白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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女忍者ユズハと女プリーストミリィ 第4回

「あ・・・あたし!?」
ユズハが、自分の顔を覆っていた両手をゆっくり下げながらつぶやく。
ユズハから2~3メートル離れて立っているもう一人の「ユズハ」は、両手で自分を抱きしめるようなポーズのまま、にこやかに微笑んでいる。
「なに!?なんで!?あたしが・・・そこに居るの!?」
目の前にいるもう一人の「ユズハ」は、本当にユズハそっくりだった。
東方の民族衣装である「キモノ」を使用した、特徴ある形状の忍者服を着ている。1枚の布だけで構成されていて、それだけで胸から腰・お尻までの、胴体を覆っていて、腰の帯で縛っている。胸元は大きくはだけていて、形のよい豊かな乳房が半分ほど露出している。
脚は太ももの中ほどから黒のニーハイソックスを履いていて、足先は「ワラジ」という、これまた東方の履き物を履いている。
忍者服には袖がなく、二の腕が丸々露出している。肘から先、手の甲まで「小手」と呼ばれる防具をはめている。
髪は快晴の青空のような青で、頭の後ろで簡素な紐で縛ってボニーテールにしている。
首もとには地面に着くぐらいの長さの、マフラーのような赤い布を巻いている。

顔は、やや大きめの目と、きりっと吊り上がったやや太めの眉が特徴だ。ユズハの友人のプリースト・ミリィやあの黒ドレスの女のような、整った女性的な顔立ちというよりは、まだ成長途中の少年のような、中性的で精悍さや意志の強さが感じられる顔つきだ。瞳は、首に巻いている深紅のマフラーよりさらに鮮やかな緋色をしている。
目と同じくやや大きめの口は今は閉じられていて、悠然とした笑みをその口元にたたえている。


人は多少なりとも自分にコンプレックスを持って生きている。自分を丸ごと全部好き、という人間はあまりいないだろう。自分の中に嫌いな部分があるからこそ、鏡を見る等、なんらかの形で「自分」をみせつけられてしまうと、嫌悪感を感じてしまう。
そして今、ユズハは、少し離れたところに立っている自分そっくりの女がにこやかに微笑んでいることが、なぜかすごく癪に障った。
ユズハも、自分が全部気に入っているわけではない。気に入らないところもある。目の前に「自分」をみせつけられたら、多少なりとも嫌悪感を感じてしまうだろう。
しかし、今感じているイヤな感じは、そういう、「自分コンプレックス」から来るものではなかった。
目の前の「自分そっくりの女」の笑みは。
見下しているわけでもなく、人を小馬鹿にしている風でもないのに、なぜだかすごく、「悪意」を感じてしまう。


「あ、あんた誰なのよ!?なんであたしそっくりなの!?あ、あたしが、肌白くなってて、あの女のドレス着てて、あたしがあの女そっくりになっていることと、なんか関係あるの!?」
ユズハは口早に、思いつく限りの疑問を、目の前の自分そっくりの女にぶつけてみた。
目の前の、ユズハそっくりの女は、少しだけ目を見開き、頭の中でユズハの言葉を反芻した後、プッと小さく吹き出した。
そして耐えきれないからか、身体を少し前に折り曲げ、身体を痙攣させながら、くくく・・・と笑い始めた。
「な、なにがおかしいのよ!?」
いきなりわけもわからないまま、自分そっくりの者に笑われ、ユズハは少しカチンときた。
「あははは・・・だって、ユズハったら物分かり悪いんですもの」

「え?」

また『ユズハ』だ。
また自分の名前を呼ばれた。
そう、「また」なのだ。
たしか少し前にも、自分の名前を呼ばれた。
あれは、そう、あの黒ドレスの女にも、『ユズハ』と呼ばれた。
あのときも疑問に思った。そして今回も疑問だらけだ。
目の前の、あたしそっくりの女が自分を「ユズハ」と名乗るのなら、まだ分かる(あたしこそがユズハなのだから、それも相当にヘンなことなのだが)。
しかし、目の前のあたしそっくりの女は、あたしがユズハだってことが分かっている。
黒ドレスの女が着ていたドレスを着て、肌は氷のように冷たくて真っ白、顔は・・・顔は分からないが・・・いや、考えたくない。
とにかく、今の自分は『ユズハ』からは相当縁遠い姿になっているはずだ。
それなのに、何故、目の前のあたしそっくりの女は、あたしをユズハと呼ぶのか?

