白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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『金の夢幻 薔薇の再会 ウナ・ヴォルタ物語』 森崎朝香先生

予告もなしに長い間休んでしまっていてすみませんでした、兎と亀マスクです。
コメントとweb拍手のレスはもうしばらくお待ち下さい(汗)。




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2007年12月31日、コミックマーケット73に行ってきました。
その入場の待ち時間のときに『金の夢幻 薔薇の再会 ウナ・ヴォルタ物語』を読みました。


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『金の夢幻 薔薇の再会 ウナ・ヴォルタ物語』
講談社X文庫ホワイトハート
「森崎朝香」先生



あらすじ
フユカ・イーグレットはイグレシア大神殿付属王立高等学院に通う、16歳の少女。
フユカは実は500年前の伝説の大魔導師・ブライヘゼルの生まれ変わりだった。
ある日、フユカはふとした事から、500年眠っていた夢魔の封印を解いてしまう。夢魔の名前はウクソルアーダフィールフラース。自称「ブライヘゼルの奥さん」らしい。ウクソルアーダフィールフラースこと「うーちゃん」は、ブライヘゼルの生まれ変わりであるフユカにつきまとうようになる。
夢魔と一緒に生活するようになって、いろんな事件に巻き込まれるようになった。学院の友人達や、幼馴染みでフユカにとって気になる男性のラウルスらと共に、それらの事件を解決していくフユカ。
そんな中、700年前、この国を恐怖と混乱に陥れていた「魔女王」グラナダ・ソルシエールが復活を企んでいた。既に故人である魔女王は宝石に意識を閉じこめ、他人の身体を乗っ取ることで復活しようとしていた。その復活の企みもフユカ達が阻止したかにみえたが、偶然、魔女王の意識が閉じこめられている宝石の近くにウクソルアーダフィールフラースが居たため、ウクソルアーダフィールフラースは魔女王に身体を乗っ取られてしまう。
ウクソルアーダフィールフラースの身体を乗っ取った魔女王は、部下である「薔薇の一族」と共に、「源の地」を目指しているという。
「源の地」とは、世界の果ての島の中にある。「源の地」は千年に一度だけ入口が開き、新たな主を迎え入れる。源の地の主は世界の気候を操ることができる。細かな指示はできないが、源の地の主は、実質、世界を支配できる力を持つことができる。そしてその源の地の主は、千年に一度交代する。
現在の源の地の主は、女性の「メルク」。メルクは遥か昔、天上人が支配する時代に生まれ、その容姿の特異さから、人々に忌み嫌われてきた。
源の地の主は、代々、天上人が受け継いできた。天上人は「転生の秘術」を用いて、死んでも元に記憶・容姿を保ったまま生まれ変わることができた。魔女王も元々は天上人の一員である。
天上人による世界の支配は、ある程度の豊かさももたらしたが、害を受ける人がないわけではなかった。メルクは、その害を受けた、最も分かりやすい例だった。
メルクは、自分と同じような思いをする人がいないよう、天上人の支配を終わらせるため、自分が新たな源の地の主となった。
天上人の支配が終わり、人々の生活からは豊かさがなくなり、戦争なども起きるようになった。だが、ある意味、それは世界の自然な姿である。しかし、魔女王はこれを「間違った世界」だと思い、自分達の手でまた世界を支配しようとした。

魔女王の企みを知ったフユカ達は、メルクの助けもあって、先に「源の地」の島に到着することができた。
そして島に上陸する魔女王達。迎え撃つ、フユカとその仲間達。
苦戦の中、魔女王の部下もなんとか押さえ込み、さらにウクソルアーダフィールフラースの身体から魔女王の魂を追い出すことに成功する。
しかし、ふとした拍子に、フユカは「先に触れた者が、次の千年の新たな源の地の支配者になれる」水晶の近くに落ちてしまう。そこへ追いかけてくる、魔女王。
次の源の地の主になれるのは、生きた人間のみ。今の魔女王は生きた人間ではない。そこで、最後の手段として、魔女王はフユカの中に入り、彼女と一体化することで、次代の源の地の主になろうとした。
魔女王に意識を乗っ取られそうになるフユカ。しかしフユカは今までの様々な出来事、出会った人々から受けた様々な思いを思い出し、魔女王の作ろうとしている世界は間違っていると指摘する。やがて、フユカは自らの意志の力で、魔女王の誘惑をはねのける。
そこへ、フユカの中のブライヘゼルの力の助けも加わり、フユカはついに、魔女王を消滅させた。
主を失った魔女王の部下たちは、生きる目的も見失い、いずこかへと去っていった。
先代の源の地の主であったメルクは、フユカ達に礼を言い、静かにその生を終えた。

