよ、キツネのままじゃ小野寺さんと結ばれない。でも人間と入れ替わって、人間の身体を手にいれれば、なにも問題はなくなる。あたしは自分と波長の合う人間を探して、夜の街を徘徊していたのさ」
キツネ(そういうことだったのですか・・・)
藤乃「じゃあね、おせっかい焼きの巫女さん。いや、今はもう身体がでかいだけのただのキツネか。他の人間の捕まらないうちに、さっさと山に帰ったほうがいいよ」
キツネ(ま、待ってください、私の身体を返してください!)
巨大キツネは藤乃に向かって駆けた。

バシッ!!

キツネ(!?)
巨大キツネは体に衝撃を受け、吹き飛んだ。
藤乃が懐から札を取り出し、防御用の結界を張ったのだ。
藤乃「こうやって使うんだろ?さっき見たから分かるよ。これは、なかなか便利だね」
キツネ(ま、待って・・・)
巨大キツネはなおも追いすがろうとしたが、身体がしびれてうまく動かない。
藤乃「もう会うこともないでしょうね、さようなら、キツネさん」
藤乃はそのまま、振り向きもせず歩き去っていった。
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by irekawari | 2007-09-12 23:55 | 女同士入れ替わり
葦野宮優華(あしのみや ゆうか)

松浦郁子(まつうら いくこ)
松浦聡(まつうら さとし)


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郁子「うわぁ・・・ラーメンって、こんなに美味しいものだったのですね。わたくし、感動しました」
聡「一杯400円の素ラーメンで感動って・・・しかもこの店、格別美味い店じゃないし」
郁子「わたくしがこのようなことをできるのも、聡さんのお姉様がわたくしと入れ替わってくださったおかげですわ。郁子様、そして聡様、ほんとうにありがとうございます」
聡「って、俺はなにもしてないし。姉貴と優華さんが入れ替わったのも、葦野宮家に伝わる秘術とやらを使ったおかげだし」
郁子「そんなことありませんわ。聡さんがいろいろ手引きしてくださらなければ、今日のこの計画は成功しませんでしたわ。聡様はわたくしの恩人ですわ」
郁子は割り箸を一旦どんぶりの上に置き、フリーになった手で聡の両手を握り、聡の目をまっすぐにみつめ、にっこりと優雅に微笑んだ。
聡(うっ、か、かわいい・・・これで姉貴の顔じゃなかったらもっとよかったのに)
聡は郁子の積極的な行動に、思わず心臓がドキドキしてしまった。

聡「そういや、今頃姉貴は、ちゃんと優華さんの代わりやってんのかな?」
郁子「聡様のお姉様はとてもしっかりした方ですから、きっと大丈夫ですわ」
聡「しっかりしてる、ねぇ・・・優華さん、そりゃ絶対うちの姉貴を誤解してるよ」




その頃、葦野宮の屋敷では。

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優華「いえ~~~い!!いや~、お嬢様の生活ってほんといいわぁ~、こ~んな綺麗な着物も着られるし、一日といわず、一生このままでもいいぐらいだわ~」
メイド「お、お嬢様!?は、はしたないですよ~!?」




聡「う・・・なんか寒気がしてきた。姉貴、頼むから優華さんの評判落とすようなことしないでくれよ・・・」





完。
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by irekawari | 2007-09-11 08:04 | 女同士入れ替わり

新婚

琴坂雪音
琴坂隆仁

高峯千鶴



琴坂隆仁は今年の春、長年付き合っていた雪音と結婚し、新婚生活を送っていた。
ある日、買い物に出かけた雪音は隆仁の会社の同僚の女性・高峯千鶴と出会う。
二人は偶然、階段で足を滑らせ一緒に転がり落ち、そのショックで心と体が入れ替わってしまった。
二人は仕方なく、お互いになりきって生活することにした。
二人の入れ替わりを知っているのは、隆仁ひとりだけである。

