白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

第一夫人と第十夫人の入れ替わり

エキサイトブログは6月14日(木)の1:00~10:00の間、メンテナンスをするため、その間ブログは閲覧すらできなくなるみたいです。






第一夫人と第十夫人の入れ替わり






ケイオスとマリーは同じ村で育った、幼なじみだった。
群雄割拠の戦国時代、ケイオスは剣をとり、いくつもの戦いで功績をあげた。
マリーはケイオスと一緒に戦うことはできなかったが、生まれ故郷の村で、彼が帰ってくる場所を守り、彼を精神的に支えた。
剣の腕前だけでなく、人の上に立つ者としての天性の才能を持っていたケイオスは有能な部下を得、数々の戦いを勝ち抜き、ついに、ケイオスは一国の王になるほどになっていた。
大陸の半分を平定した彼を、民衆は英雄として歓迎した。
王となったケイオスは生まれ故郷の村へ凱旋、改めてマリーに結婚を申し込み、マリーもそれを承諾し、マリーは王妃となった。
「英雄色を好む」のことわざ通り、ケイオスもまた根っからの女好きであった。王になる前も、いろんな女性に手を出し、そのことでマリーのひんしゅくを買ったりしていた。
やがてケイオスは側室を迎えたいと、マリーに言ってきた。ケイオスとの間に子供がまだいないマリーは、跡継ぎのためなら、ということで仕方なく側室の件を承諾した。側室の数は一人増え、二人増え、今ではマリーを入れて、ケイオスには9人の妻がいる。




マリーはここ数年、ずっと苛立っていた。
一国の王妃として、正妻として、何不自由ない暮らしを送っている。
が、元々王妃になったのは、愛するケイオスと一緒に居たいがためである。王になったケイオスが結婚を申し込んできたから、承諾した、だから王妃になったのであって、別に王妃になりたくてケイオスの妻になったわけではない。
最近、ケイオスはたまに城に帰ってきても、マリーとあまり会わない。わざと避けているようなフシもある。側室が9人もいるのだから、全員を相手にしていたら、マリーと会っている時間もそれだけ少なくなる。マリーはそこが不満だった。本当は側室などいないほうがいい、とさえ思っている。が、一度認めてしまった以上、今更やめてくださいとも言えない。

マリーは5年前、待望の子供を出産した。しかも男児だ。正妻の子供ということで、当然、時期王位継承者ということになる。30を過ぎての高齢出産だったが、マリーも頑張った。純粋に子供が欲しいと思っていたし、子供ができたことによって、ケイオスの愛も、自分が取り戻すことができると考えていた。
それから時が過ぎ、ケイオスとマリーの子供・カイルは順調に成長。しかし、子供ができたからといって、ケイオスがマリーの元へ帰ってくる頻度はあまり変わらなかった。半ばケイオスに愛想をつかしたマリーは、今度は息子・カイルの教育に力を入れるようになる。しかし、カイルはカイルで、マリーにあまりなつかなかった。
夫と息子、両方から疎まれてしまったマリーの精神的ショックは、かなりのものであった。




そして一ヶ月前、また一人側室が増えた。名はサイエン。この大陸の東の果ての生まれらしい。

ケイオスが大陸を半分平定したといっても、残りの国々はまだ戦争を続けている。まだまだ強大な力を持つ国も残っており、油断していれば、この国が攻め込まれる恐れもある。そのためケイオスは国王でありながら指揮官として前線に立ち、大陸全土を統一するため、今もあちこちの戦場を駆け巡っている。
サイエンは女性ながらその豊富な知識を元に、小さな国で軍師をしていた。あるときケイオスがその国を攻め取ったとき、サイエンと出会い、ケイオスはそのままサイエンを自国の軍師とした。一緒に戦いを続けているうちに、サイエンに惹かれていったケイオスは彼女に告白、自分の10人目の夫人として迎えた。
サイエンはケイオスの側室となった身でも、城でじっとしていたりはせず、以前と変わらぬように、軍師としてケイオスと共に居た。そして現在、大きな戦を控えていないということで、サイエンは他の側室と同じように王城に帰ってきて、生活をしている。
ケイオスはというと、南方の勢力と同盟を結ぶため、今はこの国を離れている。帰ってくるまで、一ヶ月近くかかるらしい。



