白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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狙われた少女 その6

椿と、四葉の身体に入っている理央は人間界を後にし、ようやく魔界まで帰ってきていた。

椿「魔王長さま、お疲れになっていないでしょうか?今からでも、お車を手配いたしましょうか?」
四葉「大丈夫だ。たまには自分の足で長時間歩くのもいい運動になる・・・といっても今の我の足は四葉の足だから、自分の足というわけではないが」
椿「そうですか。四葉といえば・・・あの子、ほんとうにちゃんと魔王長さまの代わりができてるのかしら?」


四葉「椿、まだついてくるのか?今日はもうお前は休んでいいぞ」
椿「そうはいきません、私はあの子の上司ですから、四葉が魔王長さまの代わりに留守を預かるという大任を全うできたかどうか、見届ける義務があります!」
四葉「ふっ、普段四葉にお小言言ってばかりのお前でも、長い間離れていたら心配になるようだな」
椿「えっ、ち、違いますよぉ!私は仕事を通して上司と部下として気にかけているだけであって、個人として四葉が気になっているわけではありませんから!あーんなお気楽ノーテンキで、仕事中でも甘いもの食べることしか考えてないような幸せのーみそな子のことなんて気にかけていたら心労でこっちが倒れちゃいますよぉ!」
椿は妙に慌てて早口でまくし立てる。気のせいか顔が少し赤い。
四葉「それだけ心配してもらえれば四葉も幸せだな」
椿「だから、違いますってぇ!!」

四葉「ははは・・・さて、四葉、今帰ったぞ」
四葉は部屋の中へ声をかけながら、魔王長の私室の扉を開けた。
四葉「今日一日、我の代役ご苦労だった」
椿「四葉!あなた、魔王長さまの身体でなにかとんでもない失敗してないでしょうね!」
四葉「・・・む?」
椿「あら?」
四葉と椿は扉を開け、魔王長の私室に入ったが、そこに理央の身体の四葉の姿はなかった。
四葉「おかしいな、四葉とはこの時間、この部屋で待ち合わせるよう伝えていたのだが」
椿「えっと・・・おトイレでしょうか」
四葉「かもしれんな。少し待つとしよう」

四葉と椿は魔王長の私室で理央が来るのを待った。
しかし5分立っても10分立っても、理央の身体の四葉は部屋に入ってこなかった。



椿「もう30分過ぎてますね・・・まったくあの子ったら、時間にまでルーズなんだから。魔王長さまをお待たせするなんて、後で厳罰ものだわ!」
四葉「ふーむ・・・」
四葉は右腕のひじの先に左手のひらを添え、そのまま右の手のひらの根元部分を自分のあごに当てながら、視線を宙に浮かし、なにやら考え事している。
四葉「四葉の行き先、我に少し思い当たるところがある。ちょっと行ってくる」
椿「え、ちょ、ちょっとお待ちください、私も付いていきます!」
しっかりした足取りで部屋を出て行く四葉の後を、椿もついていった。

四葉が向かった先は、謁見の間だった。
今は誰もいなくて、あたりはシーンとしていて静かだ。
椿「魔王長さま、ここって謁見の間ですよね、こんなところに四葉が・・・」
椿があたりをキョロキョロ見回しながら、ふと四葉のほうを見ると。
四葉は椿に背を向けて立っていた。
四葉は立ち止まり、首を少し上に向けて、前方のある一点をみつめている。
椿「魔王長さま?」
たしかこの先にあるのって・・・
椿がこの先にあるものの映像を頭の中に思い浮かべようとしていたとき。

理央「おーーーーーーーーほっほっほっほっほ!」
椿「んな!?」
突然、謁見の間全体に響き渡るような、大きな高笑いが聞こえてきた。
とても聞き慣れた感じのする少し低めの女性の声、しかし高笑いそのものはすごく品がなく、その声質と高笑いのギャップがものすごい。
椿は、そういえば今日人間界に行ったときも、こんな高笑いを何度も聞いた気がする、と、なんとなくいやな思い出を思い出していた。

理央「ふふふ、わたしのためのお仕事お疲れ様、椿、そして四葉」
謁見の間は奥が階段状になっていて、今四葉や椿がいるところより20段ほど高くなっている。
そして一番高い段には、黄金でできた玉座がある。
言うまでもなく、この魔界を統べる王・魔王長のための玉座である。
そして今、その玉座には、理央が、いや理央の身体の四葉が、座っていた。






