白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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『金の奔流 赤の変幻 ウナ・ヴォルタ物語』

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『金の奔流 赤の変幻 ウナ・ヴォルタ物語』
「森崎朝香」先生
講談社X文庫ホワイトハート

この作品は「ウナ・ヴォルタ物語」シリーズの第3弾です。




この作品には「女同士の憑依」があります!!




あらすじ

フユカ・イーグレット(16歳)はイグレシア大神殿付属王立高等学院生。
この世界は「女性は早く結婚するのが幸せ」という風習があるが、フユカは実家が豪商なので、「勉強させて教養を身につけさせ、少しでもいいところへ嫁がせる」という親の意向により、学院で勉強することになる。
フユカ自身、勉強は好きなので、最終学年を終えて卒業するまで勉強したいと思っていた。しかし最終学年までいくとお金もかかるし、その分結婚も遅れることになるので、このまま勉強を続けるか、結婚するかで悩んでいた。

フユカの隣には、貴族だがあまり裕福ではない一族の、サージュ家があった。
サージュ家には三人の子供がいて、男ばかりの三人兄弟だ。
長男がクラウト・サージュ(25歳)。
次男がラウルス・サージュ(23歳)。
三男がシアン・サージュ(16歳)。
クラウトはフユカが通う王立高等学院で教授をしている。のほほんとした、マイペースな性格。
ラウルスはイグレシア大神殿所属の、下位聖魔術師。今は王立高等学院の神代古語科で助手を務めている。どちらかというと口数は少なく、真面目な性格。
シアンもフユカと同じ、王立高等学院生。いたずら好きな性格。

フユカは小さい頃はクラウトが好きだったが、現在はクラウトはフユカとは別の婚約者がいる。フユカは、幼い頃の初恋として、もう吹っ切れている。フユカは今はラウルスのほうが気になっている。ラウルスも、次第にフユカを女性として意識するようになる。

ある日、フユカは友人のリベル・ユスティーツ(16歳)と一緒に地下で倉庫整理をしていた。そしてふとした拍子で、夢魔であるウクソルアーダフィールフラース(約520歳)の封印を解いてしまう。
自称うーちゃんのウクソルアーダフィールフラースは、フユカは500年前の伝説の大魔導師・ブライヘゼル(故人)の生まれ変わりだという。うーちゃんは「自称ブライヘゼルの奥さん」で、いつかブライヘゼルの生まれ変わりに会うため、眠りについていた。うーちゃんはフユカの中に眠るブライヘゼルの記憶を甦らせようとするが、失敗する。
記憶は取り戻せなかったが、うーちゃんはフユカと一緒に生活するようになる。

夢魔と一緒の生活はトラブル続きで、フユカはうーちゃんを邪険に扱っていたが、完全に突き放つこともできず、結局ずるずると一緒の生活は続いていた。

あるとき、学院にベルデ・アウルム(18歳)という女性がやってきた。彼女は金の右目に緑の左目という特徴的な容姿を持つため、薔薇一族と呼ばれる、強大な魔力を持った連中に狙われていた。薔薇一族は、自分たちの主であるグラナダ・ソルシエール(故人)を復活させるため、彼女の新たな器として、ベルデを狙っていた。
グラナダ・ソルシエールは700年前、強大な魔力と圧政でアンシアン王国を支配していた。そのため人々からは「魔女王」と呼ばれ恐れられていた。自分の死後は自分の魂を額飾りに宿らせ、額飾りを身につけた少女の身体を乗っ取って存在し続けていた。魔女王は次にベルデを身体を乗っ取って復活しようとしていた。

薔薇一族によりベルデは誘拐され、ついに魔女王はベルデの身体を乗っ取り、現代に復活する。しかし、フユカの活躍によりベルデから額飾りが外され、ベルデは魔女王の支配から解放された。しかし、そのときの混乱で、額飾りは行方不明になってしまう。

この頃には、フユカの中でブライヘゼルの意識がだいぶ目覚めていた。いつでもというわけではないが、フユカは頭の中でブライヘゼルと会話することもできるようになっていた。

そしてまた、薔薇一族が学院を襲った。今度はベルデと共に、フユカもさらわれてしまった。ブライヘゼルの意識が目覚めつつあるフユカは、薔薇一族にとって邪魔な存在だった。
フユカは誘拐され、とある館の牢屋に入れられる。しかし、偶然一緒に捕まっていたシアンとケイヴァーという仲間の男の協力で、牢屋を脱出する。
フユカが館の主の部屋に行くと、そこにベルデがいた。ベルデはまた魔女王に身体を乗っ取られていた。フユカは以前のようにベルデから額飾りを外すが、魔女王の支配は解けなかった。魔女王はベルデの身体に魔力の入った小さな水晶を飲み込ませ、たとえ額飾りが外れても、少しぐらいの距離ならば離れていても身体を支配することができるようになっていた。
しかし、応援に来たラウルスやうーちゃん、リベル達の協力もあり、ベルデを、魔女王の支配から完全に解放することができた。

