白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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東方Project二次創作 『紅魔館恋異変』 第7回

東方Project二次創作
魔館異変』
第7回


フランドール・スカーレット  姉のレミリアのことが好き。
レミリア・スカーレット  妹のフランから求められれば応えるが、本心では咲夜が好き。

十六夜咲夜(いざよい さくや)  主であるレミリアに、想いを寄せている。







咲夜に用件を伝え終えたレミリアは小脇に本を抱えたまま、そのまま自分の部屋のほうへ歩き去っていった。

その姿を最後までみつめていた咲夜はなんとも不思議な気持ちになった。
咲夜「お姉様、私を完全にさくやだと思ってるんだ・・・」
右手を目の前に持ってきて、改めてじっくり見てみる。
今のこの手は自分の手ではなく、咲夜の手。
手だけではない。姿全体が、実の姉のレミリアが見ても「咲夜だ」と思うほど、今の自分は十六夜咲夜になってしまっているのだ。
自分が自分ではない。そんな、例えようもないほどの不安が、咲夜の中のフランの心に焦りを生じさせていた。
咲夜「ほんとうの『私』はどうなってるんだろう」
咲夜は足早に、また地下への道を急ぎ始めた。



咲夜「うわぁ・・・私が居る・・・」
咲夜は目を見開き、軽く息を呑んだ。
地下のフランドールの部屋に着いた咲夜は、ベッドの上の大きなふくらみを発見し、そのふくらんでいる部分の上に覆い被さっているシーツを両手でつかんで、勢いよく払いのけた。
そこには、まさにまだ幼い「子供」といった容姿のフランドール・スカーレットが、うずくまり、丸まった姿勢のまま眠っていた。
自分はここにいるのに、目の前にも自分がいる。なんだか悪い夢を見ているようだった。
咲夜「い、生きてるよね、この私って・・・」
さっきからピクリとも動かない自分の身体を見て、咲夜は少し不安になってきた。
自分もベッドの上に乗り、フランの口元に自分の耳を近づけて、呼吸音を聞いてみる。

すー、すー。

どうやら息はしているらしい。
念のため、手首をつかんでみたり、少女らしい、膨らみなど全くない胸なども触ってみた。ちゃんと心臓は動いているようだし、脈も正常だ。どうやら、この目の前に居るフランドールは、正常に生きてはいるようだ。
自分の身体に、特に異常がないことを確認した咲夜は、とりあえず安心した。
そして、さきほど厨房で浮かんだ疑問がまた思い起こされた。
咲夜「私がさくやになってるってことは、さくやは私になってる・・・のかな?」
咲夜は、ベッドで眠ったままのフランの顔に自分の顔を近づけ、凝視してみた。
何度ながめても、やっぱりこれは、自分の、フランドールの顔である。
しかしながら、今の自分も、外見は十六夜咲夜ながら、中身はフランドール・スカーレットである。
そうなると、逆に、ここに居るフランドールの中には、十六夜咲夜がいるのではないか。
そう考えた咲夜は、とりあえずフランに声をかけてみた。
咲夜「さくや、さくや、そこにいるの?私の中に入っているの?私の中にいるのなら、返事をして」
声をかけてみたが、目の前のフランには、全く反応がない。寝言を漏らしたりもせず、身じろぎひとつしない。
咲夜「さくや、さくやったら!いないの?いたら、返事をしてよ!」
声をかけるだけでは効果が薄いと思った咲夜は、寝ているフランの肩を両手でつかんで、ぐらぐらと身体を揺らしながらまた声をかけてみた。その声のかけ方も、さっきより幾分、荒くなっている。
しかし、そこまでしても、やはりフランからの反応はなかった。
咲夜「私の中にはいないのかな・・・じゃあひょっとしてさくや、こっちにいるの?」
咲夜は無意識に自分の胸元のあたりを触っていた。

自分が別人になる、という事自体、信じられない事だったが、現実にこうして起こっているので、それはもう信じるよりほかにない。では、自分は今どういう状態なのか。気ままに、自分の思うようにしか生きてこなかったフランにとって、物事を論理的に考えるのは、やや苦手な作業だ。