隆仁「ただいま~」
夜9時を過ぎた頃、隆仁が仕事を終え、二人だけの新居に帰宅してきた。
雪音「隆仁さん、お帰りなさい!」
雪音は素肌の上に直接エプロンを着用した、いわゆる「裸エプロン」の状態で台所から玄関に出てきて隆仁を迎えた。
隆仁「うわ!た、高峯さん、なんて格好してるんですか!?」
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雪音「おかしいですか?」
隆仁「おかしいとかそうじゃなくて・・・ゆ、雪音はそんな格好しないですよ!」
雪音「そうなんですか?隆仁さんと雪音さんって新婚でとても仲良さそうだから、食事のときは裸エプロンぐらい当たり前なのかなと思ってしまって。私、きちんと雪音さんを演じきってみせるって雪音さんに誓いましたから、雪音さんがやっていたことは全部やってみせなきゃ、と思って、それでこんな格好してみたんです。あの・・・ご迷惑でしたか?出過ぎたことをしてしまっていたら、ごめんなさい」
雪音はしゅんとした、すまなさそうな表情で隆仁の顔を見ている。
隆仁「い、いや、その気持ちはありがたいんだけど、ちょっと発想が飛躍しすぎかなと思って。べ、別に謝ることはないよ」
隆仁はしどろもどろになりながら、取り繕うように返事をした。顔は、雪音の裸エプロンを見たときからずっと赤いままで、さらに言えば、隆仁の視線もさっきからずっと、エプロンから露出している豊満な胸や細い腰、形のいいお尻、むちむちとした脚などに向けられている。
隆仁「と、とりあえず着替えてくれるかな。その格好のままだと、俺も落ち着かないし。俺は上で着替えてくるから、高峯さんもその間に着替えていてくれないかな」
雪音「わかったわ、隆仁さん」

隆仁は雪音の裸エプロンを気にしていない素振りをしつつ、やはりチラチラと雪音の肢体を盗み見るように見ながらカチコチとぎこちない動きで二階に上がっていった。

雪音「ふふ、隆仁さんったら裸エプロンぐらいであんなに興奮して、抱き締めてあげたいぐらい可愛かったわ。それにしても隆仁さんってウブね、ちょっと度を越しすぎているぐらい。新婚だというのに、隆仁さんと雪音さんってよっぽど性交渉が無かったのかしら?」
雪音は裸エプロンのままの自分の身体を両手で愛おしそうに抱き締めた。
雪音「ふふふ、でもそんなの構わないわ、今は私が隆仁さんの妻なんですもの。この若くて魅力的な身体で、隆仁さんにいっぱい女を教えてあげるわ」

トゥルルルルル

突然、電話のベルが鳴った。
ベルが3回ほど鳴った時点で雪音は受話器を取り、耳に当てた。
千鶴「こんばんは、あの・・・琴坂雪音です」
受話器から、雪音にとって聞き慣れた声がした。それもそのはず、もう30年近く慣れ親しんできた、元・自分の声だからである。
雪音「あら、雪音さん、こんばんは。それと、お仕事お疲れさま」
千鶴「い、いえ、こちらこそ」
雪音「それで、今日はどんなご用?」
千鶴「あ、あの、隆仁さんに替わってほしいのですが・・・」
雪音「あー、ごめんなさいねぇ~、隆仁さん、今お風呂に入ってるのよ」
千鶴「あ、そ、そうですか。それでは、また後でかけ直しますので・・・」
雪音「んー、今日の隆仁さん、すごく疲れてるみたいだから、お風呂から出たらすぐに寝るとか言っていたわねー。とにかく今日は疲れていて、元気ないみたいよ」
千鶴「そ、そうなんですか?今日はちょっと会社でもあの人と顔を合わせなかったから・・・」
雪音「どうしましょうか?隆仁さんから、かけ直すように言ってあげましょうか?」
千鶴「い、いえ、あの、大した用事じゃないから・・・また今度にします」
雪音「そーお?残念ねぇー、それじゃあ」
千鶴「あ、あの・・・」
雪音「なに?まだあるのかしら?」
千鶴「あの・・・夜、一緒に寝てたりしませんよね?」
雪音「してないわよ」
雪音の返事は簡潔明瞭だった。
千鶴「そ、そうですか、な、ならいいんです」
雪音「もういいかしら?たしかもうお風呂場の石けんがなかったと思うから、早く代わりの石けんを隆仁さんに持って行ってあげたいのよ」
千鶴「あ、す、すみません・・・あ、あの、その・・・」
雪音「なに?」
千鶴「隆仁さんをよろしくお願いします、それでは、また」
カチャンと、小さく通信を切る音がして、それ以上千鶴の声は聞こえなくなった。

雪音「ふん、もう妻でもなんでもないくせに、毎晩毎晩電話かけてくんなっての。ま、気持ちは分かるけどね」
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by irekawari | 2007-09-10 23:58 | 女同士入れ替わり
和泉つばさ
桐原賢祐




