白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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シャイニング・ガーディアン 第13話 その6

シャイニング・ガーディアン
~魔法使いは小学6年生~

第13話「真夜中の大決戦!!リリカの一番長い夜」
その6





イザベラは公園にいた。
あたりはすっかり暗くなっており、公園内にいくつかある照明には明かりが灯っている。
ここの公園はわりと木々や茂みが多く、外から公園の中の様子が分かりづらい。
公園の外では、さっきからパトカーのサイレンの音が絶えず行き交っている。
警官も何人か慌ただしく走り回っており、道行く人々になにやら声をかけて回っている。

イザベラは公園内にある公衆トイレの、女子トイレのほうに入っていった。
足取りは重く、なんだかフラフラしている。
この時間、公園にはほとんど人気はない。
女子トイレの中も、特に誰かがいるような気配はない。

実際、女子トイレの中は誰もいなかった。
イザベラは一歩、また一歩と、踏みしめるようにゆっくり歩いた。
トイレの固いタイルの床に、コツ、コツ、というヒールの音が響く。
洗面台の前に立つと、右手で蛇口を捻り、腰をかがめ、顔を横にして、流れ出てくる水に直接口をつけ、飲んだ。
トイレの中とはいえ、水道水は水道水だから、別に汚くはないのだが、場所が場所だけに、わざわざここで水を飲みたい、という人は少ないだろう。
リリカは普段は、どちらかというと綺麗好きだ。普通なら、こんなところの水は飲まない。

しかし、今は普通の状態ではない。周りの状況も、リリカ自身の今の身体も、リリカの今の心の状態も。

イザベラは散々走り回って、とにかく喉が渇いていた。
飲めればなんでもいい。
イザベラ「んっ・・・んんっ・・・・ぷはぁっ」
1リットルぐらい飲んだだろうか。
飲み終わったイザベラは顔をあげ、右手でまた蛇口をしめた。
喉の渇きはだいぶ癒えた・・・が、やっぱり場所が場所だけに、あまり美味しいとは思えなかった。
それでも、ただで水が飲めるだけでもありがたかった。
入れ替わってからまだ半日も経っていないとはいえ、あれだけ運動しまくった上に、今まで飲まず食わずなのである。

イザベラは蛇口から直接水を飲んだため、口のまわりが水びたしだった。
公園の公衆トイレにタオルや手拭き用のペーパーなどがあるわけもなく、ハンカチも持っていないイザベラは、左手の甲で自分の口の周りを拭いた。
洗面台の前には、人の上半身が映るぐらいの大きさの鏡がある。
さっきまでは喉が渇いていたため水に気を取られていたが、口の周りを拭いているとき、ふと自分の顔が気になって、なにげなく鏡の中に視線を向けると。

イザベラ「ひぃやぁあああ!!」

イザベラは悲鳴をあげて後ずさった。
思わず両手で自分の顔を包み込む。
すると鏡の中のイザベラも同じように、両手で自分の顔を包み込んだ。
ただでさえ血の気が失せていたイザベラの顔が、どんどん蒼白になっていく。
イザベラ「あぅあ・・・あ・・・あ・・・」
イザベラがどんなに顔を左右に振ろうとも、どんなに手で顔をぺたぺた触っても、鏡の中のイザベラは全く同じ動きをする。
一歩、二歩、後ずさっても。
鏡の中の自分は大きさが少し小さくなるだけで、やはり、どこまでいってもイザベラの顔、イザベラの姿になっている。

鏡の中、映るのは見慣れた自分の顔ではなく、憎むべき敵、イザベラの顔。
それがどこまでいっても、消えない。まるで無限にイザベラに追いかけられているような・・・。

今はあたしがイザベラなんだ。

イザベラ「ひぃあっ」
イザベラは思わず後ろに飛び退き、地面に尻をついた。
体勢が低くなり、ようやく、洗面台の鏡からイザベラの顔が見えなくなった。

イザベラ「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ」
イザベラは呼吸をしているのか泣いているのかよく分からない奇妙な声をあげ、尻餅の体勢のまま自分の顔を何度もさすった。

今の自分の顔なら、入れ替わった直後、落下地点にあった廃工場の窓ガラスで、一度見ている。
身体を入れ替えられたのだから、顔だけでなく、体も含め、全てがイザベラになってしまっていることは、もちろん知っている。頭でも理解している。元に戻るまでの間、少しだけの辛抱ということで、一応納得もしている。
今さら、自分の顔を見たところで驚きはしないはず・・・それが普通の状態なら。
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by irekawari | 2007-06-20 23:45 | 女同士入れ替わり