白雪姫「女同士入れ替わりと、女同士の憑依が好きです。


by irekawari
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入れ替わりカメラ

敏樹「ねえ君君、写真撮らせてもらっていいかな?」
蓉子「え?わたしですか?」
敏樹「そうそう、君」
蓉子「わ、わたしは友達の付き添いで来ただけだから・・・コスプレしてるわけじゃないですし」
敏樹「そうなの?でも、可愛いよね。1枚だけでいいから、写真撮らせてくれないかな?1枚だけ撮らせてもらえたら、もう声かけたりしないから」
目の前の、ちょっと太り気味で眼鏡をかけた、いかにもアキバ系なヲタクっぽい男が、手に一眼レフデジカメを掲げながらこちらに声をかけてきている。
蓉子「うーん・・・どうしようかな」
友達のめぐみはまだコスプレ衣装に着替えている最中だし、時間はまだある。それに、1枚写真撮った後にまだしつこく言ってくるようなら、イベントのスタッフに言えばいいだろうし。1枚ぐらいなら、問題はないだろうと蓉子は思った。

蓉子「じゃ、写真、いいですよ。でも、本当に1枚だけですよ」
敏樹「あ、ありがとう。うん、1枚だけで・・・十分だから」
敏樹は口の端を吊り上げてニヤリと笑ったが、蓉子はそれに気付いていなかった。



敏樹「それじゃ、このあたりでお願いして、いいかな?」
敏樹は蓉子を、コスプレ会場の隅のほう、あまり人のいない場所に連れてきた。
人のあまりいないところに連れてこられて蓉子は少し不安になったが、それでも室内だし、遠くのほうにスタッフの姿も見える。もし何かされても大声を出せばいいや、と思って、
蓉子「いいですよ」
と、了承の返事をした。
そのあと手荷物・・・といっても手提げカバンぐらいだが・・・を壁際に置き、とりあえず壁際に立って、それっぽいポーズを撮ってみた。
蓉子「こ・・・こんな感じでいいですか?」
敏樹「いいよ、いいよ!うん、可愛いね。・・・ホントに可愛いよ。それじゃ、視線こっちに向けて・・・はい、いくよ!」
敏樹の声の合図で、カメラのシャッターがおり、フラッシュが焚かれた。
そのフラッシュの光は予想以上に大きく、蓉子は一瞬、自分の全身がそのフラッシュの光に包まれたかと思った。


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「はい、終わったよ」
「は、はい・・・って、ええ!?」
蓉子は驚いた。目の前に、自分が居たからだ。
顔も、服装も自分そっくり。違うところといえば、一眼レフデジカメにストラップをつけて首から下げているところだ。
しかも、その一眼レフは見覚えがある。今さっき、写真を頼んできた男の人が使っていたカメラと全く同じだ。
目の前の自分はカメラを首からぶら下げたまま、手を後ろで組んで、ニヤニヤとこちらを見て笑っている。
「ど、どうしてわたしがそこにいるの!?」
「ふっふっふ、その前に、今の自分を見てみたほうがいいんじゃないかな?」
目の前の自分に言われて、蓉子は自分の姿を見てみた。
半袖の白地に、よく知らないけどアニメキャラがプリントされたシャツに、下はジーパン。
腕や脚はぶくぶく太っていて、両手を目の前に持ってくると、手もゴツゴツしていて指の1本1本が太い。半袖から見える腕にはうっすらとムダ毛が生えていて、手の甲までびっしりと続いている。さらに、腕や足はなにやら汗をかいていて、ヌルヌルツヤツヤしている。
腹はでっぷりと飛び出していて、ジーパンのベルトがはちきれそうだ。
頭をさわってみると、髪は短く刈り上げられていて、さらに、自分が眼鏡をかけているのも分かった。試しに眼鏡を外してみると、ぼやけていて向こうが全く見えない。
さらに、さっきから股間でなにかブラブラしたものが揺れるのを感じている。
顔は鏡がないのでさすがに分からないが、ほっぺたなどを触ってみると、やはり、ぶくぶくと太っていた。
「こ、これってまさか・・・」
「ふっふっふ、このカメラは入れ替わりカメラって言ってね、このカメラで写真を撮ると、撮った人と撮られた人の姿を入れ替えることができるんだ。このカメラで、さっき僕と君の姿を入れ替えさせてもらったよ」
「す、姿を・・・入れ替え・・・る・・・」