メルクの古い友人であるブライヘゼルは、メルクに、妖魔であるウクソルアーダフィールフラースが人間に生まれ変わることができるよう、お願いしていた。メルクはその願いを聞き入れていた。
役目を終えたブライヘゼルの意識も、いつしか、フユカの中に現れないようになっていた。

世界を揺るがすかもしれなかった大事件も終わり、フユカはまた元の学生の生活に戻った。
無事学院も卒業し、実家の商家に戻ったフユカは、おとなしく嫁に行くことをよしとせず、家業を手伝うようになった。学院での様々な出来事の経験から、フユカは自分の意志をはっきりと示すことができるようになっていた。
そして街の祭りの日。フユカは、学院卒業以来、ほとんど会っていなかったラウルスと再会する。ラウルスから、求婚の証の、薔薇の花を渡されるフユカ。フユカは、「もし自分達が結婚したら、生まれてくる子供は、ウクソルアーダフィールフラースの生まれ変わりだ」とラウルスに告げる。それは確信をもって断言できるほど。ラウルスはウクソルアーダフィールフラースとは仲が悪かったが、それはフユカを奪われるかもしれないという、嫉妬心からきていたもの。しかし自分たちの子供であるなら、フユカを恋人として奪われる心配はない、だから大丈夫、とラウルスは告げる。
その言葉を聞いて、フユカは安心し、求婚の承諾の証として、ラウルスに薔薇の花を渡すのであった。
数年後、フユカとラウルスの間に生まれたのは、かつてのウクソルアーダフィールフラースと同じくやたらわがままで甘えん坊で、でも父も母も大好きな、可愛らしい子供であった。

というお話。




感想。

ウナ・ヴォルタ物語シリーズついに完結!
今回の本は全4巻のうちの4巻目になります。

前の巻の3巻が、本編中の賑やかしキャラ&ムードメーカーの「うーちゃん」ことウクソルアーダフィールフラースが、敵の総大将である魔女王に身体を乗っ取られるという衝撃のラストで終わっていたので、続きが気になっていました。・・・のわりには、私はこの本が出たことをしばらく知りませんでした(汗)。2007年10月の頭ぐらいに発売されたはずなのですが、私が買ったのはそれから1ヶ月ぐらい経った、11月の頭ぐらいです。

で、最終巻では・・・魔女王に身体を乗っ取られたうーちゃん自身、なかなか出てきません(汗)。前半はフユカ達主人公側の描写ばかりで、魔女王達は後半になってやっと出てくる程度。
しかも、うーちゃんの身体を乗っ取ったからといって、たとえば着替えのときに裸になって胸を揉んで身体を確認したりとか、そういうシーンは一切無し(汗)。まあ、2巻と3巻でベルデ・アウルムが乗っ取られたときも、そんなふうに身体を確認するシーンは皆無だったのだから、このシリーズ自体、あまりそういう「乗っ取り」に重点を置いていないことがよく分かります。
ファンタジーもので乗っ取りをやってくれることだけで嬉しいのですが、乗っ取りの描写が実にあっさりしているのは残念なところ。
魔女王自身が、うーちゃんの身体を強く意識するようなシーンもほとんどありません。唯一、身体を乗っ取ってから、着ていたドレスを意図的に着替えた、というぐらいでしょうか。うーちゃんが元々着ていたドレスは露出が多かったので、そういうのが嫌いな魔女王は、肌の露出が控えめなドレスにわざわざ着替えています。
しかし、話の中でちゃんと「着替えた」という描写があるのに、175ページの挿絵では、魔女王に身体を乗っ取られているうーちゃんは、いつものドレスのまま。最終巻の表紙のうーちゃんと全く同じ服装です。イラストには上半身しか出ていないけど、肩は露出しているし、どう見ても「かっちりした」服装には見えない。うーん、このシーンは絵描きさんと作者さんの間できちんと話し合いができていなかったんじゃないかな・・・とか思います。