狙われた少女 その6






椿「こらーーーー四葉!あんた今、あたしのこと呼び捨てにしたわねーーーー!?上司の私にむかってよくもそんな口を・・・ってそれよりも、あんたさっき、四葉って言った!?それってまさか魔王長さまにむかって言ってるんじゃないわよね!?それに魔王長さまの玉座に座るなんてなんて恐れ多い・・・!!あのね!私は魔王長さまに事情聞いてぜーーーーんぶ知ってるのよ!!あなたが魔王長さまと入れ替わっていることも!!だから、変な小芝居やめて、さっさと降りてきなさーーーい!!」
椿が、高い場所に居る理央に向かって、手を振り上げて一気に抗議の言葉をまくし立てた。
理央「あら?部下を呼び捨てにすることが、そんなにいけないことかしら?」
理央は玉座の背もたれに向かってのけぞり、いっそう椿たちを見下す体勢になって、椿たちを心底馬鹿にするような口調で言った。
椿「な、な、なんですってぇぇぇぇぇ!?」

理央「我は魔界を統べる王の中の王・魔王長の理央。椿よ、頭が高いぞ、ひかえおろう!」
椿「えっ、は、ははぁっ、し、失礼しました!!」
椿は思わず膝をつき、額が床につくかつかないかぐらい、深く頭を垂れた。

椿「・・・・・・・・・・・・。え、あ、あれ、なにしてんの私」
椿は深々と頭を下げながら、ポカーーーーーンとしていた。
聞き慣れた声と、聞き慣れた命令口調と、さらに、見慣れた魔王長さまの姿ということで、ついつい条件反射で、頭で考えるより先に体が動いてしまった。

理央「あははははははは!!隊長が!!あたしに頭下げて謝ってるよ!!あははははは!気っ持ちいいーーーーーー♪」
理央が、玉座に座りながら腹を抱えて、体が「く」の字に折れるほど笑っている。

椿「こ、こ、こいつはーーー!!調子にのってるんじゃないわよ!」
椿は素早く頭を上げ、立ち上がり、片手で握り拳を作って、理央の身体の四葉への怒りを露わにしている。
理央「あらぁ?調子に乗ってるのはどっちかしら?この偉大なる魔王長に向かってこいつなんていう不逞の輩は、たっぷりお仕置きしてあげなきゃね~」
椿「あのねーーー!さっきから聞いていれば、あんたはたしかに今は魔王長さまの身体かもしれないけどねー!それは一時的に入れ替わっているだけでしょーーーが!!また元に戻ったら、あんたはただのヒラの一般戦闘員よ!!あんたなんか、天地がひっくり返っても、魔王長さまや私を呼び捨てになんかできないのよ!?」
理央「それは、もし、『元に戻ったら』・・・の話でしょう?」
椿「へっ、・・・・・・・・・・・なに、四葉、あなたまさか・・・」
理央「そうよ~、なぜ元に戻る必要があるのかしら?」
理央は玉座から立ち上がり、肩にかかっていたマントをばさっと片手でひるがえした。
理央は両手で自分の顔の両頬を包むようにして、
理央「この何者をも魅了する美しい顔」
次にドレスの布地からあふれんばかりの豊満な胸を両手で掴み、
理央「この豊満な胸」
首を少し傾け、頬にかかった薄い茶色のストレートの髪を片手でばさっと掻き上げ、
理央「この艶やかな髪」
そして両腕で自分の身体を抱き締めるようにして、
理央「この抜群のプロポーション」

理央「魔力は魔界一を誇り、権力においてもこの私が一番。私が一声かければ魔界の住民全てがひざまずく。このドレスだって魔界で一番の最高級品。お金だって使い切れないほどあるわ。ふふふ・・・あはははは!!文句なし、最高の身体じゃないの、魔王長の身体は。ふふふふふ・・・魔王長の身体なら、なんでもかなう、なんでも私の思う通りなのよ!!あっははははは!!」

理央「そうよ・・・誰が返すものですか・・・」

理央「これは・・・私の身体よ・・・私が魔王長・理央なのよ・・・ふ・・・ふ・・・あはははははははは!!」


椿「よ、四葉・・・」
四葉の、いや理央の目の中の輝きが、明らかに違う。
今の理央の瞳には、狂気の色が宿っていた。
思えば、ただのヒラの一般戦闘員である四葉が、いきなりこの広大な魔界の、社会的にも、能力的にも頂点に立つ魔王長としての身分・器を手に入れたのだ。
感覚が狂わないほうがおかしいのかもしれない。

四葉「なるほど、言いたいことは大体分かった。我にその身体を返すのはいやだ、我には四葉のこの身体のまま一生を過ごせと、そう言いたいわけだな、四葉?」
四葉は腕を胸の前で組み、両足を揃えるようにして、理央を見上げるようにして、悠然と立っている。
その姿からは、理央の「身体を返さない」という脅しに屈するような弱々しい態度は微塵も感じられない。
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by irekawari | 2007-05-30 23:16 | 女同士入れ替わり