「い、いやあああああああああ!!」




突然、「男」の悲鳴がして、コスプレ会場内にいたほとんどの人間が敏樹と蓉子のほうを向いた。
めぐみ「なになに?なにがあったの?」
ようやく着替えを終えた蓉子の友達・めぐみが、女子更衣室から出てきて、会場内でなにかが起こっているらしいことを知った。
めぐみ「蓉子がいない・・・まさか、蓉子!?」
めぐみが、ひとだかりができている会場の奥の壁際まで来ると、その人だかりの中心に、蓉子がいるのをみつけた。
そして、その蓉子に、なにやら「わたしの身体」とか「返して」とかわめきながらつかみかかっている男の姿が見える。
めぐみ「よ、蓉子!!」

めぐみ「ちょっとあんた、蓉子になにしてんのよ!」
めぐみは、蓉子と、蓉子につかみかかっていた男の間に割って入った。
敏樹「!!め、めぐみ!!」
めぐみ「えっ、な、なんであたしの名前知ってんの?」
いきなり見ず知らずのカメコに名前を呼ばれてめぐみは驚いた。と同時に、ちょっとキモ、と思ってしまった。見るからに典型的なヲタ野郎で、ちょっと生理的嫌悪感を感じてしまった。
敏樹「めぐみ、わたしよ、佐藤蓉子!そこの男の人に写真を撮られて、姿を入れ替えられてしまったの!」
目の前のキモヲタが、自分の肩を両手でつかみながら、涙と鼻水混じりで、一気にまくしたてた。
めぐみ「あー・・・その」
めぐみは一瞬で、ヤバイ人、と思ってしまった。あまり関わらないほうがいい。
なんで蓉子のフルネームを知っているのかが不可解だが、まああれだ、大宇宙の電波を受信した、とかだろう。
あたしの名前を知ってるのは・・・自分は、自分で言うのもなんだがこの地方では有名(だと思っている)レイヤーだし、たぶんあたしのサイトを見たのだろう。
めぐみはそう理解した。というか、あまり深く考えて、お関わりになることを嫌がった、というほうが正解だろう。

敏樹「めぐみ、信じてぇ!わたし達、入れ替わっちゃったのよぉ!」
キモヲタカメコがまだ叫んでいるが、めぐみはもう視線すら合わせなかった。
スタッフ「彼、彼女にいやらしいポーズを強要したとか、盗撮したとかではないみたいですが、とにかくあのとおり、精神的に錯乱しているみたいなので・・・とりあえず我々のほうで病院に送ります。」
めぐみ「はい、お疲れ様です。やっちゃってください」
めぐみは、顔なじみである、イベントスタッフの一人に向かって敬礼した。
スタッフに連れられているとき、敏樹という名前らしきあのキモカメコは最後にこう叫んでいた気がした。
敏樹「わ、わたしの身体を返して!!」



スタッフ「お騒がせしました。彼は我々のほうでお預かりしましたので、皆さんは、もう何の心配もございません。引き続き、イベントのほうをお楽しみください。」
彼がイベント会場から連れ出された後、スタッフが会場内にいる人々にお知らせを言って回っていた。



めぐみ「ふー、蓉子ごめんね~、せっかく蓉子にコスプレの素晴らしさを教えてあげようと思って連れてきたんだけど、しょっぱなからイヤな目に遭わせちゃって」
蓉子「ううん、いいのよ、わたし、気にしてないから」
めぐみ「そう?だったらいいけど・・・。カメコの人も、みんなあんな人ばかりじゃないのよ。ほとんどはいい人なんだけど、たまにああいう、電波というか、イタい人っているのよね~。それより蓉子、あんたいつの間に一眼レフなんて持ってきてたの?朝来る途中、そんなこと言ってなかったからびっくりしちゃった」
めぐみは、蓉子の首からぶら下げられている一眼レフデジカメを指差しながら言った。
蓉子「あ、これ?お父さんに借りたの。めぐみを、びっくりさせようかなーと思って、それで黙ってたの」
めぐみ「あーお父さんの?でもほんと驚き。いいなー、あたしもいつか一眼レフほしーなー」
蓉子「ふふふ、後で使わせてあげるわよ。それじゃさっそく、めぐみのコスプレしているところ、撮らせてもらっていいかな?」
めぐみ「あーそれで撮ってくれるの?撮って撮って!!じゃーあの壁あたりに行こう!あそこがこの会場だと一番撮りやすいんだー。」
蓉子「ふふふっ、待ってよ、めぐみ」
めぐみの後を追う蓉子の口元に、邪悪でいやらしい笑みが浮かんでいることを、めぐみは知らなかった。
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by irekawari | 2007-04-01 19:32 | 男と女の入れ替わり小説