額飾りは壊され、魔女王の魂が宿っている宝石部分は、ウクソルアーダフィールフラースの手にあった。
フユカの中のブライヘゼルは、うーちゃんに石を手放すよう指示するが、石はうーちゃんの手から離れなくなっていた。次の瞬間、光がうーちゃんの身体を覆う。
光が消え去ったとき、ウクソルアーダフィールフラースの身体は、魔女王に支配されていた。

魔女王は下等な妖魔の身体になったことを嫌がったが、仕方ないこととして受け入れることにした。魔力をいくら使っても疲れず、自由に空を飛ぶことさえもできる妖魔の身体は、ただの人間よりも都合のいい面もあった。
魔女王はウクソルアーダフィールフラースの身体のまま、「計画」を遂行することを決意する。
魔女王は部下の薔薇一族を引き連れ、空の彼方に去っていった。

「余計な手間を増やすんじゃなーい!」
魔女王に支配された妖魔の後ろ姿を見ながら、フユカは空に向かって叫んでいた。


というお話。





魔女王が憑依する身体をベルデからウクソルアーダフィールフラースに変えたのが、むちゃくちゃ意表を突く展開で、ここが今回一番気に入りました。

魔女王は2巻から登場していますが、劇中何度も「ベルデの身体でないといけない」説明されてきていました。ベルデの身体を選んだ理由も、「生前の自分の姿に似ているから」という、すごく自然で納得できるものでした。
「ウナ・ヴォルタ物語」シリーズは全4巻で完結みたいだから、3巻の途中ぐらいでまたベルデがさらわれて、魔女王に乗っ取られて、4巻でベルデを助けて魔女王も消滅させて、それでめでたしめでたし、という終わり方になると思っていました。
というわけで、3巻でまたベルデが魔女王に乗っ取られたところまでは、普通に予想できていました。
でも読んでいくと、あれ?フユカがベルデを助けちゃった?額飾りも壊されて、あれ?もう魔女王もやっつけちゃった?という感じで、ちょっと拍子抜けしていました。ページ数も残り少なくなってきたし、キリもいいから、「ベルデ救出&魔女王やっつけた」で3巻は終わりかなーと思っていたら、ラスト数ページで、まさかまさかの、ウクソルアーダフィールフラース乗っ取られ!!そして乗っ取られたままで4巻に続く!!
実にいいところで終わっていて、3巻はとにかくここのラスト辺りの展開が良すぎです。

とにかく魔女王はベルデの身体にこだわっていたから、緊急回避的な状況だったとはいえ、ウクソルアーダフィールフラースの身体を乗っ取るという展開は、完全に予想外でした。
ベルデを救出して、額飾りを壊した辺りでは、その額飾りとフユカがかなり近いところに居るから、ひょっとしてフユカが身体乗っ取られるかな?と一瞬だけ思いました。でもさすがに主人公が身体乗っ取られると、話進めにくいだろうし、それはないだろうと思いました。魔女王と、フユカの中のブライヘゼルは敵対関係にあるし、いくら緊急の事態でも魔女王がフユカの身体を乗っ取るのはないでしょうし。

ウクソルアーダフィールフラースは今までほぼ完全に「ギャグキャラ」だったので、まさかラスボスが彼女の身体を乗っ取るというシリアスな展開になるなんて、思いもしませんでした。

しかし、魔女王とベルデはさすが見た目が似ていることもあって、性格的にもわりと似ていて、乗っ取りの前後であまり差がありませんでした。入れ替わりや憑依では、身体を奪う前後でどれだけ性格が変わるか、がかなり重要なので、その点では似たような性格の魔女王とベルデの乗っ取り&乗っ取られはギャップが少なくて、物足りない面もありました。

しかし、ウクソルアーダフィールフラースはやや頭の足りないおバカキャラ!!見た目も、小柄だがさすが夢魔なだけあっていざというときは強烈な色香を発揮するナイスバディ!!さらに、人間ではなく妖魔である!!
という風に、あらゆる面で魔女王とは正反対な存在なので、乗っ取られたときのギャップがとにかく激しい!!
ラスト数ページで乗っ取ったため、乗っ取った後の描写は少なめですが、急におバカキャラからクールキャラに変貌した様は、確実に燃えることができます!!

さらに、うーちゃんはフユカにとって、どちらかというと邪魔な存在だけど(汗)、かといって縁を切りたいほど毛嫌いしているわけでもない、そういう微妙な関係。
それだけに、魔女王という「悪」な存在に身体を乗っ取られてしまっては、さすがのフユカも心穏やかではいられないはず。
普段はどちらかというと嫌っていても、今回みたいに身体を奪われるといった重大な危機に陥れば、さすがに「助けたい」という気持ちが湧くはず。そのへんのフユカの葛藤が、4巻でしっかり描写されていれば文句なしです。
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by irekawari | 2007-08-08 23:47 | 入れ替わり作品の紹介・レビュー