原因は分からないが、今の私は私ではなく、なぜかさくやの身体の中にいる。
ではさくや本人はどこに行ったのか。
私と入れ替わるように、私の身体の中にいるのかと思ったが、呼びかけても返事はない。ただ単に、深い眠りの中にいるだけなのかもしれないが。
ということは、さくやはまださくやの身体の中にいる、ということなのだろうか。
さくやというひとつの身体の中に、さくやと私、二つの精神がある?
それもずいぶん、奇妙な現象だ。
とりあえずまた、呼びかけてみよう。返事があるかもしれない。

咲夜「さくやー、さくやー、こっちにいるの?いたら返事をして」
咲夜はフランドールの部屋の中で、一人立ったまま、自分の胸のあたりや頭のあたりを手で軽く叩いたりしながら、自分に向かって声をかけてみた。
端から見ているとヘンな人にしか見えないが、本人はいたって真剣だ。
咲夜(さくやー、さくや、いるの?私と一緒に、この中にいるの?)
咲夜は声に出すほかに、頭の中で念じて、この身体の中にいるかもしれない、咲夜の心に何度も呼びかけてみた。
しかし結局、咲夜からの返事はなかった。

咲夜「ふー、疲れちゃった。もー、さくやったら、まだ寝てるのかな」
咲夜への呼びかけに疲れた咲夜は、ベッドにどっかと腰を下ろし、大きく息を吐いた。
ベッドに腰かけた咲夜は、その姿勢のまま、まだ眠ったままのフランドールの頬のあたりを、なんとはなしに撫でてみた。
咲夜「・・・まだ寝てるんだよね、さくや。そのうちきっと、起きてくるよね」

咲夜の中のフランの脳裏に、咲夜が姉のレミリアを抱き締めている光景がよみがえる。
フラン(さくやは私の、私だけのお姉様を取ったんだ・・・でもそのさくやも、今はいない・・・ずっと、ずっとどこかで寝ていればいいんだ。お姉様が私じゃなくてさくやを好きなら、今のさくやはこの私。・・・そうよ、お姉様が好きなのは、いつでもこの私でなきゃいけないのよ・・・)

咲夜の中のフランは、これはチャンス、と考えた。
姉のレミリアは自分ではなく、実は咲夜のことが好きだった。今やフランにとって咲夜は「邪魔者」でしかない。しかし、現在、その咲夜本人は行方不明、代わりに自分が咲夜その人になっている。
咲夜「今は私がさくやなんだから、お姉様もまた、私を好きになってくれるよね」
フランの頭の中は、姉のレミリアに愛してもらいたい、という思いだけでいっぱいだった。子供らしいひとりよがりな、しかし、たしかにまっすぐな思い。フランの中で、恋敵へと変貌した咲夜への気遣い、いたわりといった心情は、紅魔館の周りに漂ってる霧ほどに薄くなっていた。

咲夜「そうよ・・・お姉様は私だけのもの・・・」
咲夜は口の端を吊り上げて笑みをうかべながら、ベッドから立ち上がり、手足を抱えて丸まった姿勢になっていたフランを抱き起こし、フランの手足をまっすぐに伸ばすようにしながら、きちんとした格好にフランを寝かせ直した。
ベッドの上のフランドールは、相変わらずすやすやと寝息だけを立てながらピクリとも動かず眠り続けている。
咲夜「さくやはここで大人しくしていてね。ふふ、さっそく、お姉様に会いに行こうっと」
咲夜本人がどこに行ったかは分からないが、とりあえず自分の身体の中に居るであろうと仮定して、咲夜の中のフランは、ベッドの上のフランドールの身体に声をかけ、自分の部屋を出ていこうとした。

咲夜「・・・あれ?」
部屋を出て行こうとした咲夜の足が止まる。
咲夜「お姉様になにか言われたような気がするけど・・・なんだっけ」
レミリアのことばかり考えていた咲夜は、レミリアに関することで、少し前に「なにか」あったような気がして、それを思い出そうとしていた。
咲夜「えーと、えーと、あ!そうだ・・・」
額に手を当てて記憶をさぐっていた咲夜は、なにかを思い出したようにはっとした表情に変わる。と同時に、少しだけ顔が青ざめた。
咲夜「思い出した・・・私、お姉様に紅茶入れてきてって頼まれたんだ。どうしよう・・・私、お茶なんて入れたことない」
咲夜の身体になったフランに、最初の壁が立ちはだかっていた。
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by irekawari | 2007-10-14 23:49 | 女同士の憑依・乗っ取り