和泉つばさと桐原賢祐は同じ電車に乗って通学していた。
電車の中には満員なので、他の学生やサラリーマンがつばさの近くにたくさんいる。
つばさ(やだなぁ、おしりとか触られないかな。昨日、一人で乗っていたときも一駅ぶんぐらいずっとおしり触られていたし。痴漢なんて初めてだったから声なんて出せなかったけど。今の私って可愛いからすぐ狙われちゃいそう。またあんな思いしたくないな・・・)
すると、横に並ぶようにして乗っていた賢祐が、両腕を電車の壁についてその腕の中につばさを入れるような体勢をとった。壁際にいるつばさを周りから守っているように見える。
つばさが見上げると、賢祐の顔が斜め上方すぐのところに見える。
賢祐はつばさのほうを見ず、窓の外の景色を見ていて、表情もクールなままだ。
つばさ(桐原くん・・・私を守ってくれてる?)
賢祐の行動の意図に気付き、胸があったかくなるのを感じた。
決して表情に出さないところも、むしろすごく可愛いと思えてしまう。
つばさは賢祐に愛されていることを改めて実感した。
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つばさ「・・・もっと、くっついてもいいよ?」
愛されているという思いが、つばさに大胆な行動をとらせていた。

もっと、桐原くんを身近に感じていたい。

桐原賢祐を独り占めしたい、つばさはそんな独占欲にとらわれていた。

賢祐「・・・もうじゅうぶん近い」

賢祐の返事はそっけないものだった。
つばさ(もう、桐原くんったら、ほんとにクールなんだから。ふふ、でもさすがに満員だからって電車の中で私を抱き締めたりはできないしね。でも、桐原くんは私の彼氏で、今の私は桐原くんの彼女なんだから。これからずっと、桐原くんは私のものよ)
つばさは賢祐の腕の中で、賢祐に見えないように、ひとりほくそ笑んでいた。
つばさ(私の身体になった和泉さんは今頃ひとりさみしく登校してる頃かしら。ふふ、私の身体になった和泉さん、痴漢に遭うどころか、むしろ男の人から避けられてるでしょうね。でも、いい気味だわ。今まで、私の桐原くんを独占していたんだから。うふふふふ、これからは一生、私が和泉つばさよ)

つばさ(でもあのおばあさん、入れ替わりの儀式のとき、代償がどうの、とか言っていたわね。でもどうせお金をふんだくるためのただの脅し文句でしょうね。入れ替わって今日で2日目、別に身体はなんともないし。誰も私を本物の和泉つばさだと信じて疑わないし、なにも問題はないわ)

つばさ(ふふ、桐原くんも健康な男の子だから、今の可愛い私を見て、おちんちんおっきくさせてたりするのかな?あのクールな賢祐くんが、私を見て欲情しているなんて・・・ふふ、たまらないわ。桐原くんになら、私なにされてもいい。もっと私を感じて、もっと私を愛して!)
つばさはひとりで感じてしまっていて、制服のスカートの中のパンツは既にグショグショに濡れていた。

つばさと賢祐を乗せた電車は次の駅にむかって変わらず走り続けていた。




完。
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by irekawari | 2007-09-06 07:28 | 女同士入れ替わり
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松本千津「ちょっと松本さん、早くわたくしの身体を返してくださる?」
西園寺京華「そんなこといっても西園寺さん、元に戻れそうなことは全部やったし、それでもだめだから、とりあえずお互いを演じながら生活しようって決めたじゃない」
千津「そうは言いましたけどね、もう一週間も入れ替わったままですのよ。わたくしの高級な魂には、このような庶民的な身体は合いませんのよ。お家のほうも、貧乏とはいいませんけど、中の下ぐらいで、あのような庶民的な生活、わたくしにはもう耐えられないですわ。あなたはいいですわよね、わたくしの高級な家で、ぜいたくな暮らしができるのですから」
京華「そ、それも仕方ないじゃない、入れ替わりがバレたら、精神病院に連れていかれるかもしれないし、とにかく秘密にするためには、お互いになりきるしかないじゃない」
千津「ずいぶん必死ですわね、あなた、わたくしの婚約者の御堂薫様と付き合うことができるようになったのが一番嬉しいのではなくて?」
京華「えっ、や、そ、それは・・・ち、違うわよ!御堂くんは関係ないわ!」
千津「ふーん、やっぱり。今あなた、恋する乙女の顔になっていましたわ」
京華「えっ・・・そ、そう?」
千津「薫様はわたくしの婚約者ですのよ。もうこうなったら、薫様にわたくし達が入れ替わっていることをお知らせするしかありませんわね」
京華「えっ・・・や、やめて!」
千津「ふん、いまあなたが薫様と付き合えているのは、わたくしの身体になっているからですわ。中身が、ただの庶民の松本千津だと知ったら、もうあなたなんて相手にするはずがありませんわ」
京華「や、やめて、それだけは!」
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by irekawari | 2007-09-04 07:29 | 女同士入れ替わり