さて、最後のあたりでびっくりしたのが、魔女王が主人公・フユカの身体を乗っ取ろうとしてきたこと。このシリーズの中で何度か乗っ取りシーンは出てきていますが、いずれも、主人公のフユカまで狙われることはありませんでした。だから、最終巻でも単にうーちゃんの身体から魔女王を追い出して終わり・・・だと思っていたので、この意外な展開には素直に驚き。
良いですね!一旦身体を失っても、すぐにまた別に身体を得ようとするというのは!
乗っ取りや入れ替わりをしようとしている人は、このぐらい貪欲でなくては!見ているほうも、そのほうがハラハラドキドキします。
フユカのときは、乗っ取りは失敗してしまうので、「魔女王の口調でしゃべるフユカ」が見られなかったのはちょっと残念。
しかし、フユカ乗っ取り未遂シーンでなによりいいのは、「キス」という行為をしてから乗っ取ろうとしたこと。
ベルデやうーちゃんの身体を乗っ取ったときは、どちらかというと「気が付いたら乗っ取っていた」という感じの、わりとあいまいな表現だったのですが、なぜかフユカのときははっきりと「キス」してから乗っ取りを行おうとしています。
なぜフユカのときだけ「キス」になるのかはよく分かりませんが、たぶん直接触れ合っていたほうが、意識を移しやすいのでしょう。
「キスして入れ替わり」は、あらゆる入れ替わり方法の中で一番好きな入れ替わり方なので、それをやってくれたことにかなり感激。しかも女同士!!文句なしです。
キスしてから魔女王が言った台詞が

『渡しなさい!あなたの肉体を!!』
『そう。あなたの肉体。あなたの命。あなたの精神。あなたのすべてを私と同化し、私の一部となりなさい。あなたの肉体と命を明け渡すのです』

↑こういう内容。
ぐはーーーーーーーー!!(吐血)
女性が女性に命令口調で「肉体を渡せ!!」・・・は、ハンパじゃなく興奮するーーーー!!
乗っ取りが未遂に終わったのが残念だけど、キスのシーンとこの台詞のあたりは、もうかなり良くて燃えます!


入れ替わりとはちょっと関係ない部分について。
フユカとラウルスは両思い。でもうーちゃんはフユカ(と、フユカの中にいるブライヘゼル)が好き。
うーちゃんの思いはいつまで経っても一方通行のまま。このへん、最終的に未解決のままで終わるのかなーと思ったら、うーちゃんは二人の子供として生まれ変わる、という驚きのオチ。綺麗にまとまったといえばまとまっていますが、うーちゃんがブライヘゼルのことを一途に好き、と思っている部分がうやむやになったままですよね。このへん、もっとすっきりさせてほしかったですが・・・まあ、いずれにせよ、うーちゃんには失恋する道しか残っていなかったかも。

エピローグでは、主要メンバーのうち、何人かは「その後」が描かれていますが、シアンやケイヴァーなど、最終巻でもそこそこ出番&活躍のあった人でも、「その後」がまったく描かれていなかったりします(汗)。最終巻で、わざわざ名前まで判明した、薔薇一族の女性・パシエンテも、その後どうなったか全く分かりません。最終巻なのだから、各人のその後ももうちょっと描いてほしかったかなー。

とはいえ、全4巻と、手頃なぐらいのボリュームでまとめてくれたのは、いいなと思います。個人的に、長くダラダラと続くのが嫌いなので、短めでスパッと終わってくれたほうがいいです。


「乗っ取り」の部分がなかったとしても、ファンタジーもので恋愛要素もある話としては、全体的に良かったです。
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by irekawari | 2008-01-01 14:34 | 入れ替わり作品の紹介・レビュー