白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

『THE IDOL CH@NGER』 ベテラン歌手とネットアイドルの入れ替わり(前編)

『THE IDOL CH@NGER』



早乙女ゆりあ 20歳
中野明菜 45歳




早乙女ゆりあはネットアイドルである。
最近ではネットアイドルランキングの上位に食い込んでくることもある。
彼女はコスプレが趣味だったので、コスプレをしての店頭イベント参加などが主な活動だったが、ネットアイドルとして人気が高まっていくにつれ、グラビア撮影など、他の仕事も増えていった。
さらにはCDも作り、歌手活動もするようになった。しかし元々歌手志望というわけではないゆりあは、歌だけは下手だった。しかしそこはそれ、見た目が可愛いのでファンの男達は下手でも彼女のCDを買い、コンサートが行われれば参加していた。
そして今日は、3回目のミニコンサートの日だった。

中野明菜、45歳。
若い頃はアイドルとして、テレビの歌番組にも毎回出るほどの人気だった。見た目が可愛かったのもあったが、明菜は歌が抜群に上手かったため、歌唱力の点も評価されて人気があった。
しかし、年をとるにつれ、彼女の人気は下降していった。
明菜は歌を歌うことしかできなかったため、なんでもできる人材が欲しい芸能界では、だんだん干されていった。
現在では、年に数回、地方でコンサートを開いている程度で、CDは何年かおきに1枚ぐらいしか出ていない。
しかし歌そのものは上手いので、明菜の歌を好きな固定ファンがいるため、コンサートを開けば収益を出すぐらいの人数は呼べるし、若い頃出したCDのベスト盤などは、今でも安定した人気で売れ続けている。
明菜は化粧でも隠しきれないぐらい年老いてきたため、絶頂期の頃を思い出しては、あの頃まで若返りたいと、常に思っていた。

早朝、ゆりあはコンサート会場へ行くため、地下鉄を利用していた。セーターに丈の短いコート、ミニスカート、ロングブーツという格好をしている。
偶然、歌手の中野明菜もゆりあと同じ地下鉄を利用しようとしていた。
まだ朝が早い上に休日のため、地下鉄構内に人はほとんどいない。ゆりあは階段の上から降りようとして、明菜は同じ階段の下から上に上ろうとして、それぞれ歩みを進めていた。
ゆりあは、コンサートに遅刻するというほどではないが皆と示し合わせた時間に間に合うか間に合わないか、といったギリギリの時間だったので、少し気が焦っていた。さらに今履いているブーツのヒールが高いこともあって、ゆりあはうっかり、階段を下りているときに足を滑らせてしまった。

ゆりあ「きゃあっ!」
明菜「え?」

前のめりに倒れたゆりあは、階段を上ってきていた明菜にぶつかり、そのままもつれるようにして、二人一緒に階段から転げ落ちてしまった。

明菜「う、うーん・・・いたたた」
ゆりあ「う・・・なにがあったの?」
明菜「おばさん、大丈夫だよね?ぶつかってごめんね、あたし急いでるから、それじゃね!」
ゆりあ「え?ちょ、ちょっと待って・・・」
明菜は目の前で倒れていたゆりあが、身体をなんとか起こそうとしているのと、大した外傷もみられないことから、相手のことをあまり気にせず、そのまま走り去ってしまった。
ゆりあ「もう・・・近頃の若い娘は、みんなああなのかしら・・・」
ゆりあは頭を押さえ、不満を漏らしながら立ち上がった。
立木「あれ?ゆりあちゃん、今から会場に行くところなの?」
ゆりあ「え?だ、誰ですか?」
立木「やだなあ、ゆりあちゃん、俺だよ、スタッフの立木だよ。名前忘れられてるなんて、傷つくなぁ」
ゆりあ「ゆ、ゆりあって私ですか?わ、私、中野明菜なんですけど」
立木「ぷっ、え、なにそれ、ゆりあちゃん、中野明菜のモノマネかなにか?いやー、朝っぱっからゆりあちゃんは最高だよ、ほんと」
ゆりあ「え?わ、私・・・」
ゆりあは改めて自分の身体をじっと眺めてみた。
ゆりあ「な、なに、この格好、この髪!肌もすべすべだし、なんか私、若返ってる!?」
立木「あはは、朝からゆりあちゃん、ジョークかましてくれるなんて、やっぱコンサート当日だからテンション高いのかな?まあとりあえず一緒に行こうよ、あんまり遅れたら、リハーサルする時間もないよ」
そう言うと、立木と名乗った男はゆりあの手をつかんで地下鉄のホームへ向かってスタスタと歩き出した。
ゆりあ「え?なにが、どうなってるの?」