「ねえ、本当に分からない?私は、ちゃんと『入れ替わった』って言いましたでしょう?」
身体全体で笑うのをやめ、ユズハそっくりの女は、元のにこやかな笑みのまま、ユズハに問い直す。

なんだろう。
目の前の、あたしそっくりの女は、あたしそっくりにしては、ずいぶん言葉遣いが丁寧だ。
そしてその丁寧すぎる口調は、まるで友達に話しかけられているかのような、親しみさえ感じられる。
ユズハは社交的な性格なので、知り合いだけならたくさんいる。
しかし、友達、しかも親友と呼べるほど親しい相手となると、一人しかいない。
この、会話しているだけで穏やかさを感じる存在といえば。
ユズハが、こんなダンジョンの最深部まで来ている、最大の理由のその人。


「ひょっとして・・・ミリィ・・・なの?」


確信もなにもない。ユズハはただ、頭に浮かんだ、自分の親友の名前を言ってみた。



「やっと分かりましたの?」
ユズハのその呼びかけを聞いた、ユズハそっくりの女は、少し肩をすくめ、苦笑した。


さっきから自分の理解を超える事ばかりで、ちっとも思考が追いつかない。
一ヶ月もの間、行方不明だった親友が、こんな形とはいえ、やっとみつかったのだ。
本当なら、一番に喜ぶべき場面のはずだ。しかし、今はまた会えて嬉しいという感情より、数々の疑問ばかりが心の中から沸いてくる。
ユズハはまだ頭の中が混乱したまま、次の言葉をかける。
「な、なんで?分かんないよ。なんで、ミリィがあたしそっくりになっているの?」

「分かってくださったと思っていたら・・・ほんっっっっとうに頭悪いですわね、ユズハは。全部はっきり申し上げないと、理解できませんか?」
ピクッ。
なんだろう。今すごく、ミリィに馬鹿にされた気がする。
ミリィはわりと毒舌家で、ユズハ自身もそれはよく知っていた。
だがしかし今の発言は、ただただユズハを軽蔑しているようにしか聞こえなかった。

「もう一度言いますわよ。私達は入れ替わったんですの。服装だけじゃなくて、身体そのものが入れ替わっているのですわ」
「か・・・か・・・身体が・・・入れ替わった!?」
言葉の意味は理解できても、自分自身が理解することができない。
なんなの、身体が入れ替わるって。
自分の身体は、自分のもの。
他人の身体は、他人のもの。
それが当たり前だ。
その身体が、「入れ替わる」なんてことが起こるのか。


「最初から説明しますわよ。一ヶ月前、私が臨時パーティーを組んでこのダンジョンに来て、パーティーの人たちとはぐれて、本当にたまたま、この部屋に入ってしまった。そして、ユズハもよく知っている、あの青い髪で黒ドレスを着た、女性型モンスターと出会った。種族名はバンシー。本当なら、あの幽霊の噂通り、人の魂を食らう種族。でも、私が出会ったそのバンシーは、バンシーの中でもとびっきりの変わり種だったのですわ。そのバンシーは、人間の魂ではなく、『人間の身体』を欲しがるんですの」
「に、人間の身体を・・・」
「私は運が悪いことに、そのバンシーと出会ってしまった。そして、この部屋で、身体を入れ替えられてしまった。私の魂はバンシーの身体へ。バンシーの魂は、私の身体へ。気がつくと、私は私の身体を奪ったバンシーがこの部屋を出て行く、後ろ姿を見送っていましたわ。私自身はバンシーの身体になりながら・・・ね」

「バンシーは、人間の女性とそっくりの姿をしていますけど、一つだけ、決定的に違うところがありますの。それは、死んでしまっているのに、存在し続けることができるということ。いわゆる、生きた死体ですわね。死んでしまっているから、年もとらない、美しい外見のまま、ただし、永遠に『死ねない』。」

「私は元の自分の身体を奪われた挙げ句、永遠に死ねない身体にされてしまった。だから、私は私がバンシーにされたことを、そのまま誰かに仕返してやろうと思いましたの。私は、入れ替わることができる身体がやってくるのを待っていました。そして一ヶ月目の今日、ユズハが来てくれた」






まだ続きます。
しばらくはこの話を集中的に書いて、この話を完結させようと思います。
あれ・・・でもなんでこんなに長くなったんだろう・・・(汗)
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by irekawari | 2007-05-16 23:54 | 女同士入れ替わり