白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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私はママじゃない! ~母と娘の入れ替わり~

私は木村亜弥香、現在16歳。
家はかなり裕福だと思う、でもパパとママは仲が悪くて別居状態、私はほとんどママの元で育てられた。
家には今はママと私、あとお手伝いさんが一人いるだけ。
ママの名前は木村雅子。今年51歳。35で私を生んだ。わりと高齢出産だったので、ママと私はけっこう年の差がある。
年を取ってからの子供だったせいか、ママは私をとても可愛がって育ててくれた。
いや、可愛がりすぎていた。
母はひじょうに少女趣味で、ロリータファッションが好きだ。
若い頃は常にそういう服を着ていたらしい、そして今もそれらの服を大事にとってある。
母親になった今では、さすがに年なので自分で着たりはしていないが。
が、代わりにママは、私にそういう少女趣味な、ロリータファッションの服を着せた。
私は別にイヤではなかった、女の子だし、可愛い服が着られるのは嬉しかった。
自分で言うのもあれだが、私は見た目が「可愛い」ほうだったので、そういう服もかなり似合っていた。
それだけなら子供時代にはよくあることかもしれないが、ママは、私が大きくなってからもそういう服装を勧めた、いや強制した。
小さい頃から、家族といえばママしかいなかった、そして私はママが大好きだった。だから、ママの言うとおりに生きてきた。
小学校を卒業して、中学に通うようになっても私はロリータファッションを着続けた。
私の世界はママ中心になっていた。学校には友達もいなかった。
高校に入っても、私はママの言うとおり、ロリータファッションを着続けた。
私が着る服は、半分がママが若い頃着ていた服で、半分は、新しく店で買ったものである。休みの日には、ママと一緒にロリータの新作を買いに行くか、ロリータを着た私を、ママがカメラで撮影する「撮影会」か、のどちらかになっていた。
何度かママの若い頃の写真を見せてもらったことがある。
若い頃のママは、今の私にそっくりだった。ママが小学生のときは、私の小学生の頃の顔に似ていて、ママが中学のときは、私が中学のときの顔にそっくりだった。そして今は、ママが高校の頃の顔と、私の顔がそっくりである。
小さい頃は、それでいいと思った。大好きなママの若い頃とそっくりなんて、とても嬉しいと思った。
しかしある日、私は疑問を持った。ママは私を自分の分身、あるいは自分そっくりなお人形みたいにしか考えていないのではないかと。反抗期というものがなかった私だが、今頃その反抗期がきたのかもしれない。
ママは、ロリータファッションを着た私を「可愛い」と言ってくれる。
しかし、それは私自身を可愛いと思っているんじゃなくて、私に自分の若い頃を重ねて、自分の若い頃を「再現」したいだけなんじゃないか、と思うようになってきた。
そう思うと、あれだけ好きだったママのことが急に嫌いになってきた。
あれほど、着ることに抵抗がなかったロリータファッションも、着たくないと思うようになった。
が、それでも私はロリータファッションの服を着た。それしか服がなかったからだ。私は自分で服を買う、ということをしたことがない。今着ている服は全部ママが若い頃着ていたものか、新しくママが買ってきたものか、のどちらかしかない。

雅子「亜弥香、今日はこれを着なさい。ママが20歳のときに着ていた服なの」
亜弥香「はい、ママ」
雅子「ああ、よく似合っているわ亜弥香。まるでママの若い頃みたい」

亜弥香「私は亜弥香なの?それともママなの?」

ママが若い頃着ていたロリータを着ているとき、私は鏡を見た。
鏡に映る私の顔が、ママの、目尻や口元にしわが入っている顔に替わっているように見えた。
亜弥香「い、いやぁっ!」
私はイヤイヤをするように、顔を左右に振った。
もう一度改めて鏡を見ると、鏡の中の私の顔は、私に戻っていた。
亜弥香「こ、このままじゃ私、ママになってしまう・・・」