現在、マリーは36歳(子持ち)。
サイエンは16歳(子いない)。

マリーの苛立ちはピークに達しようとしていた。
ケイオスは今南方へ出向いていて、留守だ。しかし、留守にする寸前まで、ケイオスはサイエンのところへ足繁く通っていた。正妻であるマリーを放っておいて、だ。ケイオスの女癖の悪さは知っている。今更そのことを責めても仕方がない。が、自分の娘ぐらいの年の、子供といっていいぐらいの少女に夢中になっている夫の姿を思うと、とても心中穏やかではいられない。
そして、カイルもまた、今朝から姿が見えない。勉強をサボってどこかへ行っているのだ。おそらく、サイエンのところだ。なぜだか、カイルはサイエンを慕っていて、よく彼女のところへ行っているらしい。
夫も、息子も、サイエンに夢中、というわけだ。
正妻であり、実の母でもある自分に見向きもせず、見ず知らずの女のところへ行く夫と息子に大変腹を立て、さらに、サイエンその人もとても憎らしいと思うようになっていた。
マリーは、サイエンが側室になったその日に、挨拶として1回だけ会ったことがあるのみだった。

しかし、今日はもうついに堪忍袋の緒が切れた。ケイオスは留守なのをいいことに、第一夫人の権限をもって、サイエンをさんざんいびりまくってやろうと考えた。
一国の王妃がやることではないのだが、マリーの精神状態も限界に来ていた、なにかでストレスを発散しないと、とてももちそうになかった。



マリーはサイエンの私室の扉の前に立っていた。
マリーはここへ来るのは初めてだ。ふつう、正室が側室のところへ来る用事などないから、当然ではあるのだが。実はサイエンと会うのも、サイエンが側室になったときに挨拶して以来、1回もない。交流が全くないため、同じケイオスの妻という立場であっても、ほとんど赤の他人状態であった。

マリーは怒りのまま、サイエンの私室の扉を開けた。あまりに勢いよく開けたため、大きな音が響く。
部屋の中にはサイエンとカイルが同じ机に向かい合わせになって、椅子に座っている。机の上にはカップが2つとティーポットが1つ置いてあり、どうやらお茶をしていたようだ。

サイエン「これはこれは王妃さま、このようなところへようこそ」
カイル「は・・・母上!」
サイエンは落ち着き払った様子で椅子から立ち上がり、マリーの前に歩み出て深々とお辞儀をした。
一方カイルはいきなりの母親の登場に驚いたらしく、椅子から立ち上がって慌ててサイエンの後ろに隠れた。
よりによってなぜサイエンの後ろに隠れるのか。
カイルのその行動は、さらにマリーの怒りを助長させた。

マリー「カイル!お勉強をサボっておいて、こんなところでなにをしているのですか!早く勉強部屋へお戻りなさい!」
サイエンの後ろに隠れ、顔だけ出していたカイルは顔もひっこめて、ビクビクと震えている。返事すらしない。
なぜこんな軟弱な子に育ってしまったのか、情けなくなる。
マリーは素早くサイエンの後ろに回り込み、カイルの片腕を掴み上げた。
マリー「さあ、帰りますよ!早く来なさい!」
カイル「や、やだ!」
カイルは大きく体をよじってマリーの手から逃れると、部屋の隅へと逃げた。
マリーがさらにカイルを追いつめようとすると。
サイエンがその間に割って入った。
サイエン「まあまあ王妃さま、あまり強く言われては殿下も怯えてしまいます」
マリー「なんですって?」
サイエン「殿下、あの本はまた後でお読みしてさしあげます。私は王妃さまとお話があるので、おひとりで外で遊んできていただけますでしょうか?」
サイエンが告げると、カイルはうん、とうなずき、走って扉を開け、そのまま部屋から出て行った。