明菜「きゃーーーーっっ、なにこれ、あたしじゃない!?」
明菜は地下鉄に乗る前、用を足すためにトイレに入った。用を足した後、洗面台の鏡で自分の顔を見たとき、彼女は大声をあげて驚愕した。
明菜「この顔、なんか知ってる・・・あ、あの歌手の中野明菜!?な、なんであたしが中野明菜になってるの!?」
明菜はさっきの階段での出来事を思い出していた。
明菜「階段から落ちて、相手の人をちょっとだけ見て・・・そういえばその人、なんかずいぶんあたしっぽかったような?なに・・・まさか、身体が入れ替わったっていうの!?そんな漫画みたいなことが!?どーすんのよ、こんなオバサン歌手になっちゃって!あたし、今日コンサートあるのよぉっ!!」
明菜はトイレから出て、さっきの階段に向かおうとしたら、突然、見知らぬ男に声をかけられた。
水原「あ、明菜さん早いですね。駅から出たところで待ち合わせの予定だったのに、もう来てるなんて」
明菜「だ、誰?おじさん」
水原「お、おじさんって・・・デビュー当時から明菜さんのマネージャーをやってる水原三郎ですよ。どうしたんですか?記憶喪失でもなっちゃったようなしゃべりかたして」
明菜「中野明菜のマネージャーさん!?ち、違うのよ、あたしは早乙女ゆりあ!中野明菜じゃないの!」
水原「へぇ、明菜さんがそんな今話題のネットアイドルのことを知ってるなんて、意外だなぁ。明菜さん、ネット嫌いとかいって見てなかったんじゃないですか?」
明菜「だからー、あたしがそのゆりあなんだって!」
水原「はいはい、なんでもいいですから、先方との待ち合わせに遅れないようにはしましょうね。今日は次のコンサートの会場を提供してくれたスポンサーさんの方に挨拶に行くんですから」
明菜「あ、挨拶?そんなの、あたしには関係ないわよ!」
水原「なに言ってるんですか、スポンサーさんをないがしろにしていたら、明菜さん、もうコンサートで歌歌えなくなっちゃいますよ?今まで文句も言わずにやってきたじゃないですか、これも仕事のひとつです。さあ、行きましょう」
水原は強引に明菜の手をつかむと、地下鉄の出口に向かって歩き出した。
明菜「は、離してよぉー!あたしは明菜じゃないってば!!」




ゆりあは立木に連れられ、今日ミニコンサートが行われる会場を目指していたが、運悪く乗っていた地下鉄が機械系統の故障で一時止まってしまうというトラブルに巻き込まれ、会場到着が遅れてしまった。
ゆりあと立木が会場に着いたとき、開場時間を30分ほど過ぎていた。
立木「みんなすまん!俺が選んだ電車が悪かったばかりに・・・」
スタッフ「気にするなよ、それよりお客さんがゆりあちゃんが来ないことでだいぶ興奮してるぞ、とにかく早く始めたほうがいい」
立木「よし、ゆりあちゃん、着いたばかりで悪いけど、さっそく準備してくれ」
ゆりあ「あ、あの、私・・・」
北条「ゆりあ、着替えの手伝いのメイクしたげるからこっち来て!」
ゆりあは女性スタッフに連れられ、更衣室に入った。


北条「衣装これね!汗かいてるようなら、ちゃんと消臭しといてね」
ゆりあ「え、あ、はい・・・」
ゆりあはわけもわからず、北条から衣装一式を受け取った。
ゆりあ「わ、可愛い」
いきなり別人になってしまってまだ混乱中のゆりあだったが、渡された衣装の可愛さに目を奪われてしまった。
まるで、自分・中野明菜がアイドルとして絶頂期だった頃に来ていた、「いかにもアイドル」という可愛い系の衣装だったからだ。そんな昔を懐かしむ気持ちもあり、戸惑いよりも、この衣装を着てみたいという思いが勝った。






後編に続く。


後書き。

『THE IDOL M@STER』 をパロったタイトルですが、話のほうは、『THE IDOL M@STER』 と何の関係もなかったりします(汗)。
[PR]
by irekawari | 2007-08-30 23:45 | 女同士入れ替わり