ある休日。今日は「撮影会」の日だ。
ママと私はタクシーに乗って今日のロケ地へと向かった。
今日は廃線のある、やや古びた田舎町だ。
今日も私は、ママが着ていたロリータを着ている。ちなみに、下着にいたるまで、全てママのものだ。私はとにかく、「自分の服」というものがない。そして私は、服を着ることさえ、ママにしてもらっていた。もちろん、下着から、服、リボン、靴にいたるまで全部、だ。私はいいかげん、嫌がった。が、ママに言われると、素直に従ってしまう。幼い頃からママの言うなりだったのだ、身体が条件反射的に、ママに従ってしまう。
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私は廃線のレールの上に立ったり座ったり、横を向いたり後ろを向いたり、場所を変えたり、いろいろポーズをとった、いやとらされた。ママは嬉しそうに、そんな私の姿をカメラに収めていく。たぶんママは今、カメラのファインダーの中の私に自分の若い頃を重ねて、悦に入っているのだろう。
場所を変えて、廃線を見下ろすような、小高い丘にやってきた。
ここでもママは、私を被写体に、大量の写真を撮った。
雅子「亜弥香ちゃん、とても可愛いわ、最高よ。うふふ、実はママも、昔ここで写真を撮ってもらったことがあるの。今あなたが着ている服を着て、その場所に立って。本当に、私の若い頃にそっくりだわ」
なにもかも、ママそっくり。
ママのその言葉を聞いて、なにかが私の中ではじけた。

亜弥香「ママ、もうやめて!私はママのお人形じゃないわ」
雅子「亜弥香、なにを言うの」
ママは私をなだめるために私に抱きついてきた。
雅子「あなたはママの言うことを聞いていればいいのよ。もっと可愛い服も着せてあげる。衣装部屋には、あなたがまだ着ていない、ママの服がまだたくさんあるのよ」
亜弥香「いやぁーーー、私は、私はママじゃない!」
私はママを振りほどこうとして暴れた。
でも場所が悪かった、ここは小高い丘の、ちょうど肩付近で、背後は緩やかな傾斜になっていた。平地との高低差は、けっこうある。平地には、さっき撮影していた廃線のレールも見える。
亜弥香「きゃあっ!」
雅子「あ、亜弥華ちゃん!?」
私とママはお互いに抱き合うようにして傾斜を転がり落ちていった。その途中で、私は意識を失った。

「亜弥華ちゃん、亜弥華ちゃん」
私は意識を取り戻した。体のあちこちが少し痛いが、どうやら大けがはしていないらしい。
さっきから自分の体が誰かによって揺すられている。たぶん、ママだろう。
私はうつぶせに倒れていたらしく、目を開けると地面と、背の低い緑色の草が見える。
「う・・・ん」
私は地面に両手をつき、下を向いたまま体を起こした。
「ああ、よかったわ亜弥華ちゃん」
ママの心配そうな声が聞こえる。そうだ、ママは大丈夫だったのか。
このときばかりはママへの嫌悪感より、ママが怪我をしていないかを心配する気持ちが勝った。
顔をあげてママの声がするほうを見たとき、私は言葉を口にすることができなかった。
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「・・・・・・・・・・!!」
そこには、ロリータファッションに身を包んだ、私が中腰で座っていた。

亜弥香「亜弥華が驚くのも無理はないわ、ママも驚いているの。でもこれは現実よ。亜弥香よく聞いてね、ママと亜弥香は身体が入れ替わってしまったの」
雅子「い、いやぁーーーー!」


あの日から一ヶ月が経った。私が見ている悪夢は、まだ覚めない。
あれからいろんな方法を試してみたが、私とママの身体が元に戻ることはなかった。
私は今でもママの身体のままで、ママは、今でも私の身体のままだ。
朝起きて、鏡の中の自分を見てみる。鏡の中の私の顔は、目尻や口元にはっきりとしわが入っていて、あちこちシミも見える。髪も黒に染めているが、また少しずつ白髪が見えてきている。私がため息をつくと鏡の中のママもため息をつく。もう幻覚でもなんでもない、私は本当に、ママになってしまっていた。

亜弥香「うふふ、今日はなにを着ようかしら」
雅子「あ・・・ママ・・・」
亜弥香「あら、亜弥香。その服を着ていたの?でも、この服はもうあなたには似合わないわね。私が着てあげるから、脱いでもらえる?」
雅子「うっ・・・うう・・・」
亜弥香「あら亜弥香、泣いてるの?大丈夫よ、私があなたの分まで、いろんな服を着て可愛くなってあげるから」




完。




後書き。

たしか「コスメの魔法」という漫画に、娘にべったりで、娘に可愛い服装ばかりさせて、自分の趣味をおしつけている母親と、そんな母親を素直に受け入れていて、反抗もせず、親子というよりは仲の良い友達みたいになっている母親と娘がいました。
その娘のほうは、可愛い服装をするのをやめ、精神的にも、母親から自立して無事解決、みたいな内容だったのですが、じゃあ、そんな母娘が、娘が精神的に自立しないまま、身体が入れ替わってしまったらどうなるかな、と思って書いてみました。

あと、かなり久しぶりに、完全一人称視点で書いてみました。
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by irekawari | 2007-06-11 13:50 | 女同士入れ替わり