部屋の中は、マリーとサイエンの二人だけになった。

マリーはサイエンとは一度しか会っていないので、容姿についてもじっくりと見たことはなかった。
若草のような緑の髪で、耳が隠れる程度の長さしかない。
瞳も、髪と同じく緑だ。髪も瞳も、この国ではあまりみかけない色だ。このあたりは、遙か東方の出身だからだろうか。
背は低い。マリーが、女性としてはわりと身長が高いのかもしれないが、そのマリーより、頭2つは小さい。こうして立っていても、サイエンの顔はマリーの胸ぐらいの高さしかない。背が低いというより、とにかく小柄、ほとんど子供といっていいぐらいだ。そのわりに言動も振る舞いも妙に落ち着きがあり、子供っぽい容姿に大人びた雰囲気という、なんともギャップのある印象だ。
さらに、目が悪いのか眼鏡をかけている。ふちなしで、フレームが直接レンズについているタイプだ。レンズの形は真円。
衣装は、濃い紫の、かなりゆったりめの服を着ている。これも遙か東方の民族衣装なのか、この国では見られない類のものだ。肘のあたりから指先あたりまで、袖がひじょうに大きく広がっており、腕を動かすとブラブラ揺れる。その袖も長すぎるのか、ふつうにしていても手全体が隠れて、指先すら見えない。衣装は首元までぴったり覆われており、顔と首以外、肌が露出している部分がない。
さらにサイエンは部屋の中にもかかわらず、帽子を被っている。そういえばマリーがサイエンに初めて会ったときも、彼女は帽子を被っていた。生まれた国で、常に帽子を被るという習わしでもあったのだろうか。衣装も、マリーから見れば異国文化の固まりで、かなり奇妙なデザインをしているが、帽子のほうもまたかなり奇抜なデザインである。頭にかぶっている部分はふつうの帽子のように頭の丸みに沿って作られているが、その帽子の左右から、まるで動物の耳のような巨大な三角形が、下方向を向いて垂れ下がっていて、さらに、その三角形の先には、なぜか鈴のようなものがぶら下がっている。単なる飾りなのか、中の石が抜かれているのか、その帽子から垂れ下がっている鈴のようなものは、サイエンが頭を動かしても、音が鳴るようなことはなかった。
マリーから見てサイエンは、その落ち着いた言動と眼鏡をかけていることから「知的」、そしてとにかく小柄なため「子供」、この2つの印象が強かった。



サイエン「王妃さま、お茶をお入れしますので、どうかお座りになってお待ちください」
サイエンは机の上の、自分たちが飲みかけていたカップを片付けながら、マリーに椅子を勧めた。
マリー「けっこうです」
マリーはお茶の誘いをあっさりはねのけた。
マリー「サイエンさま、カイルは私とケイオスの子です。赤の他人のあなたが、勝手なことをなさらないでくださいますか」

赤の他人呼ばわりされても、サイエンは全く傷ついた様子がない。





続く。


後書き。

サイエンは『三国志大戦2』の「蔡文姫(さいぶんき)」から。
「蔡文姫」の「文姫」は字で、姓名だけを書くと「蔡エン」という名前になります。

見た目も、三国志大戦2の蔡文姫の見た目を、そのまま借りています。
三国志大戦2には蔡文姫のカードは「UC(アンコモン)蔡文姫」と「SR(スーパーレア)蔡文姫」の2枚あって、イラスト描いている方が違うためか、ほとんど別人、といえるぐらい見た目が違います。
私が参考にしたのは「SR蔡文姫」のほうです。イラストレーター「中村博文」氏が描かれているほう、というとさらに分かりやすいかも。
[PR]
by irekawari | 2007-06-13 23:49 | 女同士入れ替わり