白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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コミックエール!VOL.1 『御伽楼館』

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まんがタイムきららキャラット6月号増刊
コミックエール!VOL.1
『御伽楼館』
「天乃咲哉」先生




人間の女の子と女の子型の人形との入れ替わり。





この「コミックエール」、一応「男子向けの少女漫画雑誌」であることがウリみたいです。私はまだ全作品は読んでいないですが、パラパラ見たところ、それほど「少女漫画雑誌」という感じがしないです。男子向け漫画雑誌としては、女の子が主人公の話が多いかなーという程度で。
誌面が固いというか、少女漫画らしい「華」があんまり無いなーと思いました。



あらすじ

主人公・ニーナは、自分が通っている芸術学校の人形劇「白鳥の湖」で使う人形を求めて、ある人形店に入る。
そこは人形のように美しい双子の姉妹・ディアナとエルナが営む店だった。
店内でニーナは、劇のイメージにぴったりの、小さくて可愛い、「理想の女の子」のような人形を見つける。店主のディアナは、人形のお代は頂かないが、代わりにお客様の「想い」の詰まった者を預かり、その代わりに人形を貸し出すという。ニーナはディアナにある物を渡して、人形を貸してもらうことになった。ニーナが渡したある物とは、血の滲んだ跡がついているほど使い込まれたバレエのトゥシューズだった。
学校の寮に帰ったニーナは、寝る前に人形に向かって「貴女みたいな小さくて可愛い女の子になりたかった」と告げて、そのまま眠りにつく。
翌朝、ニーナが目覚めると、ニーナは借りてきた人形になってしまっていた。元の自分は、意志を持って勝手に動いている。ニーナと人形が、入れ替わってしまっていた。
それからニーナは「人形」として、「元の自分」に連れられて学校に行くことになる。
入れ替わって二日目には、元の自分はメイクをしてより女らしく着飾って学校へ行く。ニーナ自身は自分に自信がないため恥ずかしがるが、周りの反応は意外にも好評で、「すごくいい」「まるでモデルみたい」と元の自分をもてはやす。
さらには、ニーナが憧れている、演劇科のハインツ先生まで、着飾った元の自分を褒める。憧れていたハインツ先生にまで自分を気付いてくれなかったことに絶望したニーナは、もうどうなってもいいとさえ思ってしまう。

ニーナが失意のまま、人形劇の本番が始まる。
乗り気でないニーナに、元の自分がささやく。「劇を、バレエで演じて」と。

実はニーナは過去にバレエをしていて、舞台の主役に選ばれたこともあった。しかし「王子より背が高くては困る」という理由で、ニーナは主役を降ろされてしまう。どうしてもバレエをしたいニーナは、体が大きくならないよう食べることをやめ、ついには病院で治療を受けるほどになってしまう。そしてガリガリにやせ細ったニーナは、病院のベッドで、バレエ教室の先生から「もう来なくていい」と聞かされてしまう。
ニーナは、バレエをすることをあきらめてしまった。

しかし、人形劇とはいえ、「舞台」を与えられたニーナは、観客の前でのびのびと踊ってみせる。自分の身体を呪っていたニーナだが、ついに、そんなしがらみにとらわれない心を持つようになる。
気が付くと、劇は終わり、ニーナは元の人間の体に戻っていた。
その人形劇を、ハインツ先生が見ていた。ハインツはニーナが以前バレエをしているところを見ていた。人形劇を見ることによってそれを思い出したハインツは、ニーナに、自分の劇団に入って役者をやらないか、と勧める。
ニーナは、生きるべき道を得ることができた。

後日、見違えるほど綺麗になったニーナは、人形店にあの人形を返しにきた。
ニーナは人形に礼を言うが、店主によると、人形の中に誰か居るとしたら、それは貴女自身だと言う。
そうかもしれない。夢だったかもしれない。
でも、ニーナはやはりあの人形に感謝している。人形にお礼を言って店を出たニーナには、明るい未来が待っていた。




というお話。



入れ替わりに人形が絡むような話だと、元に戻れなかったり、「大抵ダークなオチになる」という思いこみがあったのですが、これはちゃんと元に戻って、しかもハッピーエンドなので、ちょっと珍しいなーと思いました。

途中、入れ替わったことによって主人公は絶望を味わいますが、そんな中でも精神的に成長し、最終的に幸せを手にする・・・というのは、私のかなり好きなパターンです。



すっきりした終わり方で、読後感の良いこの作品ですが、入れ替わっている間は、けっこうキツいシーンもあります。

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人形になった主人公を燃やす・・・つまり殺すってことですよね。
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

「この身体は晴れて私の物!」とか、いい台詞ですね~。最後まで読めば分かるのですが、これらのキツい台詞も、主人公のためを思って言っているのであって、決して本心から言っているわけではありません。
それでも、人形にされたニーナにしてみれば、「燃やしてしまう」「この身体は私の物」とか言われたら、かなり恐怖ですよね~。

「両者合意ではない、本人が望まない入れ替わり」をされた場合、その本人にとって一番悲劇なことは、「望まぬ身体のまま生き続けさせられること」だと思います。例えば善良な女子高生が、痴漢常習犯のオッサンと入れ替わってしまい、そのオッサンとして一生刑務所暮らしをしなければいけない、とか。
で、その次に悲劇なのは、「望まぬ身体のまま死んでしまう(殺される)こと」だと思います。この話のニーナはその2番目に悲劇なことを味あわせられそうになっているわけで、精神的ダメージはかなりのものだと思います。



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これもかなりいいシーンです。元の身体に「かわいそう」と言われながら抱きしめられている。まさに「人形」との入れ替わりならではの光景で、「私の可愛いお人形さん」とか、元の自分の、ちょっと自己陶酔入っている感じがすごくいいですね。
さっき上で紹介したシーンもそうですが、背景が黒一色のベタ塗りになっているのが、主人公の心のダメージ、絶望の度合いを表していて、緊張感ある雰囲気を作っていて、いい演出だと思います。この漫画、トーンをあまり使っていなくて、ほとんど「白と黒」みたいなイメージがあるので、よりその「黒一色」というのが効果的になっていると思います。
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by irekawari | 2007-05-18 23:50 | 入れ替わり作品の紹介・レビュー